「自分でやったほうが早い病」、必ず治る方法はコレ

「自分でやったほうが早い病」、必ず治る方法はコレ

2017/11/22

仕事を抱えすぎてパンク寸前! 回避するには

 10月より開始した新連載「じぶん働き方改革」。第2回の「作業の効率化が下手な3タイプ あなたがすべき対策は」では、「段取りベタ」、「標準化ベタ」、「優先順位ベタ」を改善することが残業を減らす鍵とお伝えしました。前回の記事「段取りが下手なAさんの1日を紹介 改善点はココ」でお教えした「段取りベタ」をつぶすための対策に続き、今回は「標準化ベタ」をつぶすためのコツについてお伝えします。

「標準化ベタ」に共通する3つの傾向

 仕事を抱えすぎてパンク寸前の方は、次の3つの問題点があります。

1.「自分でやったほうが早い病」に取り付かれている
2.探し物に多くの時間を取られている
3.マニュアルがないので同じ間違いを何度も繰り返してしまう

 上記の問題を解決するためには、自分一人で抱え込み過ぎないために正しい「標準化」の仕方を学ぶ必要があります。解決策に入る前に、まずは上記問題について詳しく見ていきましょう。

「自分でやったほうが早い病」の傾向と対策

 「自分でやったほうが早い病」とは、周囲に説明する暇があるなら自分でサッサと済ませたほうが速く終わると考え、仕事を抱える傾向がある人のことをいいます。頭の回転が速く、一匹狼的でスマートに仕事をこなすため、できる人と思われることが多いですが、自分がやっていることを相手に伝えたり、協力をお願いしたりするのは苦手です。

 このタイプは仕事が少ないときや自分ひとりで回る仕事をしているうちはいいのですが、チームプレーになったときや休みを取りたいとき、キャパオーバーして誰かに助けてほしいときに、今まで周囲に仕事の内容を説明していなかったツケが回ってきます。自分の作業を明文化できないため、複雑な仕事を一人で抱え込むことになりがちです。

「自分でやったほうが早い病」の対策 2ステップ

 「自分でやったほうが早い病」は次の手順で改善していきましょう。

1.「任せられる人のほうが優秀」と意識を変える
2.仕事の手順を明示化していく

 順番に説明します。

1.「任せられる人のほうが優秀」と意識を変える

 このタイプがなかなか人に仕事を頼めないのは、コミュニケーションに対する苦手意識の他に「自分がいることで仕事が回っている」と思いたいという隠れ欲求を持っていることが多いのです。自分が重要な人物だと思ってほしいがために、あえて自分の仕事をブラックボックス化しておくのです。

 しかし、今後、テレワークや兼業・副業といった柔軟な働き方が求められていく時代、今後は「自分がどのぐらい働いているか」を、毎日接することがない相手に適切にプレゼンする力がますます必要になってくることでしょう。「あの人は何をやっているか分からない」と思われることはリスクでしかありませんし、周囲の協力がないままいつまでも目の前の仕事を頑張っていても、自分のキャパ以上の仕事しかできません。「仕事ぶり」をどう表現するかに悩み、日々残業……となったら本末転倒です。

 コンサルティング先のある企業では、管理職になる条件の一つに、自分のスキルを独り占めにせずに相手に提供してチーム全体を底上げする能力を挙げています。このタイミングで、仕事を抱えない人間になったほうが身のためです。

2.仕事の手順を明示化していく

 もともとこのタイプは優秀な方が多いです。優秀であるために、「なんで私と同じようにできないの?」と周囲にイライラし、説明する暇が惜しくなり、先に手を動かします。これは裏を返せば、あなたのサッサと仕事をこなせる手順を明示化できたら、すばらしい育成マニュアルになる可能性があるということなのです。

 過去記事「提案すると「じゃあやって」 忙しくせずに実行する方法」で紹介した、自分の抱えている仕事を小さな「粒」に分解していくところから始めてみましょう。あなたが普通にこなしている膨大な仕事をプロセスに分解することができたとき、それは会社の業務改善を劇的に変える宝になるかもしれません。また、あなたが普段一人でどうにか頑張ってこなしていた仕事も、手順を分解してみると、自分にしかできないこと、他の人にお願いしたほうが効率的なことが見えてきます。作業員の視点からプロデューサー視点に徐々に転換することができますよ。

探し物に多くの時間を取られているときの傾向

 物も情報も、「欲しい」と思ったときに手元にないと大きなストレスになります。探すための時間のロスも惜しいですが、探そうと思っているうちに興味が違う方向に行ってしまい、余計な時間がかかってしまうのもよくある話です。

 例えば「あのときに使った図が欲しいのに、どこにあるか思い出せない」と過去のファイルを探しているうち、別の資料を読み込んでしまったり、違う調べ物が気になったりしていませんか? 仕事で必要なイラストや写真を検索しているうちに、かわいい子猫の写真集を見つけて見入ってしまい、気付いたら既に30分以上たっていた、なんてこともありますよね。1日のうちにこのようなトラップにかかる時間が少なく見積もって15分だとしても、1年換算で実に90時間も費やしていることになります。

探し物に多くの時間を取られているときの対策

 このような事態を防ぐための対策としては大きく3つです。

1.物の定位置を決めておく
2.情報は名前のルールを決めておく
3.情報収集は「プッシュ型」で自然に集まるようにしておく

 「1.物の定位置を決めておく」は、文字通りデスクやパソコン内での置き場所を決めてしまうということです。机やデスクトップが散らかってしまう人は、一度決めた場所に戻すという基本的な作業を怠っていることが多いのです。使い終わったら元に戻す、を徹底するだけでもだいぶ変わります。

 「2.情報は名前のルールを決めておく」は、一度使った資料を参考にしたいときなどに、一定のキーワードで検索できるようにするということです。例えば私の場合講演資料は「20171130A社働き方改革講演資料」といったように、「日付・社名・内容」を必ずファイル名に付けておくようにしています。こうすれば、いつでも必要なときに検索できるようになりスマートです。

 「情報収集は『プッシュ型』で自然に集まるようにしておく」は、気になる情報は自分から検索しなくても集まってくるよう工夫するということです。

 情報の入手法には、「プッシュ型」と「プル型」があります。プッシュ(Push)型は、自分から働きかけなくても自動的に情報を得ることができるもの。プル(Pull)型は自分から働きかけないと情報を得られないものです。例えばメルマガなど、一度登録したら自動的に情報が送られてくるものは「プッシュ型」、ブラウザの検索窓に調べたいキーワードを入力して検索結果を得るのは「プル型」です。情報収集をしていて、目的のもの意外のものに興味が移り本来すべきことをおろそかにしないためには、「プッシュ型」のサービスを上手に活用していきましょう。例えば私の場合は「Googleアラート」に欲しいキーワードを前もって登録しています。登録したキーワードに一致する新しい検索結果が見つかると、その都度、指定したメールアドレスに情報が送信されるので、わざわざ毎日定期的に検索しなくても情報が手に入るようになります。

マニュアルがなく同じ間違いを何度も繰り返してしまうときの傾向

 これは、探し物に多くの時間を取られている場合と共通する悩みでもあります。例えば半年に一度、定期的に行われている大きな会議があったとき、毎回「前回はどんなふうにやっていたかな?」と、過去のメールを探し出したりしていませんか? 探しているうちに違う悩みも出てきて本来の目的でない時間を過ごしてしまうのは時間の無駄。「こんなときはこうする」を常にマニュアル化することを意識しましょう。

マニュアルがなく同じ間違いを何度も繰り返してしまうときの対策

 まずマニュアルを作るところから始めるわけですが、心掛けることは「数字で」「具体的に」を意識することです。「状況次第で」「必要に応じて」という曖昧な言葉を使ってマニュアルを作ると、その都度迷うことになりますので、いちいち判断の余地を挟むことなく、自分がまるで機械になったかのように仕事ができる状態に作り込むことができれば、自分もラクなだけでなく、周囲にも共有できるようになります。

 例えば月一の定例会議なら、会議前、会議中、会議後に関するToDoや作業内容をまとめておきます。

 ちなみに私の子どもがまだ1歳未満のときは、プライベートのマニュアルを作っていました。「朝起きたら…朝ミルク100cc/連絡帳記入/ゴミ捨て」「帰宅後…お湯を沸かしてポットに/離乳食おかずキューブ4個を解凍/晩ご飯用ミルクをセット」などと、具体的に何時までに何をセットするかをマニュアル化しました。

 数字で具体的にすべきことを挙げておくと手分けもしやすいですし、勝手に相手に「ここまでやってほしかったのに」と期待してやってもらえないストレスを抱えることもなくなります。

今マニュアルを作ってしまえば、後から大きな成果となる

 今回の話をまとめると、次のようになります。

1.「自分でやったほうが早い病」に取り付かれている
→ 「任せられる人のほうが優秀」と意識を変える
→ 仕事の手順を明示化していく

2.探し物に多くの時間を取られている
→ 物の定位置を決めておく
→ 情報は名前のルールを決めておく
→ 情報収集は「プッシュ型」で自然に集まるようにしておく

3.マニュアルがないので同じ間違いを何度も繰り返してしまう
→ マニュアルを「数字で」「具体的に」作成する

 一つ一つは細かい心掛けですが、小さな改善がやがて大きな成果となります。忙しいからと上記作業をおろそかにした人と今から改善した人では、1年後に大きな差が開いていくことでしょう。今回の記事を参考に、あなたの働き方を少しずつ改善してみてくださいね。

■参考:Googleアラート

文・図版/池田千恵

さあ、働き方改革をはじめよう。明日から実践できるノウハウが盛りだくさん。
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Profile
池田千恵(いけだ・ちえ)
株式会社 朝6時 代表取締役。慶應義塾大学総合政策学部卒業。外食企業、外資系戦略コンサルティング会社を経て現職。企業や自治体の朝イチ仕事改善、生産性向上の仕組みを構築している他、「働き方改革プロジェクト」「女性活躍推進プロジェクト」など、ミドルマネジメント戦力化のためのコンサルティングや研修を行っている。「絶対! 伝わる図解」(朝日新聞出版)、「朝活手帳」(ディスカヴァー21)など著書多数。

Provider

日経ウーマンオンライン

2017/11/22掲載記事を転載
「自分でやったほうが早い病」、必ず治る方法はコレ