賞与額を社員全員で決める会社 一体どうやって?

賞与額を社員全員で決める会社 一体どうやって?

2017/04/03

フォルシア(前編)自分以外の全社員を「金額」で評価

独自に開発した情報検索プラットフォームが多数の大手企業に採用されているフォルシア。頑張った人を正当に評価するために、オリジナルの評価制度「3C制度」を導入しています。この制度がリクナビNEXT主催の「グッド・アクション」を受賞したと聞き、お話を伺ってきました。賞与額を自分たちで決めるって、一体どういうこと?

仕切りのないオフィスが評価制度の役に立つ

 新宿駅南口から直結している複合施設・JR新宿ミライナタワー。2016年に出来たばかりのこの建物に、フォルシアのオフィスがあります。出迎えてくれたのは広報の見原麻里子さん。まずはピカピカのオフィスを見せていただくことにしました。

フォルシア 広報の見原麻里子さん


オフィス奥にはリフレッシュスペースも

 「部署ごとの仕切りなどは特になく、全員が見渡せるようになっています」という言葉通り、80名以上の社員のデスクがずらっと並んでいます。奥には、社長をはじめ役員の席もあるとのこと。社長室などはありません。

「隣のチーム、他部署とも気軽にコミュニケーションが取れるので、『3C制度』の評価をするのにいいんです」

自分以外の社員を「金額」で評価

 見原さんから「3C制度」という言葉が出たところで、制度について改めて教えていただきました。

 3C制度は、一言でいうと「特別賞与の額を全員で決める」制度。毎年決算期が近づくと、自分以外の全社員の氏名が書かれたシートが渡されます。そこに、「この社員がもらうべき賞与額」を一人ずつ書き込んでいくのです。

 手渡された時点では、仮の金額として一人につき100万円割り当てられています。社員数が10名なら、合計1000万円。これを、Aさんは200万円、Bさんは100万円、Cさんは50万円などと割り振っていき、役員がその評価を踏まえて実際の賞与額を決定します。3Cとは、「Contribution」(会社への収益の貢献度)、「Commitment」(業務に対する責任感、献身度)、「Consistency」(会社への安定的関与)の略で、この3つの観点で評価を行っています。

 記入した内容すべてを見ることができるのは役員のみで、自分の金額については知ることができません。特徴的なのが、コメントなどは一切書かず、「金額のみ」で評価するというところ。同期や先輩、上司を金額で評価しなくてはならないというのは、ちょっと抵抗がありそうですが……。実際のところどうなのでしょう?

誰かに加点するには、誰かを減点しなければならない

 3C制度について、社員の方に率直な感想を聞いてみました。

「全員に加点できるわけではないのが難しいところですね。誰かをプラスに評価したいと思うと、誰かをマイナスにしなければいけないんです。最初は少し抵抗がありました」

 そう話してくれたのは、営業部の朝比奈さんです。新卒で入社して4年目。入社前から制度のことを知ってはいたものの、実際に評価するとなると、戸惑いがあったそうです。

「仕事上で接点のない社員のことも評価しなければいけないので、どう判断すればいいんだろうと迷ったことがあります。周りの人たちをよく見ていなければ評価することができませんから、自分の能力も求められる制度ですね。普段からよいところを見つけるようにと意識しています。上司の一方的な評価より、普段一緒に働いている仲間たちからの評価のほうが納得できますし、フェアではないかと思います」

営業部 朝比奈さん

 最初の年はあまり全体が見えていなかったと振り返る朝比奈さん。今は、「あの人はどんな仕事をしているんだろう」と、自然と周りを見渡す癖がついたそうです。さまざまな人と接点を持つようになり、仕事もぐっと進めやすくなったとか。

 とはいえ、自分の仕事を抱えながら他部署にまで目を配るのはなかなか難しいもの。その助けとなるのが、週に一度の全社会議「朝ブリーフィング」。社内共有事項のほか、仕事の成果や、現在の取り組みなどをプレゼンテーションする場です。

「プレゼンは、順番が回ってくるのではなく、立候補制です。自分からプレゼンの時間をもらっているので、『これを伝えたい!』という熱を感じます。みんなどんどんプレゼンがうまくなっているんですよ」

 そう教えてくれたのは、中途入社4年目、営業部の平井さんです。以前の会社とは全く違う評価制度だと思いますが、抵抗はありませんでしたか?

一方通行から双方向の評価へ

「以前の職場では上司からの評価だったので、最初は少し驚きました。ですが、一方通行だったものが、自分も参加する双方向の仕組みになったので、とてもよかったと思っています。本当に悩むし、金額を入力しながら何度も考え直します。でも、皆もそうやって真剣に向き合っていることが分かるので、評価にも納得できるんです」

 周囲への信頼感が基となって成り立っている制度のようですね。そんな平井さん、この制度を通して気付いたことがあるそうです。

「同じ部署の評価に比べて、他部署からの評価が低かったとフィードバックされたことがありました。そのときに、自分が思っている自分と他人が見ている自分って違うんだ、と気が付きました。それからは、そのギャップをどうやって埋めていけばいいのかな……と考えるようになりましたね。たとえ低い評価だったとしても、誰か一人が決めたことではないので、素直に受け入れられます」

営業部 平井さん

 その後、他部署との距離を縮めようと積極的に関わっていくようになって、評価が上がったという平井さん。部署の垣根を超えたつながりができたり、自分を見つめ直すきっかけになったりと、3C制度はさまざまな効果を生んでいるようです。

 フォルシアのオリジナル評価制度である3C制度は、どのように誕生したのでしょうか? 次回は3C制度の生みの親、代表の屋代浩子さんにお話を伺います。

文/藪内久美子 写真/編集部

フォルシア


2001年設立。膨大なデータベースから、必要な情報を的確に、素早く探し出す情報検索プラットフォーム「Spook(R)」の開発を手掛け、大手旅行会社などに採用されている。社員は半数近くがエンジニア。社員の働きやすい環境づくりに力を入れており、2016年、2017年の2年連続で「働きがいのある会社」ランキングに入賞、2017年には「3C制度」が「グッド・アクション」を受賞した。
URL:http://www.forcia.com/
この連載は、毎月2本公開します。下記の記事一覧ページに新しい記事がアップされますので、ぜひ、ブックマークして、お楽しみください!
記事一覧ページは ⇒ 「こんな会社で働きたい!」

Provider

日経ウーマンオンライン

2017/04/03掲載記事を転載
賞与額を社員全員で決める会社 一体どうやって?