働き方に悩んだ33歳が転職で見つけた2つの仕事条件

働き方に悩んだ33歳が転職で見つけた2つの仕事条件

2017/07/10

「私はどこで誰とどう働きたいのか」10年後が見えるようになった

 「私はどこで、誰と、どんな風に働いていたいんだろう? どんなふうに生きていきたいんだろう?」―自分のことは一番分かっているはずなのに、意外と答えは出てこないものです。「やりたかった仕事」だったけれど、忙し過ぎる職場で、目の前の仕事をこなしていくだけで精一杯の日々。深夜タクシーで帰宅し、始発で出勤、土日も休むことなく働き続けた結果、体調も崩すようになってしまったアラサー女性が、2度の転職を通して自分と向き合い、自由な社風で知られるITベンチャー企業でのびのび働く毎日を手に入れるまでの転職ストーリーをお届けします(後編)。

■前編「『お前はこのままだと10年後も同じ』彼の一言で転職」

転職で健康な日々を取り戻す

 希望がかなって、健康用品などを扱うメーカーの商品プロモーションの仕事に就いた明美さん。店頭キャンペーンを考えるという仕事も面白く、前職で培った企画力や提案力を発揮し、すぐに仕事ができるようになった。また、忙しくないときは、定時退社もでき、土日もきちんと休めるようになったことで、健康も取り戻した。「行きたかったスノボにも行けましたし、友人の結婚式にも行けるようになりました」

転職して何よりよかったと感じたのは…(C)PIXTA

 転職してなによりよかったと感じたのは、父親が病気で入院していたときのことだったという。「父は、8カ月の闘病の末、亡くなりましたが、土日がきちんと休めるので、毎週末、実家に帰ってお見舞いに行くことができ、悔いなく送ることができました。葬儀のときは、1週間、お休みをもらえてありがたかったです」

 さまざまな制度も整った、居心地のいい会社ではあったが、仕事にスピード感がなく、旧態依然とした業界の体質に物足りなさを感じることも多かった。「ちょっとした企画提案でも、いちいち稟議(りんぎ)を通さなければならず、予算をもらって動き出すまでに1か月はかかってしまいます。このままここにいても成長できないな……と思うようになりました」

 転職活動を始めたのは、転職して4年目に入った頃だった。新規事業を行う部署に異動となったのだが、会社の事情で部署の方向性が曖昧なままスタートしたこともあり、ほとんど仕事がない日々が続いたのだ。「父の死を経て、一度きりの私の人生、これでいいのかな? と考えることが多くなったのも、きっかけの一つです」

キャリアを見つめ直して2度目の転職

 33歳、2度目の転職は慎重にしたいと、女性向けのキャリアセミナーに参加するなど、まずは自分のキャリアについて考えてみるところからスタートしたという。

 「この先のキャリアを考えると、今の会社は安定しているけど、給料がそれほどいいわけでもなく、将来マネジャーになりたいとも思えませんでした。そこで、もう一度仕事の棚卸しをして、自分はどうしたいのか、じっくり考えてみました」

 考えた結果出てきたのが
1.生涯現役で働きたい
2.場所の制限なく働きたい
という二つの条件だった。

 「老後資金を心配して貯金に励むよりは、年を取っても稼いでいける力をつけたいと思いました。また、一人暮らしをする母の住む実家と東京、あるいは旅先でも働けるのが理想だな、と。そのためには、苦手と思っていたITベンチャーの仕事もいいかもしれないと思い始めました。これからの時代、IT業界に明るくないとやっていけないという危機感もありました」

 IT分野のことは詳しくなかった明美さんは、複数の転職エージェントに相談。早速、いくつかの企業を紹介されたが、困ったのは志望動機だった。

 「そもそもIT企業で私に何ができるのか、何がしたいのか、見当もつかなかったのです」。それを救ってくれたのが、ある転職エージェントのコンサルタントだった。明美さんの相談に乗りながら、「Will(やりたいこと)Can(できること)Must(やらなければならないこと)」のフレームワークに整理し、うまく応募先企業の志望動機につながるようにアドバイスしてくれたのだという。

2年後、独立しようと思ってます

 エージェントからの支援を受け、入社したのが現在勤務するITベンチャー企業だった。仕事の内容というよりも、企業理念や価値感、合理的で風通しのいい企業風土に引かれたという。成長著しいベンチャーだが、希望すれば在宅勤務もできるなど、自分の思う働き方を実現できる。

 フリーアドレスのオフィスはおしゃれで、会社の近くに住む際は家賃補助が出るなど福利厚生も充実。社員同士のコミュニケーションも活発で、理想的な環境のように見えるが、明美さんは「実はここで長く働こうとは思っていないんです」と話す。

「実はここで長く働こうとは思っていないんです」(C)PIXTA

 「この会社で経験を積み、資格を取得し、2年後には会社を辞めて独立、東京と地方を行ったり来たり、半々くらいで暮らせたらな、と思っています。そのことは、入社したときにも伝えています。独立する人も多い会社なので、珍しいことではないんですよ」ということだ。

 転職の度、「私はどこで、誰と、どんなふうに働いていたいんだろう? どんなふうに生きていきたいんだろう?」と自分に問いかけ、その答えを選び取ってきた明美さん。最初の会社で体を壊してしまうほど、会社や仕事に縛られていた明美さんは、2度の転職を経て、会社や仕事に縛られず、自由に働く道へと向かっている。

文/井上佐保子 写真/PIXTA

Provider

日経ウーマンオンライン

2017/07/10掲載記事を転載
働き方に悩んだ33歳が転職で見つけた2つの仕事条件