こんな事務職はAIに負けない 世代別・仕事のやり方

こんな事務職はAIに負けない 世代別・仕事のやり方

2018/03/27

すずまり姉さんの意外な助言「○○ができる人は生き残れる」

 近年、注目を浴びているのが「AI(人工知能)」。囲碁AIがプロ棋士に勝利したり、AIスピーカーが人気だったりと、さまざまなトピックを耳にしますが、同時に「AIに仕事を奪われるのでは?」と危惧する声も聞こえてきます。そんなAIに負けないために、今、私たちができることって? すずまり姉さんに聞いてみました。

(登場人物)
やる子(30歳) & すずまり姉さん(40代)


左:やる子(30歳)/仕事に対しては真面目で、やる気も十分なのに、なぜかいつも空回り……。ミスやムダが多く、残業しているのは自分だけという状況もしばしば。
右:すずまり姉さん(40代)/効率よくスマートに仕事をこなす。過去に数多の過ちをやらかした経験からミス、ムダ、残業を忌み嫌う。厳しさと愛をもって全力で後輩を指導中。
近い将来、AIに仕事を奪われる…。それってホント?

 年度末を目前に控え、人々が慌ただしく駆け回る日経YARUKI社オフィス。ひと仕事終え、休憩タイムに突入したやる子は、気になるニュースをネットでチェックしています。

やる子 「制作部に異動して、もうすぐ1年か。早かったな~。去年の今ごろはランチの時間もあまり取れなかったけど、こうして休憩できるようになったってことは、私もきっと少しは成長しているんだよね。これもすずまり姉さんのおかげだわ。ありがたや、ありがたや……」

 そうつぶやいたやる子の耳に飛び込んでくるのは、いつものヒールの音。そう、カツカツカツ! という、すずまり姉さん登場のBGMです。

すずまり姉さん 「ちょっと、やる子。なぜ念仏を唱えてるの? 取りあえず、人を仏像のように拝むのはやめてくれる?」

やる子 「ぅおっと、すずまり姉さん! お、お疲れさまです。ふと1年前のことが、走馬灯のように脳裏を駆け巡りまして……」

すずまり姉さん 「それと念仏がどう関係するのか、イマイチ分からないけれど、まあ、いいわ。……あら、ニュースサイトをチェックしていたの。私もさっき見ていたけど、AIの記事が面白かったわね。知ってる? AIって」

やる子 「もっちろん! 歌手のアイさんのことですよね……って、違うっちゅーの!」

すずまり姉さん 「ちょ……。ずいぶん激しい一人ノリツッコミね。こんなにも成長してくれたなんて、私も指導役として感無量だわ」

やる子 「どんな指導ですか! ……いかんいかん、姉さんと話していると、ついツッコんでしまう。え~と、AIですよね。知ってますよ、人工知能ですよ。近い将来、事務の仕事はAIがやる時代になるとか言ってて、ちょっと不安になりますよね」

すずまり姉さん 「♪ド~ントッ・ウォ~リィィ~!!♪」

やる子 「うわ、ビックリした! 突然、大西ライオンさんみたいに熱唱しないでください。拳上げて、しかも何で英語……」

すずまり姉さん 「思わず叫びたくなっちゃったのよ。それはさておき、仕事がなくなるかもなんて、心配ご無用。要はAIに負けない仕事っぷりを見せればいいわけよ」

やる子 「それって、どんな仕事っぷり? 教えて、すずまり姉さん!」


近い将来、AIに取って代わられるのはどんな仕事?

 このところ、国内のメガバンクや、大手生命保険会社で見られるのが、業務見直しの動き。AIやロボットを使った技術を導入し、将来的には人員を減らしていくことを見据えたものです。

効率化を目指し、大幅な見直しを図る企業も

 2017年12月29日付の「日本経済新聞朝刊」では生損保各社の業務効率化の取り組みを紹介しており、この内容がなかなか危機感をあおられるもの。例えば三井住友海上火災保険は「営業事務を9割削減。1.5万人の仕事見直し」、あいおいニッセイ同和損害保険は「全業務量を2割、営業事務を6割削減」と掲載されていました。

 業務が減るということは、人員削減にもつながります。経済産業省の試算によると、「2030年、国内バックオフィス要員は140万人消える」のだとか。バックオフィスとは「顧客とやり取りをしない、社内向けの定型業務」のことで、一般事務や銀行窓口、データ入力などを指しています。そう聞くと、自分自身と照らし合わせてドキッとする方もいるかもしれません。

AIに負けないために、仕事への姿勢とやり方を見直そう

 将来、AIに取って代わられないために、実践していただきたいことが二つあります。

当たり前のことができるよう、主体的に仕事と向き合う

 一つ目は、「当たり前のことができる」ということ。書類をなくさない、デスクは整理整頓されている、パソコンの入力が早い、遅刻しない……。いずれも仕事の基本ですが、意外とできていない人も多いんです。でも、一つ一つの仕事を大切にし、丁寧に向き合っていれば、スキルが同程度の集団の中にいても、頭一つ抜きん出ます。なぜなら、当たり前のことができる人なら信頼できるし、安心して任せることができるから。

新人講師の私に仕事を回してもらえた理由

 これは、私自身の経験からも言えることです。独立し、講師の仕事が増え始めた頃、クライアントに「なぜベテラン講師ではなく、新人の私に仕事を回してくれるのか」と聞いたことがありました。この時の先方の答えは「預かった書類をファイルするから安心」「遅刻せずに締め切りを守る」といったもの。当時は「プレゼンがうまい、とか、企画力があるからではないのか」とガッカリしました。でも、今思えば、当たり前のことをしたから、そしてできるように努力したからこそ、仕事が得られたということなんでしょう。

 「自分はミスが多い」「上司やお客様に注意されてばかり」なんて感じている人もいるかもしれませんが、思い込みはNG。スタートラインはみんな一緒なので、当たり前のことをきちんとこなして自身の強みにしていきましょう。

ルーティンワークに留まらず、ナレッジワークを増やしていこう

 当たり前のことができるようになったら、2つ目、仕事の幅を広げていきましょう。AIに任されるであろうルーティンワークだけでなく、知識により付加価値を生み出す仕事=ナレッジワークを少しずつ増やしていくのです。

AIではなく人に託したくなる業務とは?

 創造性がある、または協調性が必要な業務、非定型な業務などは、将来的にも人が担うもの。これらをナレッジワークとして考えると、企画提案や業務改善の他、後輩指導や人材育成といった業務が当てはまります。また、問題解決やコンサルティング、あるいは気配りやサービスが必要な業務などもそうでしょう。「言われたことだけやる」「私の業務はここまで」と思っているならすぐに考えを改め、スキルを磨いてできることを増やしていきましょう。

世代別に、仕事に取り組む姿勢とやり方は違う

 仕事に就いてすぐの20代、中堅どころの30代、ベテランの域に達した40代以上。さまざまな年齢の方がいらっしゃると思いますが、世代によってできることや持つべき心構えは変わってきます。実践できればあなたの評価は上がり、やりたい仕事を手にすることにもつながるはず。最後にお贈りしたい言葉としてまとめたので、心に留めていただけるとうれしいです。

すずまり姉さんからのエール! 世代別・仕事に対する姿勢と心得

 まずは体力、知力がピークの20代。この頃は、とにかくチャレンジして、仕事や人の好き嫌いをなくしましょう。誰かを羨ましがるのではなく、自分の置かれている環境をプラスに捉えるポジティブさも必要。悩んだ分だけ一皮むけて仕事が楽しくなるので、「石の上にも三年」と心得ましょう。

 続いて30代。この時期にラクをすると、40代で花が咲くことはありません。ルーティンワークだけで満足せず、頭を使う仕事をしてナレッジワークを増やしていきましょう。中堅どころでもあるので、率先して職場のパイプ役になる柔軟さも必要です。

 そして最後は40代以降。この世代に必要なのは相反する二つ、自信と謙虚さです。「昔は」「私流」はNGワード。担当替えや異動を固辞するのもやめ、変化を嫌うのではなく対応するための努力をしましょう。培ってきたノウハウを伝え、自分を越える後輩の育成も大切です。目指すべきは「みんなの味方」。上司やメンバーから真っ先に相談される存在になってください。

AIに負けない事務職を目指すポイント


◆当たり前のことができる自分になる
◆ナレッジワークを少しずつ増やしていく
◆世代によって仕事への姿勢や考え方は変わる
◆今までに本連載で紹介した仕事術も、ぜひ実践を!

やる子 「お~、さすがはすずまり姉さん、聞いていて心強いです! これなら大西ライオンさんも熱唱するはずですわ」

すずまり姉さん 「そう? よかった、最後に伝えることができて」

やる子 「へ? どういう意味ですか? さっきも、最後に贈るとか何とか言ってたし」

すずまり姉さん 「ジャジャ~ン! 実はアテクシ、異動で今度の4月から広報部の部長になるので~す。まあ、やる子もこの1年でグンと成長したし、私が教えることはもうないわ。あ~たも昇進してプロジェクトリーダーになるって聞いてるから、しっかり頑張るのよ」

やる子 「ええっ、リーダーなんてムリですっ! その前に、姉さんにはまだそばにいてもらわないと、分からないことだらけなのに……」

すずまり姉さん 「な~に情けないこと、言ってんの。この私が1年間みっちりレクチャーしたんだから、あ~たはもう大丈夫だってば。自信持って、これまでに私が教えてきたことを後輩たちにも伝えてあげてね」

やる子 「……分かりました。すずまり姉さんに習って、きっちり指導するようにします!」

すずまり姉さん 「同じ会社なんだから、またランチでも行きましょうよ。んじゃ、頑張ってくださいマシーン!」

やる子 「……連載1回目と同じギャグを残して去っていくとは……。さすがです、姉さん!」

 かくして、やる子の成長物語は無事完結したのでした。すずまり姉さんも新たなフィールドで活躍することになるのですが、それはまた別のお話。ということで、再びお目にかかれるその日まで、乞うご期待!

文/石川由紀子 キャラクターイラスト/小迎裕美子 写真/PIXTA

Profile
鈴木真理子(すずき・まりこ)
ヴィタミンM 代表取締役。三井海上火災保険(現三井住友海上)に事務職で入社し、約10年の勤務を経て起業。企業研修やセミナーで3万人以上に指導を行う。ビジネス書作家(日本ペンクラブ会員)としても活動。著書は8冊、累計15万部突破。近著は「仕事のミスが激減する『手帳』『メモ』『ノート』術」(明日香出版社)。江戸っ子言葉でギャグ好きの姉御気質。数多の過ち経験を告白し、ミス、ムダ、残業を減らすヒントを提唱。

Provider

日経ウーマンオンライン

2018/03/27掲載記事を転載
こんな事務職はAIに負けない 世代別・仕事のやり方