長く働き続けるため、年に一度「キャリアの棚卸し」を

長く働き続けるため、年に一度「キャリアの棚卸し」を

2018/06/26

転職の予定がなくてもキャリアを記録しよう

 5月19(土)~5月20日(日)に東京ミッドタウンで行われた「WOMAN EXPO TOKYO 2018」。「働き続けるためのキャリア棚卸しセミナー」セッションでは、パソナキャリアカンパニーの人材紹介事業部門で部長を務める岩下純子さんが、キャリアの棚卸し方法について、ワークシートを使いながら解説しました。


節目ごとの「キャリアの棚卸し」が自分の財産に

 忙しい毎日の中で、なかなかじっくり振り返る機会がない自らのキャリア。いざキャリアの棚卸しをしようとしても、「時間がない」「どこから手を着けたらよいのか分からない」という人も多いのではないでしょうか。

 講師であるパソナ 執行役員/パソナキャリアカンパニー人材紹介事業部門 女性活躍推進コンサルティングチーム部長の岩下純子さんは「長く働き続けるためには、きちんとキャリアの棚卸しをしておくことが必要」と言います。

岩下さん「人生100年時代といわれる今、恐らく70歳ぐらいまで働くことになるでしょう。でも、どんなに貴重なキャリア体験を重ねていたとしても、60代の時に20代のことを思い出すのは難しいですよね。折に触れて自分のキャリアを振り返り、しっかり記録しておくことが大事です。今日は3つのワークからキャリアの棚卸しをしてみましょう」

ワーク1 「職務経歴書」でキャリアを棚卸し

 キャリアを棚卸しするとき、岩下さんは「職務経歴書」を使うことをすすめています。「職務要約」「職務詳細」「自己PR」を書き出して整理することで、自分を客観的に見つめられ、「自分の強み」を把握できるからです。

 職務経歴書を書く場合は「4W+α」を軸に展開します。一つずつ見ていきましょう。

【WHEN(いつ)】
 その仕事をしていたのは、いつの時期か。または何年ぐらい仕事をしていたか。1社のみの経験でも部署異動、昇進、転勤などのタイミングに分けて書き出す。転職経験者は会社ごとに書き出していく。

【WHERE(勤務先)】
 勤務先の名称や所属していた部署について。業界・業種、従業員数、社風なども書き出しておくとよい。

【WHO(誰と)】
 社内外問わず、どんな人・誰と仕事をしていたか。部署(チーム)のメンバー構成や、自分がその中で担当していた役割についても書いておく。

【WHAT(具体的な経験や印象に残った出来事)】
 「どんな仕事」を「どのように進めてきたか」を書き出す。漠然と書くのではなく、デイリー、ウイークリー、マンスリー、ルーティンで行っていた業務内容を書く。営業成績や実績など、数字で示せるデータも盛り込む。

【+α】
 仕事を通じて得た技術やヒューマンスキル、思考力についても書く。そのときに発揮した「強み」、感じた「やりがい」についても書き出しておく。

岩下さん「一つのスキルを生かして50年間ずっと同じ仕事をすることも考えにくいですよね。どんな仕事をするときにも役立つのは、『経験に裏打ちされた強み』です。例えば『人間力』『実行力』など『○○力』と誇れるものを3つぐらい書き出せるとベストですね」

 ワークシートが配られると、参加者の女性たちは熱心にシートを書き始めました。

岩下さん「この『4W+α』を書き出そうとすると時間がかかり、かなりのボリュームになります。転職などの予定がなくとも、異動や昇進、昇格といった節目で職務経歴書はアップデートしておきましょう。できれば1年に1度はキャリアを記録しておくとよいですね」

ワーク2 自分の「強み」「弱み」を把握する

 次に会場で配布されたのは、自分の「強み」「弱み」を把握するための「棚卸しシート:スキル編」です。「意欲」「思考・発想」「行動」の3つの領域で、項目ごとに自分が当てはまるかどうかを、「高」、「普通」、「低」の3つに分類。「高」に分類したものが強み、「低」が弱みとなります。

<「棚卸しシート:スキル編」の項目例>
「意欲」……自己信頼、自己管理など
「思考・発想」……問題分析、計画力、リーダーシップなど
「行動」……職務遂行・課題達成、組織貢献など

ワーク3 把握した「強み」と「裏打ちする経験」を関連づける

 自分の強みを把握したら、それを裏打ちする経験も書き出します。例えば「計画力」が強みなら、「どういった仕事で」「いつまでに」「何を達成したか」「どんなスキルを発揮したか」を書き出して整理します。

岩下さん「ここも時間がかかりますが、最初は箇条書きでもかまいませんから、強みを整理しましょう。例えば『あなたの強みは何ですか?』と聞かれたとき、『責任感』と単語で答えるよりも、『○○な経験をして、○○という責任感を発揮した』と言えたら説得力が増しますよね。

 私は『仕事の強みは仕事の経験からしか得られない』と考えています。今日のセミナーは、『自分の強みを認識し、今後のキャリアにつなげる』ことがゴール。皆さんにもぜひ、自分の強みを認識してほしいと思っています」

質疑応答ではキャリアの棚卸しポイントを伝授

 セミナーの最後は参加者の女性たちから質問が寄せられました。

参加者「キャリアの棚卸しは、どのタイミングで行うのがベストですか?」

岩下さん「転職を考えている時だけにするものではなく、異動、昇格、昇進など節目節目で書いておくとよいですね。自分のミッション、役割が大きく変わったときも書くようにしましょう。私自身は役割が変わったときはもちろんですが、仕事でターニングポイントがあった時や自分自身のキャリアを見つめ直したいときに『そもそも自分のやりがいは何だったかな?』と振り返るようにしています」

参加者「『自分の強み』と『裏打ちされた経験』を結び付けるのが難しいのですが……」

岩下さん「最初はよほど意識していないと、強みと経験をヒモ付けることは難しいと思います。どんな小さなことでも具体的なエピソードを書き出し、つなげていくと説得力が出ますので、トライしてみてください。自分で分からないときは同僚や先輩、上司に『私の強みは何ですか?』『自分では○○が強みだと思うけれど、どうですか?』と聞いてもよいでしょう」

参加者「『自分の強み』は分かりましたが、『自分の弱み』はどうしたらよいのでしょうか?」

岩下さん「自分の弱みも認識して、克服できればベストです。ただ、仕事で弱みに直面しなければ『強みを生かして働き続ける』のも一つの手です。でも、できれば弱みを放置して開き直るのではなく、時間管理が苦手なら得意な人に対処法を聞くなどして改善していけるとよいですね」

 キャリアの棚卸しをして、自己分析が的確にできれば今後の目標も立てやすくなります。皆さんもこれを機に自分のキャリアを振り返ってみましょう。

文/三浦香代子 写真/辺見真也(イベント)、PIXTA(イメージ)

◆修正履歴:本文の一部を修正しました。(2018年6月26日)

Provider

日経ウーマンオンライン

2018/06/26掲載記事を転載
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