「転職で仕事も恋もうまくいく」はあり得る その理由

「転職で仕事も恋もうまくいく」はあり得る その理由

2018/12/12

「転職の思考法」著者が「誰にも聞けない」転職の疑問に答えます!

「ステップアップして、もっとやりがいのある仕事をしたい」「将来を考えて子育てと両立しやすい会社に転職したい」「このままじゃいけないと思うから転職したいけど、給料が下がるのは嫌……」。今の仕事に対してモヤモヤしているけど、一歩が踏み出せない。隣で一歩踏み出した人がまぶしく映る。そんな悩めるアラサー読者たちのために、10万部超えのベストセラー「転職の思考法」著者の北野唯我さんが「アラサー女性に向けた転職の思考法」を特別指導。今回は、読者からの転職にまつわる質問をぶつけてみました!

「転職で恋も仕事もうまくいく」を分解して考える

「転職したら彼ができた」「転職先で結婚相手が見つかった」「転職したらきれいになった」友人がいます。「転職で仕事も恋もうまくいくような、すてきな出会いのある転職」って、本当にあるんですか?

答え.「いい転職」は「すてきな出会い」につながっていると思います。

 こんな質問は初めてです……。「すてきな出会い」ですか。なんとも答えにくい質問ですが、よくよく考えてみると実は本質的で重要なことかもしれません。

 例えば、勢いのあるベンチャー企業の創業メンバーなどは、私から見ても「魅力的な人が集まっているな」という印象があります。よく考えてみれば当然のことで、何もないところから事業を立ち上げているベンチャー企業というのは、資金も信用もないところから、創業メンバーたちの才能、熱量、ビジョン、そして人間性によって多額の資金や優秀な人材を集めているわけです。

 人間的に突き抜けているところがあるからこそ、それができるわけですから、魅力的でないわけがない。そう考えると、「すてきな出会い」がありそうな、魅力的な人が集まる会社は、転職先としていい会社である可能性が高い、ということは言えるかもしれません。

 そもそも、転職する、ということは、単に仕事を替えるというだけではなく、職場を替え、一緒に働く人を替えるということでもあります。人生、限られた時間をどう使うのか、という視点で考えると、働く時間をどこで誰と過ごすのかということは、重要なポイントです。

 自分にとって魅力的な場所で魅力的な人たちと過ごすことで、視野が広がったり、いい刺激を受けたりしたことが、自分を高め、いい出会いを生み出すということにつながる、ということは十分あり得ます。「いい転職」はきっと、「すてきな出会い」にもつながっていると私は思います。

「本当に子育てしながら働きやすい会社」の見極め方

「子育てしながらでも本当に働きやすい会社」を見極めるには?

答え.経営者の価値観から考えるといいでしょう。

 今の日本では、産休や育休制度など、働きながら子育てするための制度は一通り整いつつあります。ですが、それを実際に使えるかどうか、子育てとの両立がしやすい運用ができているかどうか、子育て中でも活躍できるようになっているかどうか、というのは、それぞれの会社の風土によるところが大きいように思います。そして、会社の風土というものは、経営者の思想、価値観によるところが大きいです。サイボウズなどが分かりやすいですし、伊藤忠商事など昔からある会社でも経営者が変わったことで、風土が大きく変わりました。

 ですので、「子育てしながら働きやすい会社かどうか」を見極めるためには、今その会社で働いている人に尋ねてみるのも重要なのですが、それ以上に、経営者がどのような考え方を持っているのかを知ることが、その会社が今後向かっていく方向性を知る上で重要だと考えます。

 これは私の見解ですが、経営者には大きく分けて、「事業ドリブン」の人と、「組織ドリブン」の人の二種類がいる気がします。

 「事業ドリブン」の経営者とは「売上を上げるのがすべてだ」「利益を上げるのがすべてだ」などと、事業の成長にしか興味がないタイプです。スタートアップしたてで急成長しているベンチャーなどには、そうした人の割合が多いように思います。こうしたベンチャー起業も、成長の過程で「優秀な社員に長く働いてもらって、事業を継続していくためには、働き方も大切だ」という方向に変わってくるものなので、経営者の資質だけの問題ではなく、事業フェーズによって変わってくるところもあるかと思います。

 一方、「組織ドリブン」の経営者とは、そもそも「従業員が働きやすい会社をつくりたい」「気持ちよくチームワークができてこそ成果が上がる」といった考えで会社経営をしているタイプで、こうした経営者がいる会社では、比較的、子育てと両立させて働きやすいのではないかと思います。

 「事業ドリブン」、「組織ドリブン」どちらのタイプの経営者であっても、基本的には「優秀な社員には長く働いてもらいたい」と考えているはずです。

 ですので、もし今の会社にいて、子育てと両立して働き続けられるかどうかが不安なのであれば、その不安を経営者に伝える、というのも一つの手です。経営者はそうした女性社員のニーズがあることを知らないだけで、「そうしたニーズがあるならば、子育てと両立して働きやすい職場にしよう」と、動いてもらえる可能性もありますし、そうしたニーズに対して、全くもっていい反応が得られそうにない場合は、転職を考えたほうがいいかもしれません。

転職前の罪悪感との向き合い方

今の職場が嫌いになったわけではありません。でも、転職したい。ただ、「今の職場の人たちを裏切ってしまう」のではないかと思って、いま一歩踏み出せない状況です。どうしたらいいでしょうか?

答え.「転職そもそもの目的」に立ち返ってみましょう。

 転職する際は、程度に差はあるものの、元の職場の人たちから「裏切者」といった見られ方がされたり、そのことに対する罪悪感を持ってしまったりするものです。「転職の思考法」の本には、こうした転職する人が感じる申し訳なさ、罪悪感、といったところもリアルに描きました。これらは、実は転職という意思決定をする上で、とても重要な要素だと思うのですが、転職ノウハウなどの本にも、なかなか書かれていないところです。

 実際に「先輩にもお世話になったし、後輩たちは大丈夫かな。同期のみんなにどう思われるのかな。今の時期に辞めると職場に迷惑を掛けてしまうな」などと悩んでしまい、あと一歩というところで転職に踏み出せなかった、という人も少なくありません。

 特に男性以上に共感力が高い女性は、自分が辞めた後のことをリアリティーを持って想像できてしまうからこそ、「あれも心配、これも心配」と先回りして心配し、動けなくなってしまう、というところがあるようです。

 そんなときには、この本にも書いた通り、「転職のそもそもの目的に立ち返ること」が大切です。会社というのは、実は、あなたがいなくなっても回っていきます。転職を決意した初心に返り、「自分が大事にしたいものは何だったのか?」を胸に問いかけてみると、今の自分にとって最適な答えが見つかるのではないでしょうか。

文/井上佐保子 写真/小野さやか(北野さん)、PIXTA(イメージ)

Provider

日経ウーマンオンライン

2018/12/10掲載記事を転載
「転職で仕事も恋もうまくいく」はあり得る その理由