鎌田浩毅 実用的な勉強重視をやめ、偶然を受け入れよ

鎌田浩毅 実用的な勉強重視をやめ、偶然を受け入れよ

2021/04/28

第1回 混迷の時代を生きるために

現在は「VUCA WORLD(見通しの立てにくい社会)※」といわれ、世界的な新型コロナウイルスの流行など想定外の状況が続いています。この混迷の時代、しっかりと自分の軸を立てて生きるには「今までの学び方を捨てる必要がある」と、京都大学名誉教授で地球科学者の鎌田浩毅さんは言います。読書術や時間術に関する著書も多い鎌田さんに、今こそ必要な学びについて聞きました。

※「VUCA」とは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の4つの単語の頭文字をとった造語。ブーカと読む。

火山学・地球科学が専門の鎌田浩毅さん。2021年3月に京都大学を退官し、現在は京都大学レジリエンス実践ユニット特任教授・京都大学名誉教授

私たちは「超想定外」の時代に生きている

日経xwoman編集部(以下、――) 今年は東日本大震災から10年という節目ですが、新型コロナウイルスの影響もあり、ますます先行きが不透明な状況となっています。これからの時代を生き抜くために、私たちはどんなことを学ぶべきでしょうか? また、この時期だからこそ学ぶ意義はありますか?

鎌田浩毅さん(以下、鎌田) まず今こそ必要な学びの前に、スケールの大きな話をしなければなりません。僕たちが現在生きているのは、日本列島にとって1000年ぶりの想定外の時代であるということです。

 東日本大震災は、1000年ぶりに起きたマグニチュード9、日本の観測史上最大という超弩級(ちょうどきゅう。桁外れに規模が大きいさま)の巨大地震でした。しかし、僕たち地球科学者が想定していたのは、30~40年に1度起きるマグニチュード7クラスの地震。マグニチュードが2違うということは、エネルギーの単位でいうとざっと1000倍は違うことになります。科学の力では東日本大震災を予測できませんでした。それから10年がたった今も、日本列島では各地で地震と噴火が頻発しています。

 これらの出来事を経験し、僕は科学的な予測に頼ったり、いわゆる「いい人生を送る」ために勉強したり、という考え方に疑問を持つようになったのです。

―― 今の時代は、科学的な予測やコントロールがあまり役に立たなくなっているのでしょうか?

鎌田 僕は現代社会を動かしているのは「資本主義」と「科学技術」だと思っていました。つまり、お金と科学が世の中をつくっている、と。

 それが、東日本大震災ですべて崩れました。科学が予想できないような地震と津波が起こり、人々の生活が破綻してしまった。資本主義と科学技術に頼りすぎると、想定外の出来事に対処しにくくなるんです。今が1000年ぶりの想定外の時代であることを念頭に置き、社会と人生を組み直す必要があります。「人生はコントロールできない」という考え方から始めなければなりません。

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日経xwoman

2021/04/19掲載記事を転載