64万円を資格のために投資 短期集中で学んだ結果…

64万円を資格のために投資 短期集中で学んだ結果…

2018/05/29

趣味を極めて、手に入れた希望の仕事とは

 「なりたい私」になるために、オフ時間を上手に使いたいと思う人は多いはず。でも実際のところ、「どうやって時間のやりくりをしているの?」「過ごし方を工夫したら、どんな未来が待っているの?」と思うことはありませんか。そこで今回は、オフ時間を上手にやりくりしている読者に徹底取材。紅茶や旅行業の資格を取得し、転職で新しい道を切り開いたH・Kさんに、「自分時間」を上手に使うコツを伺いました。


<プロフィール>
H・Kさん(38歳)
製造、マーケティング、独身
平日のオフ時間の合計:約2.5時間
休日のオフ時間の合計:約6時間
紅茶の資格取得のために64万円を投資

――昨年、紅茶関連の会社に転職されたと伺いました。なぜ紅茶に関する仕事をしようと思ったのですか?

 「趣味の延長で、以前からオフ時間を使って紅茶の勉強をしていました。そして27歳の時に、『ティーコーディネーター』という資格を取得。海外で働いてみたいと思っていたので、29歳の時にはロンドンの紅茶関連企業で働いた経験もあります。

 これらの経歴を振り返ったときに、『自分は人とは違う経験をしている』ということに気付いたので、この経験を発信したいと思って、紅茶関連の仕事をしようと思いました」

――趣味を極めていったら、それが仕事につながったんですね。ちなみに「ティーコーディネーター」の資格には、どのくらい時間やお金を投資しましたか?

 「週末にティーコーディネーターの講座を受講して、半年くらいで取得しました。かかった費用は、受講料が15万円。講座の開催地が遠方だったので、交通費も15万円ほどかかりました」

――34歳の時には「ティーアドバイザー」という資格も取得されたそうですね。これにはどれくらい投資したのでしょうか。

 「この時は、週1回の講座を1カ月間受講。受講料は8万円でした。講座の受講以外では、休日は試験勉強の時間に充て、スキマ時間に紅茶関連書籍を読んだり、ティールーム巡りやテイスティングの研修を受けたりもしました。

 その他には、紅茶の産地であるスリランカの工場や茶園巡りなどもしたので、その旅行代金が26万円。ティーコーディネーターとティーアドバイザーの両方を合わせると、トータルで64万円ほど投資しました」

――「オフ時間」を使って取得したこれらの資格は、仕事にどのように役立っていますか?

 「紅茶そのものや、業界に関連する法律や流通の知識が深まったので、仕事をする上で必要な知識の習得がすんなりと進みました。資格は自分の知識を第三者に客観的に証明してくれるものなので、お客様からの信頼を得やすかったり、転職の面接にも役に立ちましたね」

――転職前は、銀行関連の会社で外貨両替に関するお仕事をされていたと伺いました。38歳で転職をする時、不安や葛藤はありましたか?

 「もちろん不安や葛藤はありました。ただ、私の周りには、興味のあることを学ぶために学校に通ったり、安定した職を辞めて好きな仕事を始めたりする友人がたくさんいるんです。子どもがいたり、私よりも上の年齢で新しいことに挑戦する人もいて、その人たちがきちんと生活を成り立たせ、イキイキとしている姿を見ると、『年齢や環境は関係なく、チャレンジすれば道が開けていくものなんだな』と思えてきて、背中を押されました」

――実際、転職前と転職後では、どのような変化がありましたか?

 「これまで自分が努力して身に付けてきた知識や経験を認められ、生かせることで、自分に自信が持てるようになりました。自分の人生や今の状況を受け入れ、物事を前向きに捉えられるようにもなったと思います。

 また、転職したことで、海外で働けるようにもなりました。今は国内勤務をしていますが、就業ビザが下りたら、スリランカで働くことになります。スリランカでは、日本に紅茶を輸出・販売するための販路を開拓・拡大していく予定ですが、小売店との契約や宣伝・営業のために、日本にも出張で頻繁に来ることになりそうです」

10年後には紅茶関連の講座を開催できるように

――海外で仕事をされるということは、英語も話せるということですよね。海外での仕事を目標に、これまで「オフ時間」を使って英語を勉強されてきたのでしょうか?

 「英語については、特に目的があって勉強したことはありません。学生時代は英語が一番好きで、よく勉強していたのですが、社会人になってから時間とお金を投資したことはないんです。

 ただ、英語で書かれた紅茶関連の資料を読んだり、外国人の友人と英語でやり取りをする機会が多いので、それが結果的に英語の勉強になっているんだと思います。

 英語でのコミュニケーションに抵抗がなく、そのおかげで働く場所の選択肢が広がったり、交流の幅が広がったりしているので、英語が好きで本当によかったです」

――「総合旅行業務取扱管理者」という、旅行業の資格も持っているそうですね。この資格は、なぜ取ろうと思ったのですか?

 「知人から、共同で紅茶ツアーの主催をしようと誘われたことがきっかけです。ツアーを主催し、参加者を募集するためにはこの資格が必要だったので、半年間かけて勉強し、37歳の時に取得しました。

 ちょうどこの資格を取った頃に、『日本の旅行会社でも外貨両替業務ができるようになった』という記事を読み、『外貨両替の経験と旅行業の資格があるなら、今後 退職をしても旅行関連の仕事なら見つかるだろう』と思い、転職する勇気にもつながりました」

――この時は、どのようにして勉強時間を確保したのですか?

 「仕事がある日は、休憩中や帰宅後に勉強。休日は誘われたときだけ外出して、それ以外はなるべく自宅で勉強するようにしていました。講座などには通わず、市販のテキストや過去問題集を購入して自宅で学習していたので、かかった費用は1万5000円ほどです」

――働きながらこれだけの資格を取得していくためには、「自分時間」を有効に使っていく必要があると思います。時間管理や勉強のコツなどがあれば教えてください。

 「短期集中型で取り組み、資格取得の勉強中は、他のことを同時進行しないようにしていました。旅行業の勉強中は紅茶の勉強はせず、旅行の資格取得に専念するといったかたちです」

――時間とお金を投資して新しいことにチャレンジするとき、「本当に結果が付いてくるのだろうか……」と、不安になったことはありますか?

 「どれも勉強を始めた時は、将来的に仕事につなげようと思っていたわけではなく、趣味の延長という感覚でした。そのため勉強した後のことを考えて不安になることはなく、年齢的な葛藤などもありませんでしたね」

――「好きこそ物の上手なれ」というように、「自分時間」に好きなことを突き詰めていくことが、「なりたい私」になる方法の一つなのかもしれませんね。では、今後はオフ時間をどのように使っていきたいですか? 10年後の目標なども教えてください。

 「スリランカを拠点に仕事をするので、今後はオフ時間にも英語や現地語の学習が必須になってくると思います。また、現地の生活になじんで友人を増やし、ストレスをためないようにするためにも、趣味のサークルなどにも参加していきたいです。

 そして10年後には、スリランカに来る観光客を対象に、紅茶工場や茶園などへの案内、紅茶やテイスティングの講座などを開催していたいと思っています」

文/青野梢 写真/PIXTA

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日経ウーマンオンライン

2018/05/29掲載記事を転載
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