もしもがんだったら…検診直前のがん保険加入はアリ?

もしもがんだったら…検診直前のがん保険加入はアリ?

2017/06/26

検診直前に気になるがん保険 加入のタイミング

 ふとした胸のハリが気になって、乳がん検診を予約するとき。

 下腹部の痛みが続いて、婦人科を受診しようかなと思ったとき。

 来月、会社の健康診断があると分かって、自分の体調不良がふと心配になったとき。

 「もしも、がんが見つかったら」という不安から、検診の直前にがん保険が気になる方もいるようです。

え、これってしこり? 検診前にがん保険先に入ったほうがいいかな (C) PIXTA

 でも、直前の加入で本当に対応できるのでしょうか。

保険に入ってから、がん検診?

 もしもがんが見つかったら……と想像すると、治療方法のことや仕事のこと、家庭のことなど、さまざまな不安があることでしょう。もちろん、お金の不安もつきものです。

 そんなとき、がんの備えとして頭に浮かぶのは「がん保険」が多いようですが、がんになったときにも、健康保険の高額療養費や傷病手当金、障害年金などの公的制度は使えます。あなたが今までに貯めた貯蓄もこれからの生活の味方ですから、公的保障も考えつつ、がん保険を考えてくださいね。

 では、本題のがん保険に戻ります。

 がん保険は、がん以外の病気には無力ですが、その名前の通り、がんにはとても手厚い給付です。最近は、入院給付金や診断給付金だけでなく、通院治療、放射線や抗がん剤治療、先進医療などのさまざまな特約が登場し、進化しているのも特徴です。

 私のところにご相談にいらっしゃる方が想像するがん保険は、「がんと診断されたら診断給付金100万円」というような、一時金タイプが中心です。では、がん保険に加入して、その1週間後にがんが見つかった場合、がん保険の診断給付金100万円はもらえるのでしょうか。

 残念ですが、診断給付金はもらえないのです。

がん保険には3カ月の待ち期間あり

 実は、がん保険に加入して1週間しかたっていない場合、診断給付金はもらえません。

 がん保険には、3カ月(または90日)の待ち期間が設定されています。

 つまり、保険の申込書と健康状態の告知書を書いて、保険料も支払って、がん保険の加入ができたとしても、実際の保障は、加入から3カ月たたないとスタートしないのです。

 よく「本人ががんになっていることを知らなくても、ダメなのですか?」と聞かれますが、保険契約上、本人が知っていたか、知らなかったかは関係ありません。加入から3カ月以内に見つかったがんは、加入したときにはすでに体の中にがんがあったということで、保険給付上の区切りをつけているのです。

 「それはおかしい! だって、保険料を払っているんだから、加入して1週間でも診断給付金を出すべきでしょ!」と考える方もいらっしゃるかもしれません。

 でも、もしもそんな商品があれば、私なら、「検査の前日、あるいは、検査結果が出る前日までに加入して、もしものときには、1カ月分の保険料で診断給付金の100万円はしっかりと受け取るようにしておこう」と(ずる賢く?)考えます。

 こんな状況がOKであれば、がんと診断される可能性が高い人ばかりが、がん保険に加入することになります。すると、保険会社が契約者に支払う保険金は膨大な金額になり、その結果、私たちががん保険に支払う金額も相当高い金額になってしまうのです。

 保険は、保険金を受け取る可能性が高いほど、支払う保険料も高くなる仕組みです。

 つまり、がん保険に加入して1週間後にがんと診断されても診断給付金を受け取ることができる保険では、かえって、私たちが手軽な保険料で加入できないような保険料になる可能性があるのです。

がん保険加に入して3カ月以内にがんが見つかると保障はどうなるの? (C) PIXTA

 そこで、加入から3カ月というのを一区切りにして、その間に見つかったがんは保障しないルールになっているのです(加入から3カ月経過後にがんと診断された場合はちゃんと診断給付金を受け取ることができます)。

3カ月以内にがんと診断されたらどうなる?

 せっかく手続きしたがん保険ですが、加入から3カ月以内にがんと診断されると、その保険は無効となります。

 そのため、「今回のがんでは診断給付金を受け取ることができなかったけれど、もしかしたら、再発するかもしれないから、再発に備えて加入しておこう」ということもできません。原則として、支払った保険料は、返金されますが、「支払った保険料が戻ってきたから良かった」と思えないのが、がん治療の不安が残るがん保険の複雑なところなのです。

 健康は財産と、昔からいわれています。つい、がんの備えというとがん保険に頼りがちですが、普段から検診をちゃんと受けて、からだのメンテナンスを大事にしましょう。

 また、自治体によって、検診を受けられる条件や内容は差があります。下は一部の自治体の検診例です。自分が住んでいる自治体の検診条件などを一度調べてみて、がん保険加入や検診スケジュールの参考にしてくださいね。

<自治体の検診例>
東京都世田谷区大阪市子宮頸がん20~39歳の女性、毎年、800円
40歳以上で偶数年齢の女性、2年に1回、800円20歳以上の女性、2年に1回、400円乳がん<視触診+マンモグラフィ>
40歳以上で偶数年齢の女性、2年に1回、1000円<マンモグラフィ>
40歳以上の女性、2年に1回、1500円
<超音波>
30歳代の女性、1年に1回、1000円胃がん<エックス線>
40歳以上、1年に1回、1000円
※平成29年10月からは50歳以上は内視鏡による胃がん検診(1500円)を実施予定<エックス線>
40歳以上、1年に1回、500円または1500円
<内視鏡>
50歳以上、2年に1回、1500円大腸がん40歳以上、1年に1回、200円40歳以上、1年に1回、300円肺がん40歳以上、1年に1回、X線のみは100円(かく痰細胞診検査は追加500円)40歳以上、1年に1回、無料(かく痰細胞診検査400円)口腔がん61・66・71歳、700円―

文/前野 彩 写真/PIXTA

Profile
前野彩(まえの・あや)
Cras代表取締役。FPオフィス will代表。大阪在住のファイナンシャルプランナー。中学・高校の保健室の先生から、結婚、退職、住宅購入、加入保険会社の破たんを経て転身。働く女性や子育て世帯が、お金の安心と可能性を実感できる「知れば得トク、知らなきゃソンするお金の知恵」を伝える。講演やテレビでも活躍。新著に『本気で家計を変えたいあなたへ〈第2版〉 書き込む“お金のワークブック”』(日本経済新聞出版社)。

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日経ウーマンオンライン

2017/06/26掲載記事を転載
もしもがんだったら…検診直前のがん保険加入はアリ?