育休を海外で過ごす 英語力向上など自己研さん兼ね

育休を海外で過ごす 英語力向上など自己研さん兼ね

2019/12/04

社内の育児SNSを活用。情報発信で「パパの育児を後押ししたい」

徐々に世の中に浸透しつつある、男性の育児休業。実際の取得率はいまだ6.16%(2018年度)にとどまるものの、政府でも「取得義務化」を訴える動きが出てくるなど、空気は確実に変わってきています。では、実際に育休を取得したパパたちは、家庭や仕事でどのような変化があったのでしょうか。一部の特別な“スーパーイクメン”ではない、普通のパパたちへのインタビューを通じて、社会の実相に迫ります。

育休を取った人
小原功嗣さん 会社員(製薬会社勤務)
家族構成:妻(フルタイムの会社員。小原さんと同じ会社・同じ部署に所属)、長女(1歳11カ月)
育休取得経験
1回目 長女の出産直前に5日間
2回目 長女が1歳になる頃に1カ月半

 勤め先で同期入社の女性と結婚した小原功嗣さんは、「結婚当初は自分の育児休業取得についてはあまり考えていなかった」と言います。しかし、社内で先輩パパ社員から「育休はとても良い経験になった」と話を聞くうちに、子どもができたら自身も育休を取ろうと真剣に検討するようになりました。

社内SNSで育休の情報を収集

 小原さんが勤める武田薬品工業には育児への関心が高い男性社員を中心に440人以上が参加する「ファザーリング・タケダ」という社内SNSグループがあり、多くのパパたちが子育ての悩みを相談したり、情報を共有したりしています。「このSNSで男性社員の育休に関する投稿を見て刺激を受けたことが、自分が育休取得を考えるきっかけの一つになりました」

 さらに、社内の飲み会での印象的な出来事もありました。月単位の育休を取得した先輩パパ社員が語るには、「育休を取るなら、ある程度長く取らないと。数日程度では全然育児の戦力にならないし、あまり意味がない」。その場にいた子育て中のママ社員たちが一斉に「その通り!」と絶賛したのを見て、「これがリアルな声か」と驚いた小原さん。部署の責任者が男性社員の育休取得に前向きだったこともあり、妻の妊娠が分かってからは、自身もある程度まとまった育休を取るため積極的に準備を始めたと言います。

 武田薬品工業には育児休業以外にも特別有給休暇を活用し、複数回に区切って育児を理由に休暇を取得できる制度があります。小原さんはこのシステムを活用し、まずは長女が生まれる直前の5日間に休暇を取得しました。「妻は産前・産後に3カ月ほど実家に滞在する、いわゆる『里帰り出産』でした。そのため夫婦で話し合って、僕が長めの育児休業を取得するのは実家のサポートが期待できる出産直後ではなく、少し時間がたってからにしようと決めました」

 長期の育休を取得したのは出産から約1年が過ぎた頃です。1年の間に育休取得に向けて周囲に丁寧に説明を重ねた結果、社内外で仕事の引継ぎなどがスムーズに進んだといいます。また、「会社の同僚や訪問先の医療関係者などの理解とサポートを得ることができて、多くの人たちが育児休業について前向きに後押しをしてくれました」

 さらに、1年間じっくり育休について考えるうちに、小原さんの中にある計画が芽生えました。「『ファザーリング・タケダ』で、育休期間を海外で過ごしたパパ社員の投稿を見つけたんです。それを読んで、自分たちも海外で育休期間を過ごし、同時に英語を学べないかと考えました。妻がかねがね英語力を高めたがっていたこともあり、自己研さんにもよい機会だと思ったんです」

 そこで2回目の育休期間中は家族で米国に渡り、現地でコンドミニアムを借りて日常的に英語を使う生活をすることにしました。「年末年始休暇を含めて、およそ2カ月にわたって家族で過ごす時間を作りました」。子育て中心の生活をしながら夫婦で交互に語学学校に通い、語学力のアップにも取り組む日々。そんな育休期間を過ごすうちに、小原さんにはいくつかの変化が起こったと言います。

武田薬品工業 ジャパンメディカルオフィス ペイシェント&サイエンティフィックアフェアーズ サイエンティフィックアフェアーズ 課長代理の小原功嗣さん。娘さんが1歳の時に、育児休業を取得した(写真は小原さん提供)

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日経DUAL

2019/11/28掲載記事を転載