頑張った人が頑張った分だけ評価される仕組みって?

頑張った人が頑張った分だけ評価される仕組みって?

2017/04/04

フォルシア(後編)部下も上司も互いに「金額」で評価する理由

全社員の評価を金額でつけ、それが賞与に反映されるフォルシアの「3C制度」。「本当にフェアな評価を」という思いで、社長自らが作り上げた制度です。社員同士が金額で評価し合うという仕組みは、どのように生まれたのでしょうか。代表の屋代浩子さんにお話を伺いました。

前編はこちら⇒ 賞与額を社員全員で決める会社 一体どうやって?
社員全員に、フェアな評価を

――「3C制度」はどのように始まったのですか?

 実現したいことはシンプルで、「頑張った社員が頑張っただけ評価される仕組み」を作りたかったのです。人一倍努力している人と、適当にサボっている人が同じお給料だったら、努力している人が報われないですよね。フェアではありません。フォルシアの行動指針の一つに「フェアネス」という言葉があるのですが、それにのっとり「正しい評価」をしたいと思って作った制度です。

フォルシア 代表取締役社長 最高経営責任者(CEO) 屋代浩子さん

 正しい評価は、現場にいる社員だからこそできると思っています。社員が数名のときは、しっかり全員に目を配ることができるので、私が評価を決めても問題はありませんでした。ただ、会社が大きくなってくるにつれ、どうしても目が行き届かなくなります。それなら、一緒に仕事をしている社員同士で評価をするのがベストなのです。

――コメントや、ABC評価ではなく、金額のみを記入するのはどうしてですか?

 コメントにすると、結局曖昧になってしまうのです。例えば、4人チームで仕事をしているときに、Aさん、Bさん、Cさん、本当に平等だと思いますか? 「Aさんはいつもすごく一生懸命だ」「Bさんはちょっとサボってるな」など、微妙に違いが出てきますよね。しかし、それをコメント評価にすると、どうしても「みんな頑張ってます」「まあまあです」という評価になってしまいます。ABC評価も同じですね。それでは制度の意味がありません。ですから、金額であることに意味があるんです。

社員の評価はほぼ一致する

――部下が上司の評価をすることにもなりますね。上司だから、仲が良いから、と気を使ってしまうことはないのでしょうか?

 それはありませんね。上司であっても、自分に対する評価は見ることができないので、みんな正直に記入していると思います。そうした社員たちの姿勢は、制度を始めたときから変わりません。余計な手間がかからない、「金額を記入する」というシンプルな方法なのもよかったのだと思います。

3C評価シートの一部(サンプル)

――上がってきた評価をご覧になって、いかがですか?

 いつもほれぼれしてしまいます。本当にその通りだな、と。面白いもので、社員たちの評価はほぼ一致しているのです。学校で、「一番頑張っている子は誰?」「一番サボっているのは誰?」と生徒に聞くと、だいたい一致しますよね。それと同じだと思います。毎日一緒に過ごしていれば、その人がどんな姿勢でいるかは自然と目に入ってくるものなんですよね。

――3C制度によって、社内にはどんな変化がありましたか?

 何年もかけて、今ようやく根付いてきた風土なのですが、社員が自分をアピールするようになりました。エンジニアは傾向として、ものすごい技術を持っていても自分だけで楽しんで満足する、となりがちなんです。しかし、3C制度を始めたことによって、「皆に知ってもらう」ことが評価に直結しました。ですから、その人の中にしまってあったものがどんどん外に出てくるようになりましたね。そうした共有は会社の財産になりますから、本当にうれしい変化です。

 それから、意外な変化だったのが、プレゼン技術の向上です。週に一度、「朝ブリーフィング」という全社会議で、各自のプレゼンを行っているのですが、年々その場がよくなってきています。強制されているわけではなく、自分で手を挙げて発表しているので熱が入りますし、技術も伝え方もどんどんうまくなっています。

 ただ、アピールやプレゼンが下手でもきちんと評価されるのが、3C制度のいいところなんです。もちろんプレゼンは大切な機会ですが、社員同士が一年間ずっと仕事ぶりを見ている。そうした日ごろの評価があってのプレゼンです。たとえ拙い発表だったとしても、熱があれば社員はきちんと評価してくれます。

NGな評価の仕方は?

――NGな書き方もあると伺いましたが、どのようなものですか?

 例えばAさんに全額を渡して残り全員はゼロ、というつけ方ですね。絶対にダメというわけではありませんが、ゼロの人たちのモチベーションが下がり、全員辞めてしまったとしても、本当に自分は仕事ができるのか。そこまで考えてほしいのです。年に一度でも、会社組織のことを真剣に考える機会になればと願っています。

――今後の制度運営にあたって、課題などはあるのでしょうか?

 今のところは予想以上によく機能していると思います。ただ、最近若い社員から聞こえてくるのは、「人の評価なんてしたくない」という声です。

 確かに、お金で同僚を評価するというのはシビアなのかもしれません。あまり関わりのない社員の分まで評価するというのは、ある意味面倒なことでしょう。しかし、「今年、私の部署は大きく貢献したから、賞与もたくさんもらうべきだ」と主張できるわけです。個人が部署間のパワーバランスにまで関与できるということで、全員が会社の経営に参加しているのです。

 ボランティア活動ではないので、会社は利益がなければ存続していけません。資本主義社会ではそれは当たり前のこと。個人で考えても、それは同じですよね。自分の利益を上げるには、会社に貢献することです。全員がそう思っていれば、会社はもっともっと成長できる。ですから、自分の影響力を意識して、楽しんでほしいです。今後はその意図をもっと伝えていこうと思っています。

――ありがとうございました!

文/藪内久美子 写真/編集部

フォルシア


2001年設立。膨大なデータベースから、必要な情報を的確に、素早く探し出す情報検索プラットフォーム「Spook(R)」の開発を手掛け、大手旅行会社などに採用されている。社員は半数近くがエンジニア。社員の働きやすい環境づくりに力を入れており、2016年、2017年の2年連続で「働きがいのある会社」ランキングに入賞、2017年には「3C制度」が「グッド・アクション」を受賞した。
URL:http://www.forcia.com/
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日経ウーマンオンライン

2017/04/04掲載記事を転載
頑張った人が頑張った分だけ評価される仕組みって?