勉強や資格が仕事に生かせていない人の特徴&解決策

勉強や資格が仕事に生かせていない人の特徴&解決策

2019/01/23

アウトプットが苦手な人でもできる、朝30分の活用法

 今後、副業が当たり前になっていく中で、時間の切り売りをする仕事を副業や兼業に選ぶことは、ブラックな働き方につながりかねません。会社員を続けながらも、自分の価値を見極め、能力を役に立つ形でパッケージ化するには、どうしたらいいのでしょうか。この連載では、働き方改革のコンサルティングを行っている池田千恵さんが、「ポータブルスキル(持ち歩き可能な、どこでも通用するスキル)」を磨く方法を指南します。第4回の今回は、今持っているあなたのスキルを生かす方法を教えます。

せっかくのインプットがアウトプットにつながらないのはなぜ?

 この連載「じぶん商品化戦略」が始まってから、次のような悩みの相談に乗る機会が増えてきました。

◆今のところ副業をするつもりも、起業するつもりもないけれど、今のままではいけない気がしている

◆今すぐではないけれど、例えば3年後くらいに時間や場所にとらわれない自由な働き方ができたらいいなと考えている。でも、具体的に自分に何ができるのか分からない

◆まずは行動しないと! と思い、潰しがききそう、箔が付きそうな資格(キャリアカウンセラーやファイナンシャルプランナーなど)を勉強し始めたり、資格を取ったりしたけれど、それをどう仕事や人生に生かせばいいかを考えると止まってしまう

 この連載では「人生100年時代」に備え、時間や場所にとらわれず、時間の切り売りではなく価値の交換で仕事ができるようになる「じぶん商品化」の重要性や具体的方法について述べています。しかし、頭では分かっているつもりでも、いざ行動に移そうとすると、上記のような状態で迷っている人が多いように思います。

 このような悩みを抱えている人の話を詳しく聞いていくと、次の行動パターンが見えてきます。

1.今後の勉強のために時間をつくろう! と思っているけど、仕事が忙しくてなかなか時間がつくれない。やっと時間がつくれてもつい、疲れてしまってダラダラと無為な時間を過ごしてしまう

2.それでも頑張って、いざ資格や専門知識を得ても、自分がそんなことを始めてもいいのだろうか? 他の人にどう思われるだろうか? そもそも専門家を名乗るほどの知識もないし……という不安から発信や行動をためらう

忙しい人ほどさらに忙しくなる「働き方改革」のワナ

 このような状態になってしまうのも、ある意味仕方がないことではあります。

 「働き方改革」が叫ばれる昨今、企業は労働時間削減に動きだしていますが、実態としては、「○時までに帰るように」「でも仕事内容の生産性向上は各自工夫するように」といった会社も、残念ながらまだ多いのが現実です。「仕事は忙しい人に頼め」とはよく言ったもので、真面目に一生懸命頑張っている人ほど忙しくなります。転職しよう! とか副業しよう! と固い決意を持っている人でない限り、目の前の仕事の忙しさに追われてしまい、気付いたら夜になり、ぐったりして眠って、起きたら出社して……という日々なのではないかと思います。

 それでもなんとか時間をやりくりして、自分のスキルアップのために資格の勉強をしようという姿勢は素晴らしいと思います。勉強のし過ぎは「じぶん商品化」にとってはむしろ弊害になるという話は第2回の「真面目な人ほど『自分はまだまだ病』でチャンスを逃す」でも述べましたが、とはいえ勉強している間は、自分が前に進んでいる感じがするので安心するのも確かです。

 また、資格を取ったら取ったで、次の問題に直面します。今の職場で得た専門知識や、資格試験で培った知識を発信してみようと思っても、社内機密に関わるかもしれないと思うとむやみには発信できないし、自分のような資格を持っている人なんてたくさんいるから先生みたいに偉そうな知識を書くこともできないし、顔や名前を出して発信するなんてとんでもない、ということでちゅうちょしてしまうこともあるかもしれません。

 「忙しい → 時間がつくれない → 疲れ切ってしまう → 考える時間が取れない → ますます時間がつくれずに忙しくなる → 無理に時間をつくって学んだ勉強もうまく活用できない」という負のスパイラルにはまってしまうと、せっかくのやる気もそがれてしまいますよね。そこから抜け出し、いま持っている自分の強みをどう生かしていけばいいでしょうか。今回は解決策を二つ述べます。

朝の30分で文章化を習慣にすれば、負のスパイラルから抜け出せる

 負のスパイラルから抜け出す方法は二つです。

1.朝の始業前30分を活用する

2.ついついダメだししたくなること、勝手におせっかいしたくなることを文章化してみる

 順番に説明しましょう。

【朝の始業前30分を活用する】

 時間はお金と似ていると私は常々考えています。給与天引きで給料日に自動的に貯金できるように仕組み化しておくとお金は貯まりますが、同じ額を給料日前に貯めようと思っても貯まらない、という経験はあなたにもあるでしょう。時間も一緒で「時間があったらやろう」と思ってもいつまでたっても時間はつくれません。朝イチにまず、考える時間をつくってみましょう。いきなり朝4時起きは無理でも、30分程度時間をつくることならできるはずです。朝の時間は睡眠で記憶や感情経験が整理整頓されるため、脳が一番「飽きていない」状態なので、クリエーティブなことを考えるのに適しています。(参考:「朝すっきり」のために、夜にやるべきこと

【ついついダメだししたくなること、勝手におせっかいしたくなることを文章化してみる】

 実は、「もどかしい」「イライラする」「私だったらうまくできる」と思うことに、あなただけが解決できる問題や専門性が隠れていることが多いのです。朝の30分を使い、ついついダメだししたくなること、勝手におせっかいしたくなることを文章化してみましょう。

 例えば私の場合、長年プレゼン資料作成の仕事をしていたので、電車に乗っている最中も車内広告や雑誌広告などをプレゼン視点でついつい見てしまうクセがあります。長過ぎたりまとまっていなかったりする文章や、落ち着かない配色、デザインなどを自分の頭の中で勝手に直してスッキリするのです。このように勝手についついやってしまうこと、「もったいない!」「残念!」とイライラしたりすることに、あなたの「じぶん商品化」のタネがあります。

 例えば、

◆残念と思った出来事
◆なぜ残念と思ったのかを、自分の専門的な知識から説明
◆Before → Afterでどう変えればスッキリするか

などを、まず文章化してみると、SNSやブログのネタが出来上がります。これなら機密保持についての心配は少ないですよね。

 例えば美容やメークに詳しくて専門知識豊富な人なら、街を歩く人の眉毛をついつい見てしまう、という人もいるかもしれません。この顔形にはこの眉毛の形のほうが絶対合うのに! 変な形でソンしていてもったいない! といった、残念に思う気持ち、もっとこうしたらいいのに! という気持ちを文章にぶつけてみると、それがそのままあなたらしい切り口になるのです。

 この前編集者の知人に聞いてその視点は編集者ならではで面白い! と思ったのは、美術館の説明文がいつも分かりにくいという不満でした。分かりにくい説明文を読むためにお客さんが絵の前で長時間立ち止まってしまい、美術館も混んでしまっていいことがない。分かりやすい見出しやまとめる能力があったら、もっと美術館も楽しくなるのに! という考えに、彼女ならではのプロとしての視点があると思いました。

 専門的な知識なら、教科書が一番詳しいのは当然のことです。教科書と比べたら絶対に知識の数や完全さでは負けてしまいます。「じぶん商品化」とは、完璧な知識を相手に伝えるということではありません。あなたから見て、残念な状態、理想の状態があって、あなたの知識や経験で、何をどのように変えることができるかの「ものの見方」「視点」が商品になっていくのです。朝30分、こんなアイディア出しからなら始められると思いませんか?

まとめ

 今回のまとめは次のようなものです。

◆資格を得たり、専門知識の習得をしたりしても、どう活用したらいいか迷っている人は多い

◆いざ資格や専門知識を得ても、そもそも専門家を名乗るほどの知識もないという不安から発信や行動をためらってしまうという問題もある

◆「忙しい → 時間がつくれない → 疲れ切ってしまう → 考える時間が取れない → ますます時間がつくれずに忙しくなる → 無理に時間をつくって学んだ勉強もうまく活用できない」という負のスパイラルを断ち切ろう

◆負のスパイラルを断ち切る鍵は次の二つ
1.朝の始業前30分を活用する
2.ついついダメだししたくなること、勝手におせっかいしたくなることを文章化してみる

 「じぶん商品化」のために専門性を磨こう、と思っていても、どうやって具体的にやるのか、やったところでどう使うのかが分からないと、せっかく時間をつくっても前に進めることができませんよね。あなたの視点や専門性を待っている人は必ずいます。まずは朝の30分で自分ならではの視点を磨く習慣化から始めてみてくださいね。あなたの第一歩を心から応援しています!

文/池田千恵 イラスト/PIXTA

Profile
池田千恵(いけだ・ちえ)
株式会社 朝6時 代表取締役。慶應義塾大学総合政策学部卒業。外食企業、外資系戦略コンサルティング会社を経て現職。企業や自治体の朝イチ仕事改善、生産性向上の仕組みを構築している他、個人に向けては、教えるプロ(講師・コンサルタント・専門家)として起業したい人が商品作りを学べるコミュニティー「教えるプロのための自分商品化実践会」を主宰。9年連続プロデュースの「朝活手帳」など著書多数。

Provider

日経ウーマンオンライン

2018/11/14掲載記事を転載
勉強や資格が仕事に生かせていない人の特徴&解決策