小学校教諭の1学期間の育休 保護者への目線が変化

小学校教諭の1学期間の育休 保護者への目線が変化

2020/04/01

家事・育児のほか、ローン見直しなど「平日にやるとよい」作業をこなす

徐々に世の中に浸透しつつある、男性の育児休業。実際の取得率はいまだ6.16%(2018年度)にとどまるものの、政府でも「取得義務化」を訴える動きが出てくるなど、空気は確実に変わってきています。では、実際に育休を取得したパパたちは、家庭や仕事でどのような変化があったのでしょうか。一部の特別な“スーパーイクメン”ではない、普通のパパたちへのインタビューを通じて、社会の実相に迫ります。

育休を取った人
羽田共一さん(仮名) 小学校教諭
家族構成:妻(医療事務のパート)、長女(2歳)
育休取得経験
長女が3カ月の頃から3カ月半

妻の切迫早産を機に夫の育休取得を検討

 中国地方にある小学校で教員をしている羽田共一さん(仮名)が待望の第1子を授かったのは、結婚から6年目のことでした。妊娠7カ月のときに妻が切迫早産と診断されて入院したのをきっかけに、夫の羽田さんが育児休業を取得することを考え始めたといいます。

 「早くから子どもを欲しがっていた妻は、第1子を授かるまで数年間、なかなか妊娠しないことに悩んでいました。そんな中で、ようやくできた子どもです。妻が入院したときは、『もうこれ以上、妻を不安にさせたくない、助けたい』という気持ちになりました」(羽田さん)

 妻の入院中や退院後の自宅療養中に、子どもが生まれてからのことも考え始めました。「妻は何事もよく考えて行動するタイプで、仕事も家事もテキパキこなす人です。そのため、妻が家事・育児をすることには何の不安もありませんでした。一方、私が勤める小学校の仕事はなかなか忙しい状況でした。しかし、自分のほうが仕事が忙しいからといって、子育てをしていく上で、妻にばかり負担をかけるのはよくないと思ったんです」と振り返ります。

 そこで、羽田さんは2つの案を検討し始めました。1つは「仕事量が少ない小学校に転勤する」こと。もう1つが「羽田さんの育休取得」です。「とはいえ、勤務先の小学校で男性の教諭が育休を取った前例はありませんでした。仕事の調整などを考えると同僚に負担をかけるのではないかということも気になり、まずは転勤を想定して校長との面談に臨みました」

 ところが、校長からは意外な反応が返ってきたといいます。

 「なんと校長のほうから『育休という選択肢もありますよ』と提案があったんです」。ちょうど勤務先の小学校では「働き方改革」の動きがあり、全職員の業務の内容の見直し・改善をしていたタイミングでした。この流れを受けて、校長も男性教諭の育休の取得に前向きになっていたのです。

 育休の取得をほぼ諦めていた羽田さんは、校長の提案に「正直驚いて、一瞬、何も言葉を返すことができませんでした」。とはいえ、育休を取得するチャンスがあるのなら願ってもない話です。「その後は事務担当の職員から資料をもらって、育休について具体的に調べていきました」。勤務先の小学校では、教諭の育休・産休中は臨時に雇用される「産休育休代替教員」に仕事を引き継げることなどを改めて確認したといいます。

新年度が始まる4月から1学期分の育休を取得

 年末に待望の長女が生まれ、羽田さんはそこから約3カ月後の4月から、3カ月半の育休を取得しました。「当時、私は体育主任という役職に就いていました。夏休み以降はプール指導や秋の運動会の準備があり、忙しくなることがあらかじめ分かっていたんです。そこで仕事の状況を考えて、育休取得は4月から1学期の間、約3カ月半にしました」。このスケジュールだと、羽田さんの職場復帰は小学校が夏休みの時期になります。「復帰直後からいきなり通常業務に入るのではなく、夏休みという『移行期間』を挟むことで次第に子育てと仕事の両立に慣れるのもいいのではないかと考えました」

 通常の企業に勤めていてはあまり意識しない「1学期」単位での育休取得は、小学校教諭という職業ならではです。「子どもたちとはプール指導で再会したときにあっという間に打ち解けることができて、ブランクを感じることはほとんどありませんでした」

羽田さん夫妻と娘さん(写真は羽田さん提供)

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日経DUAL

2020/03/25掲載記事を転載