老後の年金を増やすチャンスは残り半年 特例を解説!

老後の年金を増やすチャンスは残り半年 特例を解説!

2018/04/09

納め忘れの年金保険料 今年9月までなら後納間に合う

 人生100年時代といわれる中、家計相談に訪れる方は、共通して年金不安&老後不安をお持ちです。そこで、過去に「うっかりして、国民年金保険料を納めていなかった!」がある方のために、「今すぐできる、今年の9月までの特例」についてお伝えします。

年金の基本をおさらい

 日本に住む私たちは、20歳から60歳までの40年間、国民年金に加入する義務があります。そして、その40年の間に、最低でも10年間の受給資格期間を満たせば、原則65歳から老後の年金を、一生受け取ることができます。

 老齢厚生年金額は、働いた人の期間や収入に応じて変わりますが、老齢基礎年金は納めた期間に応じて決定され、40年間分の保険料を納めていれば、年間77万9300円の年金を受け取ることができます。ただし、これは、40年間一度も忘れることなく、国民年金(厚生年金)保険料を納めた場合。例えば、「国民年金保険料の納付書が届いたけれど、そのまま放置していた」という「未納」期間がある場合は、その分、老後に受け取る年金は減ってしまうのです。(厚生年金に加入している期間は、給料天引きで納める厚生年金保険料に国民年金保険料分も含まれているので、未納の心配はありません)


老後の年金を受け取るためには?

 老後の年金は、「老後の年金を受け取る資格(権利)があるかどうか」、その次に、「いくら受け取れるのか」の2段階で考えます。

 まずは、【1】「年金を受け取る資格があるかどうか」 から。

 老後の年金を受け取るためには、最低でも10年間(120月)の加入期間が必要です。この資格期間には、国民年金保険料を納めた期間や会社員等として厚生年金保険料を納めた期間、そして、会社員の妻として第3号被保険者として届け出た期間や学生納付特例を使っていた期間が該当します。

 以前は、最低でも25年(300月)必要でしたが、2017年8月の改正により、現在は10年で年金を受け取る権利が手にできるようになっています。これからの長い人生を考えると、読者の皆さんは、10年の資格期間を満たす要件は問題ないでしょうから、次の「いくら受け取れるのか」について解説していきましょう。

 【2】「いくら受け取れるのか」 は、皆さんも具体的に知りたいですよね。老齢基礎年金の金額は、40年間納めて1年当たり77万9300円(平成30年度価格)と決まっています。ただし、これもあくまで40年間納めた場合の金額です。納めた期間が短いと、その分、受け取れる年金額は少なくなってしまいます。

 でも、私たちは老後の年金について、学校や会社で学ぶ機会は少なかったと思います。中には「よく知らないから、納めていなかった!」という人もいるのではないでしょうか。そこで、2018年9月まで使える特例があります。

後納ってどんな特例制度なの?

 「5年の後納制度」の特例は、今年の9月まで使うことができます。

 「国民年金保険料を過去に納めていない期間があった!」「軽い気持ちで国民年金保険料を無視していたけれど、老後のことを考えたらやっぱり納めておきたい!」という20歳以上60歳未満の人で、5年前までの未納分が特例の対象になります。

 本来は、納めていなかった期間があっても、遡れるのは2年前まで。でも、今年9月までの期間においては、特例として5年前の分まで遡って納めることができ、後から納めると、その分だけ、年金額が増えるのです。

 増える金額は、納付1カ月につき、1624円。1年分を納めたら、1万9488円です。

 実際に、この「5年の後納制度」の特例を使った人達は、平均で約7カ月分の過去の国民年金保険料を納め、1万1433円の老齢基礎年金額を増やしています。

 なお、過去3年度以前の年金額を納める場合は、本来の年金額に、加算額という利息相当額が付きます。昔の分ほど加算額が上がり、1カ月当たり170円から630円となり、古いものほど加算額が高くなります。(国民年金保険料を納める場合は、古いものから先に納めていきます)


手続きはどうやるの?

 日本年金機構のサイトから、「国民年金後納保険料納付申込書」をダウンロード(記事末参照)して、必要事項を記入し、近くの年金事務所に持参するか郵送で申し込みます。日本年金機構から納付書が届いたら、早めに金融機関やコンビニから納付するようにしましょう。

年金額を増やしたら、その後は、税負担「減」へ

 今回の特例を使って保険料を納付した場合や、学生納付特例を使っていた期間の年金保険料分を後から納めたような場合は、「社会保険料控除」が使えます。

 会社員や公務員等の人なら、年末調整の時期に控除証明書を会社に提出すると、それで手続き完了です。個人事業主の人なら、確定申告の際に提出すると、同じく社会保険料控除が使えます。

 その結果、安くなる税金は、その人の所得税率によっても変わりますが、年収400万円の人なら、所得税と住民税の合計で「後納した国民年金保険料の15%分」の税金が安くなります。

 老後の年金を増やしつつ、税金の節約もできますから、直近の5年間で「国民年金を納めていない期間があったかもしれない……」という人は、まず、ねんきんネットで自分の年金納付記録を確かめることから始めましょう。

文/前野彩 写真/PIXTA

【参考】
日本年金機構 「国民年金後納保険料納付申込書」をダウンロード(PDFが開きます)
Profile
前野彩(まえの・あや)
Cras代表取締役。FPオフィス will代表。大阪在住のファイナンシャルプランナー。中学・高校の保健室の先生から、結婚、退職、住宅購入、加入保険会社の破たんを経て転身。働く女性や子育て世帯が、お金の安心と可能性を実感できる「知れば得トク、知らなきゃソンするお金の知恵」を伝える。講演やテレビでも活躍。新著に『本気で家計を変えたいあなたへ〈第2版〉 書き込む“お金のワークブック”』(日本経済新聞出版社)。

Provider

日経ウーマンオンライン

2018/04/09掲載記事を転載
老後の年金を増やすチャンスは残り半年 特例を解説!