タピオカブーム仕掛け人が本当にやりたかったこと

タピオカブーム仕掛け人が本当にやりたかったこと

2019/10/16

(上)木川瑞季 大手コンサルから経験値ゼロの飲食業界へ転身。台湾駐在時代に出合った一杯が人生の転機に

ワーク・ライフ・バランスが声高に叫ばれる現在、一方では仕事そのものを面白がり「遊ぶように働く」人たちも現れています。タピオカミルクティーブームの仕掛け人・木川瑞季さんは、台湾の老舗カフェ「春水堂(チュンスイタン)」の日本進出を聞きつけて異業種の飲食業界へ飛び込み、今では全国15店の運営を取り仕切る経営者です。仕事人生を大きく変えたのは、一杯の中国茶。マッキンゼー・アンド・カンパニーのコンサルタント時代に赴任した台湾の地での偶然の出合いでした。

今までのブームとは一線を画するお茶の品質

―― 10代を中心に火が付いたタピオカミルクティーの人気は、とどまるところを知りません。タピオカは第3次ブームといわれていますが、今までとどこが違うのでしょう?

木川瑞季さん(以下、敬称略)最大の違いは、シンプルにお茶自体のクオリティーが高く、おいしいことだと思います。飽きずに飲み続けてもらえるレベルの味を提供できていることが、たくさんのリピーターを生み続けている理由ではないでしょうか。

 1990年代初めの第1次ブームのタピオカは、今と見た目が全く異なる小さな透明の粒で、ココナツミルクに入ったスイーツでした。第2次ブームは2000年代初頭。クレープなどと一緒にスタンドや屋台でタピオカ入りジュースとして売られ、若者向けの目新しいスイーツのような位置付けで、お茶の味よりも、茶色くて大粒のタピオカのインパクトが大きかった。

 ブームが定着するかどうかは、どれだけリピーターを獲得できるかにかかっています。それには、クオリティーの高い商品が市場に存在していることが大事です。

―― 40代以上のARIA世代には、過去のタピオカブームを経験している人も多いと思います。私もそのひとりですが、確かに、今回飲んでみて、「タピオカティーってこんなにおいしかったっけ?」という驚きがありました。

木川 2013年に春水堂が日本に進出するに当たり、本格的な茶葉を使った「アレンジティー」という新しいジャンルを打ち出しました。これまで「お茶はペットボトルを買えばいい」と思っていた人たちに、500円を出してでも買いたいと思ってもらえるハイクオリティーのお茶を提供するべく、品質にはとことんこだわっています。

 当初、台湾系のお店が日本に次々と参入する中で懸念していたのが、「価格破壊をされたら嫌だな」という点でした。ですが、日本では品質が良ければ500円でも受け入れてもらえると証明したことで、他のブランドも追随した。そうした流れが生まれて、ハイクオリティーなお茶のマーケットが出来上がってきたのは、とても良かったと思っています。

2013年にオアシスティーラウンジに転職し、台湾の人気カフェ「春水堂」の日本での立ち上げに関わった木川瑞季さん。タピオカブームをけん引するブランドに成長した

―― ブームの仕掛け人として、この広がりは読み通りでしたか?

木川 お茶のマーケットに潜在的な可能性があると確信していました。日本にスターバックスが上陸してからわずか20年余りで「シアトル系コーヒー」という新たなカテゴリーがここまで浸透したのですから、「アレンジティー」も同様の可能性を秘めていると思っています。

 これまでそれが実現できなかった理由は、本当においしくて質のいい商品が少なかったことと、シアトル系コーヒーを広めたスタバのように、市場をけん引する良いブランドがなかった点です。今回、私たちがそれを実現して、お茶の市場を創り出せればと考えています。

春水堂のタピオカティー。品質にこだわり、飽きずに飲み続けてもらえるレベルの味を実現したという

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日経ARIA

2019/10/03掲載記事を転載