学生時代の未納にドキッ 追納できたら年金増、税金減

学生時代の未納にドキッ 追納できたら年金増、税金減

2017/09/04

30代までは要チェック あなたは学生時代の追納間に合う?

 今年の8月、年金法が改正され、20歳~60歳までの間に10年の年金加入期間があれば、老後の年金がもらえるようになりました(今までは、25年必要でした)。

 でも、実際に年金保険料を納めていた期間が短いと、老後に受け取る年金額も少ないのが現実です。

 そこで、盲点となるのが、学生時代の国民年金。あなたは、学生時代に国民年金保険料を納めていましたか?

えっと…納めてなかったっけ…? (C) PIXTA


学生時代の国民年金との付き合い方は3パターン

 新入社員研修で「20歳になってからの学生時代、国民年金保険料を納めていましたか?」と質問をすると、その答えは、3パターンに分かれます。

(1)自分または親が納めていた
(2)学生納付特例を申請して、国民年金保険料を納めていない
(3)単純に納めていない

 あなたはどれに当てはまりますか?

(1)自分または親が国民年金保険料を納めていた場合

 学生や個人事業主などとして国民年金保険料を納めていた期間と、会社員や公務員として厚生年金保険料を納めた期間、または、会社員の夫の専業主婦の期間が合計40年間あれば、65歳以降は、国民年金から毎年77万9300円を一生受け取ることができます。

(2)学生納付特例を申請して、国民年金保険料を納めていない場合

 学生納付特例とは、簡単にいうと「学生さんは収入もたくさんないだろうから、ちゃんと手続きをするなら、卒業して自分で稼げるようになるまで、最大10年間納付を待ってあげますよ」という制度です。

 学生納付特例を申請しておくと、自分や親が国民年金保険料を納めなくても、老後に年金をもらえるかどうかを判断する10年にはカウントされるし、もしも障がい認定を受けたときやあなたが幼い子を残して亡くなったようなときでも、年金がサポートしてくれるようになっています。

 そして、学生納付特例によって納付を待ってくれていた過去10年以内の期間についての保険料を追って納めることを、「追納」といいます。

 「追納」しないで、学生納付特例をそのままにしておくと、老後に受け取る年金額は減ってしまいます。社員研修でも、「学生納付特例を使って、そのまま放置している人は?」と聞くと、意外に多くの手が挙がります。

 学生時代に納付を待ってもらった国民年金保険料を追納して、合計40年間国民年金保険料を納めると、学生時代も国民年金保険料を納めていた人と同じく、65歳以降は、国民年金から毎年77万9300円を受け取ることができますよ。

 ただ、学生納付特例を申請していても、追納できる10年を過ぎると納めることができません。例えば、現在35歳の人が、20歳、21歳のときに学生納付特例を申請していても、現在はどちらも追納期限から10年を超えているため、追納することができません。老後に、国民年金からの支給額を増やしたいときは、60歳以降に「任意加入」をして、追納できなかった国民年金保険料を納めましょう。

(3)単純に納めていない場合

 学生時代、国民年金保険料を納めておらず(放置していて)、学生納付特例の申請もしていない場合は、老後に受け取る年金額は、その期間の分だけ少なくなります。減る金額は、納めていない期間1年に対して、老後の年金約2万円/年です。

 女性の2人に1人は90年以上生きる時代ですから、老後に「あのとき、ちゃんと納めておけばよかった」と後悔しないようにしたいですね。

納めていなくても、「後納」というチャンスがある

 国民年金保険料の納付期間は2年です。そのため、学生納付特例を申請していた人も、そして、単純に納めていなかった人も、2年前までの分は、「追加負担なく」、遡って納めることができます。これを「後納」といい、2017年3月時点では、17万人を超える人が利用しています。

 また現在の後納制度では、2018年9月までの間に限り、5年前の分まで遡って納めることができることになっています。これにより、単純に納めていなかった人も、「後納」で老後の年金額を増やすことができます。

 国民年金保険料を1年分納めると、老後の年金は、1年あたり約2万円増えます。制度上は1カ月単位で後納できますが、今、1年分の国民年金保険料約19.8万円を納めることで、例えば年金受給資格のある人が65歳から90歳まで生きた場合、老後の25年間で受け取れる年金額をトータル約50万円増やすことができるのです。老後の安心が増えますね。

知っているのと知らないのとでは、老後の安心感が違います (C) PIXTA

 さて、前ページで「2年前の分までは『追加負担なく』納められる」と書きましたが、この「追加負担」について詳しく説明しましょう。

 先ほどお伝えした (2)学生納付特例を申請して国民年金保険料を納めていない場合と(3)単純に納めてない場合を、簡単にまとめるとこの通りです。

 (2)学生納付特例を申請して国民年金保険料を納めていない場合
 → 過去10年以内の期間について保険料を納めることができる(追納)
 (3)単純に納めてない場合
 → 2018年9月30日までの期間限定で、過去5年以内の保険料を納めることができる(後納)

 (2)も(3)も、どちらも条件を満たせば、後から未納分を納付できるという制度を利用できますが、本来、国民年金の納付期限は2年。2年を超えて遡る国民年金保険料には、加算額という、いわば利息のようなものが追加されるのです。つまり、後から納めるのも、早いほうがお得という訳です。

 「追納」「後納」する場合は、日本年金機構のホームページ(記事末参照)から申込書をダウンロードして手続きをしましょう。

学生納付特例、全額免除、放置などで納付する場合の1カ月あたりの加算額


年金額が増える以外にメリットはある?

 国民年金保険料を納付するということは、社会保険料を納めたということです。そこで、年末調整や確定申告のときに「社会保険料控除」が使えます。

 会社員なら、年末調整で生命保険料控除の証明書を提出している人も多いでしょう。それと同じように、秋頃に届く証明書を会社に提出することで、確定申告をしなくても税金を安くすることができるのです。

 例えば、年収400万円までの独身の人が、2年分の国民年金保険料として、約38万円納めたとします。すると、所得税と住民税で合計約5.7万円の税金が安くなります。

 つまり、約38万円の国民年金保険料を納めるけど、約5.7万円の税金が安くなるから、差し引きすると、実質約32万円の負担で老後の年金を年約4万円増やすことができるのです。仮に年金受給資格のある人が65歳から90歳まで生きた場合、老後の25年間で受け取れる年金額をトータル約100万円増やすことができるということです。

 老後の生活は、どの年代にも共通する不安ですが、若いうちに制度を活用すると、不安が減り、さらには将来「あのとき納めておけばよかった」という後悔を避けることができます。制度を生かして、安心老後の準備を進めましょう。

(文中の年金額は、すべて2017年度です)

【参考】
■「学生納付特例制度」(日本年金機構)
■「国民年金保険料の後納制度」(日本年金機構)

文/前野 彩 写真/PIXTA

Profile
前野彩(まえの・あや)
Cras代表取締役。FPオフィス will代表。大阪在住のファイナンシャルプランナー。中学・高校の保健室の先生から、結婚、退職、住宅購入、加入保険会社の破たんを経て転身。働く女性や子育て世帯が、お金の安心と可能性を実感できる「知れば得トク、知らなきゃソンするお金の知恵」を伝える。講演やテレビでも活躍。新著に『本気で家計を変えたいあなたへ〈第2版〉 書き込む“お金のワークブック”』(日本経済新聞出版社)。

Provider

日経ウーマンオンライン

2017/09/04掲載記事を転載
学生時代の未納にドキッ 追納できたら年金増、税金減