会社の福利厚生、医療費控除 知って役立つお金の知識

会社の福利厚生、医療費控除 知って役立つお金の知識

2018/04/02

1年をムダにしないために春に確認しておくべきお金の仕組み

 4月に入り、人事異動などでちょっと職場の雰囲気が新鮮に感じられる頃でしょうか。今回は、この時期だからこそ、思い出していただきたい二つのお金の話をお伝えしていきます。


来年の医療費控除の準備は既に始まっている

 確定申告が終わったばかりですが、実は、来年の医療費控除に向けた準備は、既に始まっています。

 この時期、花粉症に悩まされ、飲み薬に点鼻薬、目薬と、薬が手放せない方も多いことでしょう。そんなときに、覚えておいていただきたいのが、セルフメディケーション税制です。

 セルフメディケーション税制とは、スイッチOTC成分が含まれた薬を、1年間に家族合計で1万2000円を超えて購入した場合に、医療費控除の確定申告をすることで、税金を安くすることができる制度です。

【参考】レシートは保管して! 市販薬でも税金が安くなる

 スイッチOTC成分が含まれているかどうかは、「セルフメディケーション税制マーク」が薬のパッケージに記載されていることが多いのですが、分からない場合は、薬を買う前にドラッグストア等の店員さんにセルフメディケーション税制対象かどうかを確認したり、手元の薬を厚生労働省のサイトで確認したりすると、すぐに分かります。対象となる薬を買った場合は、レシート保管箱やファイルを作って、1年間保管しましょう。

 なお、今年に入ってからはまだ3カ月しか経過していません。「あの薬も対象かも?」と思った方は、その薬を購入したときのレシートを探してみてください。レシートに「★」などのマークが付いていて、「セルフメディケーション税制対象」と書かれていれば、対象になりますから、レシートで判断してくださいね。

「会社独自の福利厚生」を確認する

 新入社員にとっては、4~5月は研修で忙しい時期だと思いますが、先輩として働く皆さんもそんな時期があったことでしょう。その入社時研修等で、会社の福利厚生について聞いたことはありませんか。「もう忘れてしまった」という人もいるかもしれませんが、「実は、自社の福利厚生についてよく知らない」という人も少なくないようです。

 特に、大企業の場合は、国が定めた社会保険に上乗せして、独自の福利厚生サービスがある会社が多いので、この時期、「会社の福利厚生ってどんなのがあるのかな」「減ってないかな、増えたかな」と確認する習慣を付けましょう。

 会社独自の福利厚生サービスは、大きく三つあり、「死亡」「医療」「生活」に分けられます。

独自の福利厚生サービスは「死亡」「医療」「生活」

 まずは、一つ目の死亡に関する給付です。

 会社員は、誰もが厚生年金に加入するため、もしものときには、遺族の状況に応じて、遺族年金が出る可能性があります。この給付に加えて、会社独自の福利厚生サービスがある会社もあるのです。

 例えば、「在職中に死亡したら退職金とは別に、2000万円を遺族に支払う」や「配偶者と子どもの数に応じて、1人200万円ずつ支払う」、というように、一時金タイプで従業員の遺族に手厚い会社もあります。

 また、「扶養に入っている配偶者がいる場合は、3年間60万円/年、子どもがいる場合は、高校卒業まで月額3万円、第2子以降は2万円/加算」や、「子どもがいる場合は、乳幼児は25万円/年、小学校30万円/年、中学校35万円/年、高校50万円/年、大学60万円/年」というように、主に子どもの養育費として、毎月あるいは毎年に給付を行う会社もあります。

 二つ目が医療に関する給付です。

 1カ月の医療費が高額になった場合、私たちは健康保険に加入しているので、高額療養費制度を使うことができます。これにより、医療費の自己負担が、一般的な女性の給料であれば、約6万円から10万円で収まるわけですが、健康保険組合によっては独自の付加給付があるところもあるのです。

 例えば、「医療費の自己負担は、最大2万5000円」、「本人の医療費の自己負担は2万5000円だが、家族は3万円」というように、健康保険組合独自の手厚い給付があるところが多くあります。

 また、高額療養費の付加給付ほど多くありませんが、健康保険組合等の中には、長期間働けず、十分な給料が会社から受け取れない場合に健康保険から受け取る「傷病手当金」についても上乗せをしてくれる企業もあります。

 死亡や医療に関する給付は、私たちが給料から加入する生命保険や医療保険の必要性にも関わってくるものなので、必ず確認しておきたいですね(入り過ぎの民間保険や共済があれば、見直しておきましょう)。

 三つ目の生活に関する給付は、国からはありません。これこそ、会社独自の給付です。

 生活に関する給付というと硬い表現ですが、例えば、保養所や提携ホテルなどが安く利用できたり、資格を取得するときに社内で低価格で受講できたり補助金が出たり、インフルエンザの予防接種や人間ドックなどの補助が出たり……と、聞いたことがありませんか。

 これらの給付は、ずっとその会社にいると「あって当たり前」になっているかもしれませんが、実は、会社が社員のために、独自で行っている給付なのです。

 ただし、三つお伝えしたいずれの福利厚生も、最近はない会社も多く、手厚かった会社もサービスを縮小したり、廃止したりすることも少なくありません。これらの福利厚生は、4月を境に変更することが多いため、「新入社員の姿を見たら確認する」という習慣をつくってみてもいいですね。この時期、社内に独自の福利厚生の制度があれば、新入社員研修用にまとめた、分かりやすい資料をそのままもらえるかもしれませんよ。

文/前野彩 写真/PIXTA

Profile
前野彩(まえの・あや)
Cras代表取締役。FPオフィス will代表。大阪在住のファイナンシャルプランナー。中学・高校の保健室の先生から、結婚、退職、住宅購入、加入保険会社の破たんを経て転身。働く女性や子育て世帯が、お金の安心と可能性を実感できる「知れば得トク、知らなきゃソンするお金の知恵」を伝える。講演やテレビでも活躍。新著に『本気で家計を変えたいあなたへ〈第2版〉 書き込む“お金のワークブック”』(日本経済新聞出版社)。

Provider

日経ウーマンオンライン

2018/04/02掲載記事を転載
会社の福利厚生、医療費控除 知って役立つお金の知識