脱・時間のムダ使い「きちんと仕事を完成させる」コツ

脱・時間のムダ使い「きちんと仕事を完成させる」コツ

2017/10/03

満点主義の人は「時間をムダ使いする」不毛な努力をしない方法

 「仕事はちゃんとやらなきゃ」なんて思っているあなた! もしかしたら、その「ちゃんと」は、あさっての方向かもしれません。丁寧な仕事は安心してもらえる一方で、「時間がかかり過ぎ」と思われるリスクもあるんです。では、本当の意味で「ちゃんとした仕事」をやり遂げるポイントとは? すずまり姉さんに聞いてみましょう。

(登場人物)
やる子(30歳) & すずまり姉さん(40代)


左:やる子(30歳)/仕事に対しては真面目で、やる気も十分なのに、なぜかいつも空回り……。ミスやムダが多く、残業しているのは自分だけという状況もしばしば。
右:すずまり姉さん(40代)/効率よくスマートに仕事をこなす。過去に数多の過ちをやらかした経験からミス、ムダ、残業を忌み嫌う。厳しさと愛をもって全力で後輩を指導中。
いつでも100点目指してまい進…。その努力、本当に必要ですか?

 10月を迎え、部署をまたいだプロジェクトは忙しくなる一方。今日もやる子はランチもそこそこに、カタカタとキーボードをたたき続けています。

やる子 「は~。けさの会議も長引いたなあ。おまけに営業部長から議事録作りも頼まれちゃったし。これじゃあ、ルーティンの仕事が終わらないよ……」

 うんざりした表情でモニターを見つめるやる子。そんな彼女の元へ、いつものようにカツカツカツ! とヒールの音を響かせて、すずまり姉さんがやって来ます。

すずまり姉さん 「ハ~イ、やる子、おはこんばんちは!」

やる子 「おはこん……、それ、昔のアニメの再放送で言ってたセリフですよ、姉さん」(アラサーのための補足:1980年代に流行した「Dr.スランプ アラレちゃん」)

すずまり姉さん 「そお? 私はリアルタイム。1日の挨拶がまとめてできるから便利なのよ、これ。そんなことより、今、何やってるの? ずいぶん根を詰めているみたいだけど」

やる子 「さっきの会議の議事録をまとめているんです。営業部で必要みたいなんで。ウチの部署では作らないから、どうも勝手が分からなくて……」

すずまり姉さん 「どれどれ……? あ、やる子さん、これはいかんですわ。どうせあ~た、営業部長に言われて安請け合いしたんでしょ。敬礼しながら『ギョイッ!』とか言って」

やる子 「『御意』って、すずまり姉さんがいつもやってるやつじゃないですか。それより、どこがいかんですかね、この議事録」

すずまり姉さん 「ツッコミどころはあ~たの作り方にもあるんだけど、そもそも自分たちが必要だからって、やる子に頼むのはどうなのよ。……とりあえず、これから営業部に行くわよ」

やる子 「姉さん、いや、姐さん! 殴り込みの前に、まず理由を教えてください~!」

「終わんないなぁ」とか言って、その努力、本当に必要ですか? (C) PIXTA


指示受けの際に完成イメージを共有すれば、両者ともハッピー!

 仕事を指示されるとき、ぜひとも行ってほしいのが「完成イメージの共有」。どこまでやればいいか、指示をする側と受ける側が理解していれば、出来上がりに行き違いが出ることはありません。

【実例その1】丁寧さと分かりやすさ、どっちが優先?

 まずは実際にあったことを、例としてご紹介しましょう。

 私は以前、ある企業から業務日報の改善を依頼されました。その企業では全社員15名が日報を作り、社長に提出するのが習慣。でも、皆さんの日報に目を通しても、過剰な敬語が気になるくらいで、特に問題はありません。そこで社長にヒアリングしたところ、ようやく分かりました。

 彼は外出が多く、日報をスマホで読むため、簡潔なものを望んでいたんです。優先順位の高い事柄3つほどを箇条書き程度で十分だったのに、社員たちは社長に提出するものだからと、とにかく丁寧さを重視。しっかりと敬語を使って作り込み、時には残業してまで作成していたそうです。

【実例その2】前例を踏襲することは無難と言い切れない

 もう一つの例は、私自身の体験談です。保険会社に入社して5年目のとき、初めて新入社員研修を担当しました。研修後、新たに上司となった人から報告書を求められた私は、張り切って10ページにも及ぶ大作を1週間かけて仕上げたんです。

 その報告書を提出する際に、上司からいただいたのは「遅過ぎる」というお言葉。私は完璧さを追求し、10ページでまとめましたが、上司にとってはA4の1ページ程度でよかったんです。以来、私は上司から「仕事が遅い人」のレッテルを貼られてしまいました。

頼んだのは、そんな完璧な企画書じゃなくて、箇条書きの報告書だよ~! (C) PIXTA

その思い込みが、互いの時間をムダにする

 上記二つの例に共通するのは、完成イメージを共有できていないことが要因という点。指示を受ける側はよかれと思い、完璧なものを丁寧に作成したにもかかわらず、指示する側は望むレベルとは異なるものを手にする羽目になったのです。この結果は、互いに「こうするべき」と思い込んでいたからに他なりません。

指示の際に確認することで、間違いもなくせる!

 完成イメージを共有するには、指示を受ける際にとことん確認することが大切。出来上がりのレベルを丼物に例えるなら、「特上」「上」「並」でしょうか。指示を受けて並でいいのかを尋ね、「大切な取引先だから、特上で」と言われたら、「じゃあ〇時間はかかりますが」と時間見積もりを伝えて仕事に取りかかる。そうすることで、時間のムダもイライラすることもなくなり、互いに幸せになれます。

自身が指示を出すときも、ぜひ実践を!

 これは、あなたが指示する側に立ったときも同じ。何をどのレベルで望むのか、部下や後輩にきちんと指示するようにしましょう。なお、こうした確認作業は、レベル違いだけでなく方向違いも正すことが可能。「天丼の特上を頼んだら、うな丼の特上が出てきた……」なんて、ガッカリすることもなくなりますよ。

「ご希望の『並』、もうできました~!」 (C) PIXTA


やり過ぎ議事録の改善に必要なのは、ポイントだけを押さえること

 丁寧に仕事をすることは大切ですが、あくまでも相手が求めるレベルの範囲内で行うべき。そのためには、先ほどお伝えしたように「こうしなくちゃならない」という思い込みを捨て、しっかり確認することが必要です。

 自分の仕事に丁寧さや完璧さを求めるのは、女性に多く見られがち。例えば議事録の作成でも、討議内容を逐一記載する人がいますが、これも時間のムダ使いでしかありません。

実践したい! ムダのない議事録の作り方

 議事録で最も大切なのは、その会議での結論です。これもグダグダと書かずに、箇条書きで簡潔にまとめましょう。誰が何を言ってどう答えたかといった討議内容は、すべてカットしてOK。読み手が参加者なら、会議の流れは把握していますからね。記載すべきは、次回の宿題にした懸案事項や、いつまでに誰が何をするか。あとは次回の開催日を入れておけば、議事録として十分です。

 もっと言えば、そもそも議事録など必要ありません。各自がノートに取り、自分で把握するように心掛ければいいんです。もし、議事録作成が必須のオフィスにいるなら、今後のムダをなくすために、こうした提案をしてはいかがでしょうか?

完璧じゃないのに高評価 ムダ仕事のやり過ぎ解消ワザ

時間のムダ使いをなくすポイント


◆指示を受ける際は完成イメージを共有する
◆思い込まずにその都度、確認すること!
◆指示を出すときも、何をどのレベルで望むのか伝える
◆そもそも必要な仕事なのかを考えてみよう

やる子 「あ~、もう! すずまり姐御、ホントに営業部長と話すんですか?」

すずまり姉さん 「当然じゃない。メモを取らない人のために、やる子が議事録を作るなんてお門違いなんだから」

やる子 「……分かりました! 私から部長に提案します」

すずまり姉さん 「あら、大丈夫? 私が後ろから威嚇してもいいのよ」

やる子 「それは相当、効果がありそうですね……。い、いや、でも、頑張ってきます! 何なら部長に『ギョイッ!』って敬礼してもらってきますよっ」

すずまり姉さん 「頼もしいわね。でも、ちょっと足、震えてない?」

 ムダ仕事をなくすべく、勇気を出して営業部長のデスクへ向かうやる子。その妙な迫力に押された営業部長からは、後に「ポストすずまり」と呼ばれるのですが、そのお話はまたの機会に。それでは次回も、乞うご期待!

文/石川由紀子 キャラクターイラスト/小迎裕美子 写真/PIXTA

Profile
鈴木真理子(すずき・まりこ)
ヴィタミンM 代表取締役。三井海上火災保険(現三井住友海上)に事務職で入社し、約10年の勤務を経て起業。企業研修やセミナーで3万人以上に指導を行う。ビジネス書作家(日本ペンクラブ会員)としても活動。著書は8冊、累計15万部突破。近著は「仕事のミスが激減する『手帳』『メモ』『ノート』術」(明日香出版社)。江戸っ子言葉でギャグ好きの姉御気質。数多の過ち経験を告白し、ミス、ムダ、残業を減らすヒントを提唱。

Provider

日経ウーマンオンライン

2017/10/03掲載記事を転載
脱・時間のムダ使い「きちんと仕事を完成させる」コツ