単なるキャリアの棚卸しとは違う「自分軸」の見つけ方

単なるキャリアの棚卸しとは違う「自分軸」の見つけ方

2018/03/05

転職や評価面談に役立つ ポイントは「業務」と「環境」の2軸

 前回、キャリアカウンセラーの錦戸かおりさんに「BE」「DO」を意識して「自分軸=私にとって、一番大切な事」を見つける方法について具体的に手ほどきしてもらいました。「自分がどうありたいか」を深掘りし、「そのためには何をするのがいいか」と考えていく。「自分軸」が明確になれば、周りの雑音に振り回されることなく、ブレない、後悔しない選択が可能になるというお話――。

 「もちろん自分軸がなくても転職自体ができないわけではありません。ですが、1日の大半を占める仕事の時間が自分にとって本当にやりがいや満足感を得られるものになれば、人生はもっとハッピーになると思いますよ」

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 「BE」「DO」により、「自分の心が本当に望むもの(状態)」を見つけたら、次にそれを「仕事」に落とし込んで考えていきましょう。

 準備するのは、紙とペン。そこに、これまで自分が携わった「業務内容」を書き出していきます。「あれ? それって単なるキャリアの棚卸しでは……?」と思ったアナタ。違いはここからです。

 まずは、一つ一つの業務内容に対し、「業務」と「環境」の記入欄を作ります。そして、業務の欄には、「その業務の好きなところ、嫌いなところとその理由」を書き、環境の欄には、「その業務に取り組んでいた時の環境はどうだったか。それぞれ好きだった点、嫌いだった点とその理由」を記入していくのです。

 「ここでの大事なポイントは、『業務』と『環境』を分けて考えること。

 同じような仕事内容でも、楽しさややりがいを感じるものもあれば、逆に苦痛なものもある。これは『環境』によるところが大きいのです。例えば、上司や同僚の相性がよくないといった人間関係の問題、チームプレーか個人で取り組むかというワークスタイルの違い、あるいはミーティングやランチ、飲み会が頻繁にあって距離感が非常に密接だったり、自分の意見や個性が生かせるかどうかなど、一口に環境といってもいろんなケースがあります」

(例)
これまでやってきた仕事内容業務の好き嫌い
その理由環境の好き嫌い
その理由営業2課/営業全般
・営業企画立案、新規提案
・請求書発行
・売掛金管理
・資料作成
・顧客との打ち合わせや交渉
・他部署との社内調整
・営業スケジュール管理・細かい数字を追うのは苦手
・結果が出て分かりやすい評価が得られるのは好き、うれしい
・スケジュール管理は得意
・交渉するときがいつも不安、億劫
・社内外とのやり取りは人脈ができてやりやすい・和気あいあいとした職場の雰囲気は好き
・自由に外出できるのがうれしい
・飲み会やや多い? 疲れが取れにくい
・苦手なクライアント先に一人で行くのはしんどい
・相談できる先輩や上司がいるのは心強い

 「業務と環境は密接に関係しているため、それぞれの好き嫌いが絡み合って、自分の『BE』と『DO』を分かりづらくしている場合が多い」と錦戸さんは指摘します。これらを一つずつひもといていくことで、自分がどういう業務のどこにやりがいを感じ、どういった環境なら最も力を発揮できるのか、逆に、どういうケースは避けるべきかが見えてきます。

 これは仕事に限ったことでなくてもOK。これまでのアルバイト経験や地域活動、PTA活動など、何らかの役割を持って臨んだことがあれば、その経験を当てはめてみましょう。

 しかし、中には業務経験が乏しかったり、こうした方法ではやりづらいと感じる人もいるかもしれません。その場合は、「逆説法」で「やりたいこと」をあぶりだす手も――。

 「人は、『やりたいこと』より『やりたくないこと』から考えるほうがイメージが湧きやすいものです。これだけは嫌と思うものを挙げていけば、自分がやりたい業務や望む環境が見えてきます。自分の中で得意な業務、力を発揮しやすい環境などを把握しておくことで、派遣やエージェントに登録するときにも希望や条件が明確に伝えられ、転職後のミスマッチが防げますよ」

 ただし、転職活動において、転職先の「環境」は未知なるもの。飛び込んでみるまで分からないケースも多いため、まずは「業務」を優先に考えつつ、ある程度、臨機応変に対応できるようにシミュレーションしておくことも大切です。

 「ただし、『どうしても避けたい環境』については、面接でそれとなく聞くことをおススメします。人間関係や飲み会の頻度、チーム体制など、気になることはぶつけてかまいません。もしそれで嫌な顔をされるなら、入社を避けたほうがいいかもしれません。もちろん自分の要求がすべて通るわけではありませんが、不安はできるだけ取り除いておきましょうね」

 次回は、転職の強い味方となる「自分にとっていいキャリアコンサルタントの見極め方」を伝授してもらいます。また、「面接時に聞きたいけれど聞きづらい質問」のぶつけ方については、次々回で解説しますのでお楽しみに!

文/西尾英子 写真/PIXTA

プロフィール
錦戸かおりさん
キャリアカウンセラー。2級キャリア・コンサルティング技能士。国家資格キャリアコンサルタント。正社員の転職を支援するコンサルタントに従事した後、2003年に独立。個人のキャリア・カウンセリングを中心にセミナーや講演、企業での面談を行う。内的キャリア(やりがい、働きがい)重視のカウンセリングを得意とし、長期キャリアのアドバイスが定評。「働く女性が35歳の壁を乗り越えるためのヒント」(河出書房新社)。公式サイト

Provider

日経ウーマンオンライン

2018/03/05掲載記事を転載
単なるキャリアの棚卸しとは違う「自分軸」の見つけ方