「お前はこのままだと10年後も同じ」彼の一言で転職

「お前はこのままだと10年後も同じ」彼の一言で転職

2017/07/03

好きな仕事だったけど月間200時間残業の職場から脱出した

 「私はどこで、誰と、どんな風に働いていたいんだろう? どんな風に生きていきたいんだろう?」―自分のことは一番分かっているはずなのに、意外と答えは出てこないものです。「やりたかった仕事」だったけれど、忙し過ぎる職場で、目の前の仕事をこなしていくだけで精いっぱいの日々。深夜タクシーで帰宅し、始発で出勤、土日も休むことなく働き続けた結果、体調も崩すようになってしまったアラサー女性が、2度の転職を通して自分と向き合い、自由な社風で知られるITベンチャー企業で伸び伸び働く毎日を手に入れるまでの転職ストーリーをお届けします。

希望通りの部署に異動したものの…

 ステッカーが幾つも貼られたラップトップを片手に、白いジャケットを羽織って爽やかに現れた明美さん(33歳)は、今、最も勢いのあるITベンチャー企業の一つとして知られるA社で企業へのシステム導入支援業務に就いている。

今の会社のフレキシブルな働き方が気に入っています!写真はイメージ (C)PIXTA

 3カ月前に現在の部署に異動になったばかりということで、覚えることも多く、まだまだ緊張することの多い日々だというが、「堅苦しいことはなく、思ったことは自由に提案できるし、すぐに実行に移せます。若い人が多いのですが、優秀な人も多く、成長できる職場ですね。風通しも良く、フレキシブルな働き方ができるところも気に入っています」と、笑顔で答えてくれた。

 そんな明美さんは、転職3社目。1社目は2007年新卒入社した大手のイベント運営会社だ。子どもの頃からサッカーなどのスポーツ観戦が好きだったという明美さんは、大学時代、アルバイトでスポーツイベントに関わったことをきっかけに、スポーツのイベント運営に興味を持つようになり、入社を決めたという。

 3年ほど、エンタメ業界を担当した後、スポーツ担当部署に異動となり、希望通り、サッカーのイベント運営に関わることとなった。「大好きなサッカーの仕事に就くことができてうれしかったし、毎週のようにあちこちのスタジアムに通う日々は忙しかったですが、楽しかったです」

「お前はこのままだと10年後も同じ仕事をしている」

 やりがいのある仕事ではあったが、人手不足もあり、仕事は多忙を極めた。リーマンショックによる不景気や震災の影響なども重なり、突発的な対応を迫られることも多く、深夜にタクシー帰宅し、始発で出社する日々。地方出張が続き、土日の休みもなく、月の残業が200時間に達することもあった。

 明美さんは、「仕事を一人で抱え込んでしまって、うまく周りの人を巻き込めなかった自分にも原因がある」と話すが、サッカーの仕事に関わるようになって3年がたった頃、風邪が治らなくなり、夜中、訳もなく涙が出てきてしまうようなこともあり、限界を感じるようになった。

 転職を考えるようになったきっかけは、当時付き合っていた彼氏からの「このままだとお前は10年後も変わらず同じ仕事をしているぞ」という一言だった。「はっとしました。10年後、この会社でどうなっていたいのか、キャリアヴィジョンが全く見えていなかったのです。今の仕事は好きだけど、このまま続けるのは嫌だし無理だと思いました。体調が悪く、疲れきっていて、休みたかったということもあります」。

こんなに忙しいのに10年後ももし同じ仕事しかできなかったら…(C)PIXTA

 明美さんは、辞表を出し、残っていた2カ月の有給休暇を使って転職活動をすることにした。

彼の勧めで自己分析を始めてみた

 「せっかくの休みなので、2カ月のうち1カ月間で次の仕事を見つけ、残りの1カ月は旅行に行ったり、地元に帰ったりしてゆっくりしたい」と、考えていたが、最初は何がしたいのか、全く浮かばなかったという。

 「6年間忙しく仕事をしてきましたが、何かスキルが身に付いたとか、特別な経験を積めたようには思えなかったのです。そもそも、就職活動のときにうまくいかず、40~50社ほど落ちた経験をしているので、うまく転職できるイメージもありませんでした」

 このときも、少し前に転職したばかりだった彼氏からのアドバイスに救われた。それは、「転職する前に、『何がしたいか』と『何ができるか』の二つをはっきりさせておくといい」というものだった。明美さんは、インターネットで見つけた自己分析ツールなどを使って、就職活動のときのように、自己分析を進めていった。

 「どんな働き方をしたいか書き出したり、友人に『私のいいところって何?』と聞いてみたり、職務経歴書を書いて、今までの仕事を振り返ったりしているうち、いろんなことをやってきた自分に自信が持てるようになり、やってみたい仕事や働き方が見えてきました」

 その後、数社の転職エージェントに登録。転職エージェントに伝えた条件は「PRの仕事に興味あるが、IT系ではなく、営業職ではないところ」というもの。「以前、PRや広告の仕事に近い仕事もやっていたので、できそうだし、やってみたいなと思ったのです。一方、IT系には苦手意識があり、営業職のように外回りの仕事もきついかな……と。また、友人と遊びに行ったり、プライベートも楽しみたいと思ったのです」

 明美さんは、エージェントを通して健康用品などを扱うメーカーに転職。商品プロモーションの仕事に就いた。店頭でのキャンペーン企画などを立てる仕事で、営業に出る機会はそれほど多くなく、ゆったりと働けることも魅力だった。「前職が忙し過ぎたので、残業が少なく、有給が取れるというだけでありがたかったです」

 転職後の明美さんは……次回へ続く。

文/井上佐保子 写真/PIXTA

Provider

日経ウーマンオンライン

2017/07/03掲載記事を転載
「お前はこのままだと10年後も同じ」彼の一言で転職