仕事が増えたときに役立つ「優先順位の正しい付け方」

仕事が増えたときに役立つ「優先順位の正しい付け方」

2017/11/07

「なかなか成果が上がらない」人は必読。優先順位の付け方

 あまりに業務が増えると焦ってしまい、真っ先に片付けるべき仕事を見落とす可能性もありますよね。結果、大切な仕事をふいにしたり、残業やミスにつながったり……。そんなデメリットを生まないために、優先順位を正しく付けるコツ、すずまり姉さんに聞いてみました!

(登場人物)
やる子(30歳) & すずまり姉さん(40代)


左:やる子(30歳)/仕事に対しては真面目で、やる気も十分なのに、なぜかいつも空回り……。ミスやムダが多く、残業しているのは自分だけという状況もしばしば。
右:すずまり姉さん(40代)/効率よくスマートに仕事をこなす。過去に数多の過ちをやらかした経験からミス、ムダ、残業を忌み嫌う。厳しさと愛をもって全力で後輩を指導中。
目先の雑事に追われていると、身になる仕事を逃すかも!

 冬の足音が近づく、ある日の午後。すずまり姉さんとやる子は薄手のコートを羽織り、仲良く肩を並べてランチへと向かっています。

すずまり姉さん 「ミーティングが長引いて、食べ損ねちゃったわね。この時間帯だから、ファミレスでいいかしら?」

やる子 「すぐに食べられるなら、どこでも大丈夫です。もう、おなかが空き過ぎちゃって。今の私にミドルネームを付けるなら、『ハングリーやる子』ですよ」

すずまり姉さん 「ハングリーやる子って……。ネーミングセンスがないわね。ところで、例の営業部とのプロジェクトは順調? 営業部長ともうまくやれているの?」

やる子 「そりゃもう! 私も以前のように、言われたことを全部やるのはやめましたし。この前も次のプレゼンやらないかと打診されたんですが、月末で忙しかったからキッパリ断りました!」

すずまり姉さん 「プレゼンって、大役じゃない。そんなうれしい仕事、何が忙しくて断ったりしたの?」

やる子 「え、経費の精算とか、いろいろたまっていたので……」

すずまり姉さん 「なんと! ……やる子、それはズレているわよ。せっかくのチャンスより、経費精算を取るなんて」

やる子 「うっ、言われてみれば確かに……。でも、経理から、かなりせっつかれていたし」

すずまり姉さん 「そりゃあ~た、日ごろから仕事の優先順位を間違えているからよ。……仕方ない、ランチしながら『正しい優先順位の付け方講座』もやっちゃいましょ」

やる子 「おお、姉さん、ありがとうございます!」


チャンスをものにしたいなら、優先順位は常に意識するべき!

 優先順位を見誤り、やりたかった仕事を逃す……。そんな苦い経験を、私も過去に味わったことがあります。

返事を遅らせた結果、せっかくのチャンスを逃すことに

 それは、ちょうど起業したばかりの頃。忙しいけれど成果が出ない状況の中、取引先から「新しい仕事があるけれど、やってみない?」と声が掛かったんです。内容は、自分にとってやりたかった仕事。まさにチャンスだったのですが、あまりに忙しかったので、先約を整理してから引き受けようと、返事を1週間待ってもらいました。

 そして1週間後、担当の方に受諾の連絡を入れたところ、返ってきたのは「その話はもう結構です」というつれない言葉。聞けば、別の方に決まったとのことでした。即答できなかったために、せっかくの機会を逃してしまったのです。この経験が教訓となり、何を優先すべきかを常に意識するようになりました。

 優先順位を付ける際は、重要度と緊急度を指標にしたマトリックスを用いるのが定番。両者が高いゾーンにある仕事から着手する、という方法です。弱点は、同じゾーンに複数の仕事が入る場合があること。これは仕事量が増えるほど顕著なので、時には優先順位を見誤る要因にもなりかねません。

第一優先ゾーンから着手せよ!


優先順位を正しく付けるコツは、バケツにあり

キャパシティーをバケツに、仕事を石に例えてみる

 そこで提案したいのが、自分の抱えられる仕事量を一つのバケツに例える方法。バケツに入れるのは石で、これは一つ一つの仕事を指します。石にはさまざまな大きさがあり、優先順位の低い仕事や雑用は小さな石、利益を生む、あるいはチャンスになる仕事は大きな石と考えてください。

 ここで何も考えずにすべての小石を入れると、バケツはあっという間に満タンです。これは「忙しい」が口グセで、頑張っているのに成果が上がりにくい人の典型的なパターン。

大きな石が入るスペースを残せるのはデキる人

 では、成果を上げる人のバケツはどうなっているのでしょうか? こういった人はまず、石の選別から始めます。バケツに入れる、入れないを見定めるので、すぐに満タンにはなりません。むしろバケツにスペースを残しておくので、大きな石がやって来たら受け入れる準備も万端。要は、自分で主導権を持ち、やる仕事を選んでいるんです。これは、ムダを省いているからこそできることですね。

小さな仕事でいっぱいいっぱいになる人はいつまでたっても成果が上がりません


「大きさを判別できない」「大きい石が多い」と嘆く前に

優先順位はマトリックスではなく、数字で考える

 「それでも優先順位を付けられない」という人もいるかもしれません。でも、「今日中に絶対やるべき仕事を、一つだけ選んでください」と質問されたら、きっと答えられるはず。このように数値化して順位を付けるようにすれば、前述のマトリックスで考えるよりも優先順位がクリアになりますよ。

大きな石=大切な仕事は、1日の数に目安を設ける

 バケツが大きな石で満タンになるなら、キャパオーバーということ。この状況を回避するのは簡単で、1日に行う仕事の数を設定しておけばよいのです。仕事の内容や各人の許容量にもよりますが、私の場合、大切な仕事は1日当たり二つまで。もちろん、電話やメールといった通常業務は行いますが、柱となる仕事をするには、二つが私の限界です。ついTo Doリストを盛り過ぎてしまう方は、こうした点にも注意してみてください。

人には限界があります


マトリックスの指標を変えれば、ミスを減らせて時間ができる!

 先ほどのバケツの例えで言えば、ミスは小石を増やす要因です。やり直したり謝ったりといった小石の仕事は、ムダな労力と時間を費やすだけ。つまり、ミスを防ぐことは時間をつくることとも言えますね。

 でも、従来の優先順位のマトリックスでは、第一優先ゾーンに「ミス防止策」は入っていません。

これが従来の優先順位マトリックス。ミス防止策は「大事だけどそのうちやる」「いつかやるから」という認識で、緊急度が低いとされがち

 そこで提案したいのが、指標を変えるということ。一つ目を「すぐに着手できること」、二つ目を「すぐに効果が出ること」にすれば、ミス防止策は第一優先ゾーンに入ってきます。これを実践してミスを減らせば、スピードアップできるのはもちろんのこと、できた時間を大事な仕事に充てられるので、利益にもつながりますよ。

指標を変えたら、ミスも減り、成果も出しやすくなった!


優先順位を正しく付けるポイント


◆キャパをバケツに、仕事を石に例えて考える
◆小さな石=雑用だけでバケツを満タンにしない
◆大きな石=大切な仕事は1日の数を設定する
◆優先順位を見極めるときは、数字を付けて順位を決める
◆マトリックスの指標を変えてミス防止!

やる子 「バケツの例え、分かりやすい! そうか、経費精算は小石、プレゼンは大きな石だったんですね……」

すずまり姉さん 「そういうこと。あ~たはかつての私のように、チャンスを逃したのよ」

やる子 「うぅ……。経費精算なんて、もっと別のときでもできたのに」

すずまり姉さん 「ま、教訓にしておくのね。……はい、ちょうどファミレス到着! あら、ずいぶん混んでいるわね。順番待ちリストに名前書かなくっちゃ。あ~たの名前で書いていい?」

やる子 「もちろん! あ、私が書きますよ」

すずまり姉さん 「いいの、気にしないで。ちゃんと『ハングリーやる子』って書いておくから」

やる子 「ちょっ……。そんなんしたら、店員さんに『2名でお待ちのハングリー様~』って呼ばれちゃうからダメです。そもそも、ハングリーって名字、どこの国の人なんですか!」

 そう言って、喜々とするすずまり姉さんを慌てて止め、自分の名前を書くハングリーやる子でした。それでは次回も、乞うご期待!

文/石川由紀子 キャラクターイラスト/小迎裕美子 写真/PIXTA

Profile
鈴木真理子(すずき・まりこ)
ヴィタミンM 代表取締役。三井海上火災保険(現三井住友海上)に事務職で入社し、約10年の勤務を経て起業。企業研修やセミナーで3万人以上に指導を行う。ビジネス書作家(日本ペンクラブ会員)としても活動。著書は8冊、累計15万部突破。近著は「仕事のミスが激減する『手帳』『メモ』『ノート』術」(明日香出版社)。江戸っ子言葉でギャグ好きの姉御気質。数多の過ち経験を告白し、ミス、ムダ、残業を減らすヒントを提唱。

Provider

日経ウーマンオンライン

2017/11/07掲載記事を転載
仕事が増えたときに役立つ「優先順位の正しい付け方」