営業成績1位で年収も高かったのに事務に転身した理由

営業成績1位で年収も高かったのに事務に転身した理由

2018/05/01

辞めたから話せる、営業で困っていたこと、よかったこと

 転職を機に営業職を選ぶ人もいれば、反対に営業を離れて違う職種で活躍する人もいます。今回は、人材紹介業界で営業を経験した後に転職し、現在は私立大学の教務として働くK・Hさんに、営業職と事務職の違いや、転職した理由などを伺いました。

K・Hさん(35歳)独身
【仕事内容】人材紹介業界での法人営業と、個人登録者への営業(転職支援サービス)を8年経験。現在は転職し、教育業界で教務(学校での授業に関する事務)を担当。
【現在の手取り月収】約18万円
【現在の手取り年収】約380万円
【現在の仕事満足度】60点
営業のほうが向いている、でも両立は厳しいというのが本音

――22歳から31歳までの約8年間、人材紹介業界で営業職を経験されたと伺いました。なぜ営業を辞めて事務職に就こうと思ったんですか?

 「教育業界に興味があったのと、自営業をしている家族の仕事を手伝いたいという理由から、転職を決意しました。営業は拘束時間が長く、残業も多かったので、家族の仕事の手伝いと両立することが難しいと思ったんです。

 また、将来的にも長く勤められる環境で、専門知識を習得していく職種に転向したいとも考えていたので、4年前に教育業界に転職。私立大学で学生募集の広報をした後、現在は教務を担当しています」

――営業職と事務職では、仕事のやり方や必要な能力に違いがあるように思います。それぞれの仕事の特徴や、必要な能力の違いを教えてください。

 「営業職は『スピード』と『柔軟性』が必要で、考えながら動く要領のよさや、人柄で信頼を得ることも大切だと思います。一見ガツガツした人が向いているように思われがちですが、誠実で丁寧な『おっとりタイプ』の人も多く、顧客層によってはそちらのほうが好まれる場合もあります。

 一方、事務職は正確性が重視されるため、『思考力』と『丁寧さ』『知識の蓄積』が必要です。仕事内容にもよりますが、基本的には細かい作業が好きな人や、完璧主義な人が多い印象ですね。

 どちらにもよさはありますが、目標が明確なことと、対外業務が好きなので、自分には営業のほうが合っていると感じます。キツイことも多かったのですが、営業成績1位を獲得した時に、昇格して年収が100万円以上アップ。年収が高く、成果が目に見えて分かるので、モチベーションを高く保つこともできました。

 ただ、次に転職するとしても、営業は選ばないと思います。前職の営業は個人が対象だったということもあり、休日でも携帯で連絡を取るなど、体力と気力が必要でした。見方によっては、テレワークが可能な環境だったとも言えますが、結婚や子育てなどの将来的な生活を考えると、営業と家庭の両立は厳しい。業界や会社によっては可能だとは思いますが、個人的には難しいな……というのが本音です」

営業時代は日々の行動目標まで細かく設定

――営業と事務職では、スケジュール管理の方法にも違いはありますか?

 「営業時代には、朝のメールの状況を見て、1日の流れを組み立てていました。顧客訪問と登録者との面談を優先し、事務作業はそれ以外の時間に。日々の行動目標まで細かく設定して動いていました。

 営業の場合は、自分の裁量でスケジュールを管理できるので、日ごとの業務量の調整がしやすく、長期の休みも取りやすかったですね。ただ、どうしても顧客優先という場合があるので、一概には言えませんが……」

スケジュール(営業時代)【K・Hさんの営業時代の1日の平均的なスケジュール】
09:30 出社
午前中はメール、電話対応、取引先訪問
12:00 在職中の登録者と電話
13:00 昼食
14:00 訪問、面談等2~3件
20:00 事務処理後帰宅
※残業は1日2~3時間程度

「現在の教務の仕事では、営業時代ほどの詳細なスケジュールは組んでいません。事務処理の締め切りが比較的長めに設定されているので、1~2週間単位で予定を組み立てています。決算に向けて、庶務などの突発的な対応業務を日々こなしながら、長期目標に向けて作業を進める感じですね。グループウエアを導入しているので、やるべきことは『TO DOリスト』などで管理しています」

スケジュール(現在)【K・Hさんの現在の1日の平均的なスケジュール】
08:30 出社、メール対応
09:00 書類業務
12:00 昼食
13:00 書類業務
17:30 退社
※残業は1日1時間程度。平日の夜や休日の空き時間に、経理や準備等を手伝っている
顧客によって必要な対応を見分け、最年少で社内表彰の実績も

――営業時代に、困っていたことなどはありますか?

 「たまにですが、お客様から個人的な食事などに誘われることがあり、断るのが面倒臭かったです。そうしたことを避けるために、彼氏がいないときでもいることにしたり、『上司や優秀な同僚を紹介します』と言って、二人では食事に行かないということを、暗にアピールしたりしていました。同僚の中には、未婚であっても左手の薬指に指輪をして営業をしている人もいました」

――反対に、「営業でよかった」と思えるのはどんなときでしたか?

 「顧客の役に立っていると実感できたときは、うれしかったですね。数字を達成するということよりも、難しい案件がうまく決着したときには、本当に達成感がありました。その勢いで、仕事後にはよく飲みに行っていました(笑)」

――最年少で社内表彰を受けるなど、営業時代にもたくさんの結果を出されていたそうですね。業務効率を高めたり、成績を出したりするために、どんな工夫をしていたのでしょうか。

 「部署内で進捗報告を頻繁に行い、情報の共有を大切にしていました。そうすれば、自分が不在のときでも状況を把握している人がいるので、対応もスムーズにいきます。

 また、小さなことでも顧客とは連絡を取り合い、『状況を把握できている』と思ってもらうことで、信頼してもらえるように努めていました。

 あとは、ガツガツ攻め過ぎないことも大切。『訪問を重視する人』『スピードを重視する人』など、顧客によって求めている対応も違うので、お客様によって必要な対応を見分けながら行動していました」

――今後はどういうキャリアを築いていきたいと思っていますか?

 「今の仕事を続けたいですね。事務職としての専門知識も習得し、スキルアップも実感しているので、営業に戻るのではなく、今はこの仕事をこのまま継続していこうと思っています」

【営業時代のMYパンプス】
・足の幅が広いので、「DIANA」を愛用。ヒールが太く、ストラップ付きの柔らかい皮のパンプスを選んでいました。
【営業時代のMYファッション】
・インナーは、基本的にはTシャツやカットソー。襟のあるシャツは、型崩れが気になるので着ていませんでした。ジャケットは、伸縮性のあるものを選んでいました。

文/青野梢 写真/PIXTA

Provider

日経ウーマンオンライン

2018/05/01掲載記事を転載
営業成績1位で年収も高かったのに事務に転身した理由