現状維持はムリだけど「ラクに楽しく幸せに働く」方法

現状維持はムリだけど「ラクに楽しく幸せに働く」方法

2018/02/13

「ルーティンワークをずっと…」は厳しい ゆるキャリの未来は

 「AI(人工知能)の導入により、自分の仕事がなくなるかもしれない」――。これまでたびたびメディアで報じられてきたことですが、「まだまだ先の話でしょ」「自分には影響ないだろう」と、どこか人ごとのように考えていた人も少なくないのでは? しかし、もはやそれは、現実のものとなりつつあります。

 昨年秋には、大手銀行が相次いで大幅な人員削減を発表し、話題を呼びました。みずほフィナンシャルグループ(FG)では、2026年までに従業員1万9000人を削減、三菱UFJフィナンシャル・グループでも2023年度までに従業員6000人を削減すると報じられ、こうした動きは他の銀行でも出てきています。これらは、AIを活用して業務量を削減し、収益力の向上と組織のスリム化を図るものでリストラと直結するわけではないものの、「AIの導入で、これまでと違う働き方が求められる」という現実を突きつけられる出来事となりました。

 キャリアカウンセラーの錦戸かおりさんは、こう話します。

 「あの報道により、『今まで私には関係ないと思っていたけれど、少し危機感を覚えた』という人も多かったようです。たとえ今は、AIの足音を感じなくても、今後導入が進むと、仕事を取って代わられる場面が出てくるかもしれません。ルーティンワークを主体とした業務は自動化されていく可能性が高いと思います」


「とはいえ、ピンとこない」その理由

 とはいえ、「なんだかピンとこない……」という声も聞こえてきそうです。先日発表された2017年平均の有効求人倍率は1.50倍と、44年ぶりの高水準を記録したばかり。転職市場にも追い風が吹いており、まさに今は「売り手市場」の真っただ中です。現在、転職を考えている人にとっては心強い状況といえますが、その中身をひも解くと、「また違った光景が見えてくる」と、錦戸さんは指摘します。

 「女性の多くが希望している事務系に限っていえば、パートを合わせて0.4%程度にとどまっています。つまり、10人受けて4人しか通らないという狭き門です。例えばそうした事情を知らない家族から、『(有効求人倍率がこれほど高いのに)なぜあなたは受からないの?』と言われ、傷ついてしまうといったケースも聞きます」

 迫りくるAI化、人気職種は相変わらず狭き門……。どうやらこれまでの意識を変える必要がありそうです。プライベート重視で「ほどほどに働く」――。そんな「ゆるキャリ」志向は、これからの時代、もはや無理?

「無理せず、ラクに、自分らしく」は十分可能

 「ゆるく働く=『ルーティンワークを淡々と』『現状維持で安住する』という意味なら厳しくなるでしょうね。でも、ゆるく=『無理せずラクに』『自分らしく楽しく』なら十分可能ですし、そうした方向に考え方をシフトしていくことでハッピーな働き方ができるようになると思いますよ」

 そのためには、どうすればいいのでしょうか?

 「自分で考えたり、工夫をすることが大切になってくるため、普段からそうした癖をつけておくことです。例えば、今やっている業務をもっと楽にするにはどうしたらよいか、工程を減らすにはどうしたらよいか、この仕事は誰のためにやっているのか、もしかして不要ではないかなど、当たり前にやっている仕事について考えてみる癖を付けましょう。面倒な業務はこれからAIが引き受けてくれるわけですから、自分自身をもっと楽しくする、ワクワクできることに目を向けてみるのです。『何かを生み出すクリエーティブなことは私には無理』と思うかもしれませんが、難しく考える必要はありません。いろんな人が考えたことをアレンジしたり、発展させることで、新しいものが生まれるし、スキルもどんどん伸びていきます」

 こうした時代だからこそ、「立ち止まって自分のキャリアについて考えてみるいい機会」と錦戸さんは強調します。「今は変化のスピードが速いため、10年前の働き方と今の働き方が全然違うように、5年先、10年先という長いスパンで見るのが難しくなってきています。まずは『3年先を考えてみる』といいでしょう。少し先を意識して、ある程度柔軟に対応できるように心づもりしておくといいですね。変化は自分を成長させるものですから、むやみに恐れず、むしろ楽しむくらいの気持ちを持ってほしいと思います」

 では、具体的にどんなことから始めればいいのでしょうか。「今、何かを変えたいと思っていたり、現状にモヤモヤしたりしている人は、次のことを試してみてはいかがでしょう? (1)勉強会や趣味の会でロールモデルを探してみたり、さまざまな価値観に触れてみる。(2)自分の強みや好きなことを整理してみる。(3)転職活動の準備を始めてみる。キャリアの相談に乗っていると『転職が怖い』という人もいますが、『転職』と『転職活動』は違います。転職活動をしたからといって必ず転職しなくてはいけないわけではありません。転職活動は自分を知り、社会を知るために非常に有効な手段です。それ自体が自分を大きく成長させてくれるんですよ」と錦戸さん。

 次回は、「転職が不安・怖い」人に、モヤモヤを解消して一歩進むための方法と、転職活動が持つ大きなメリットを紹介します。

文/西尾英子 写真/PIXTA

プロフィール
錦戸かおり
キャリアカウンセラー。2級キャリア・コンサルティング技能士。国家資格キャリアコンサルタント。正社員の転職を支援するコンサルタントに従事した後、2003年に独立。個人のキャリア・カウンセリングを中心にセミナーや講演、企業での面談を行う。内的キャリア(やりがい、働きがい)重視のカウンセリングを得意とし、長期キャリアのアドバイスが定評。「働く女性が35歳の壁を乗り越えるためのヒント」(河出書房新社)。オフィシャルサイト

Provider

日経ウーマンオンライン

2018/02/13掲載記事を転載
現状維持はムリだけど「ラクに楽しく幸せに働く」方法