22歳~34歳の働く女性 7割が「個人名で働きたい」

22歳~34歳の働く女性 7割が「個人名で働きたい」

2018/12/12

会社に属しながら「自己ブランド」を築くコツと思考法は?

 22歳~34歳の働く女性の4人に3人は「個人名で働きたい」――。ミレニアル世代の女性向けに幅広いジャンルの講座やサービスを提供するSHE(シー)主催の「ミレニアルサミット」では、興味深い調査結果が発表された。一方、「個人名で働きたい」と考える女性のうち、半数以上がそれを実現できていないという実態も明らかに。会社に所属しながら自分ブランドを築くには? いつか会社を辞めて独立したい人は何をすべき? サミットでは、識者や等身大のミレニアル女性も登壇。彼女達から、そのヒントを聞いた。

「個人名で働きたい」 その背景には何が?

 副業解禁、パラレルワーカー、「好き」を仕事に――。個人が自分の得意なスキルを生かして働くことが当たり前になってきた。ランサーズの「フリーランス実態調査2018年版」によると、フリーランスの経済規模は推計20兆円を超え、副業フリーランスの人口は744万人に到達。日本の労働人口に対し、17%を占める割合となった。こうした世の中の流れもあり、「個人名で働きたい」と考える20代~30代の女性が今、増えている。

 「ミレニアル世代の女性の76.1%、約4人に3人は、会社に所属していても『個人名で働きたい』と考えている」。

 SHE主催の「ミレニアルサミット」では、このような調査結果が発表された。76.1%という数字は、40代~50代の女性の回答の1.5倍以上。サミットに登壇した資生堂CSO(最高サステナビリティ責任者)の留目真伸さんは、「SNSなどの発達により、自分の好きなことや得意なことを発信できるようになったこと。そして、それらを発信している人のライフスタイルも見えるようになったこと」も大きく影響していると分析する。

「個人名で働くということは、『自分は何をやって生きていくのか』『社会と自分のスキルで価値交換できることは何か』を考えることが重要になってきます」(留目さん)

 ミレニアル世代が「仕事を通じて得たいこと」も特徴的。トップは、「熱狂できるやりがい」(39.3%)、続いて「所得・給料」(16.3%)という結果になった。

 一方、40代~50代の女性が「仕事を通じて得たいこと」のトップは「安定的な生活」(41.7%)。ミレニアル世代の女性は1割程度だったことを踏まえると約4倍の差がある。こうした結果から、20代~30代女性はキャリアを考えていく上で「やりがい」を重視することが分かった。

「個人名で働く=転職・退職」ではない

 「個人名で働きたい」という強いニーズがある一方、実現するのはなかなかハードルが高い。調査結果からは、「個人名で働きたい」と考える人の半数以上は、それを実現できていないという実態も明らかになった。理想と現実のギャップの大きさがうかがえる。

 では、どのような形で「個人名で働く」ことを実現するのか。理想の勤務形態として、「フリーランスとして働いたり起業したりするよりも、会社に所属しながら副業・兼業で個人の仕事もしたい」という人が4割以上いることが分かった。

「解禁する企業はまだ少ないとはいえ、企業も個人も副業を推進する流れが強くなりました。副業・兼業前提で働きつつ、1社に所属するだけでなく幅広い視点を持って柔軟に働きたいという人が増えています」(留目さん)

独立できない理由は「スキル不足や自己ブランドへの不安」

 「個人名で働きたい」という思いがある一方、それを実現できていない背景には「スキル不足」や「自己ブランドに対する不安」も大きい。

 「個人名で働くことを妨げていること」は何かという質問への回答は、「自分に十分なスキルがない」という声が最も多く、「セルフブランディングができない」「やり方・方法がわからない」という回答が続いた。加えて、「会社の許可が取れるか」「会社にバレるリスク・罰則」など社会的な環境面での不安も挙げられた。ミレニアル世代の女性の意向に反して、社会的な環境がまだ追いついていない現状もうかがえる。

 では、どのように「自己ブランド」を築いていけばいいのか。

 サミットでは、「大手企業社員」と「経営者・フリーランス」両者が本音を語るパネルディスカッションも開かれた。大手企業社員として登壇した、リクルート勤務の岩本亜弓さんは、「会社に自分をブランディングしてもらいながら、自分が会社をブランディングする意識を大切にしています」と話す。

「自己ブランド」はどう磨く?

 ホットペッパービューティーの営業などを経て、オリンピック・パラリンピック推進室に所属(注:取材当時)する岩本さんは、会社員でありながら個人事業主も務めるパラレルワーカーだ。岩本さんは、「会社に所属していたら、一見、自分の成長にはつながらない業務を担当することももちろんある」と前置きした上で、「目の前の仕事の『価値』と『糧』を考えるようにしています」と語った。「この業務を経験したらこんな成長につながる、あの業務は自己成長にはつながらないかもしれないけど、自分の糧にはなるはず――。こうした意識を持って、一つひとつの業務の価値と糧を考えていくと、仕事に取り組む姿勢も変わると思います」と岩本さん。「目の前の仕事にコミットし、小さな成功体験を積み重ねていくことが企業ブランドも磨くことにつながり、結果的に自己ブランドも築いていけるのではないでしょうか」。

 一方、経営者として登壇したポジウィル代表の金井芽衣さんは、「会社と対等に渡り合う個人力の磨き方」についてアドバイスした。「変に自分をよく見せようとせず、飾らない自分を発信することが大切。生きざまに共感してもらい、『自分のファンをつくる』ことが重要だと思います」。

 ポジウィルを起業する前はリクルートに勤めていた金井さん。今は会社員でも「いつか独立したい」と考える人への助言として、「退職する時期を決めたら、それまでに実現したいことをリストアップして、その目標を達成するといいと思います」と話した。

 「私自身、独立を決意してから実際に会社を辞めるまでに1年ほどかかったんです。ですが、その1年間で『部署間・世代を超えた社内コミュニケーションを活発にしたい』という目標を決めて、それを達成するために努力しました。そうした成功体験は今も自分の自信につながっています」


自己ブランドは「目の前の仕事にコミットする」ことで築かれる

 ミレニアル世代の女性の約7割が「個人名で働きたい」。でも、自己ブランドの築き方が分からない――。そのヒントは意外と身近なところにある。会社員を続けるにしても、独立するにしても、「意識的に目標を持ち、目の前の仕事にコミットする」ことが自己ブランドを築いていく最善策なのかもしれない。現状に悩んだり、将来のキャリアパスに不安を感じたりしている人は、意識を少しずつ変えることから始めてみてはどうだろうか。

【アンケート概要】
SHEとマーシュ(*注)によるアンケート調査
調査期間:2018年10月26日~11月4日
調査対象:22~34歳の都内で働く女性180人、40~59歳の都内で働く女性41人
*注:2018年11月12日より「アスマーク」に社名変更

文/浜田寛子 写真/PIXTA

Provider

日経ウーマンオンライン

2018/11/28掲載記事を転載
22歳~34歳の働く女性 7割が「個人名で働きたい」