コクヨ社長 コロナ禍で祖父の写真を前に熟考したこと

コクヨ社長 コロナ禍で祖父の写真を前に熟考したこと

2021/01/06

(上)コクヨ黒田英邦社長「目の前の利益だけのために仕事をしても意味がない」と気づいた

「働く」って何ですか――働き方改革やワーク・ライフ・バランスといった旗印の下で「働く」が揺らぐ今、改めてこの根源的な問いの答えを考えてみませんか? ifs未来研究所所長の川島蓉子さんが、企業のトップに「あなたにとって働くって何ですか?」をぶつけます。今回は、コクヨの黒田英邦社長にお話をお聞きしました。
(上)コロナ禍で先代社長の写真を前に熟考したこと ←今回はココ
(下)「真のダイバーシティとは何か」を見つめ直す

本社ビルにたった一人で出社して向き合ったこと

川島蓉子さん(以下、敬称略) コクヨ社内で「英邦さん」と呼ばれていることから、私もそう呼ばせていただきます。英邦さんとは、コクヨの社長になる前からのご縁です。いつもエネルギッシュに考え、動いている印象があるのですが、コロナ禍の緊急事態宣言の間は、どうしていたのですか?

黒田英邦さん(以下、敬称略) コクヨは本社が大阪にあります。対策本部をその本社に構えたので、陣頭指揮を執るべく大阪にある実家に戻っていました。が、すぐにリモートで働く体制に切り替えたので、毎日一人で本社ビルに出社していたのです。朝は自分でビルの鍵を開け、夕方は自分で鍵を閉める。そんな暮らしを2カ月ほど続けていました。

川島 一人ぽっちじゃ寂しくなりそうです。

黒田 それはもう孤独で寂しかったです(笑)。が、実家で仕事するのも何となく居づらくて、出社して一人でいろいろなことを考えていました。

川島 コロナ禍で、経営トップは、先行きが見えづらい上に大きな責任を負っていて、考えること、判断することが山積みだったのでは。

コクヨ代表取締役社長 黒田英邦さん

1976年、兵庫県生まれ。甲南大学、米ルイス&クラークカレッジ卒業後、2001年にコクヨへ入社。オフィス家具部門の法人営業、経営企画部長、コクヨファニチャー社長を経て、15年よりコクヨ社長に就任

尊敬する2代目社長の写真を前にして…

黒田 祖父(コクヨ2代目社長の黒田暲之助氏)の写真を前に置いて、祖父の顔を見ながらずっと考えていました。何かしゃべりかけてくれるんじゃないかと期待して(笑)。コロナ禍で売り上げが厳しく、会社がどうなるのか、社員の健康も気になる、何もかも先が分からないじゃないですか。この事態に対して、尊敬する経営者である祖父が、何か教えてくれるのではと思ったのです。結局、何もしゃべりませんでしたけど(笑)。

川島 でも、気づくことがあったのですね。

黒田 分かったのは、立場とか、役割とか、責任ということだけで、人は仕事しないということ。社長である僕は「会社を良くしていこう」と考えてやっていたつもりでしたが、実は全然できていなかった。「社長が言ったから変える、やる」でなく、「みんなでチャレンジする」ようになっていかなければならない。そのためにどうすればいいのだろうと、反省することばかりでした。

川島 でもそれって、英邦さんが5年前に社長になったときから、いや、その前から何度もおっしゃっていることで、恐らく英邦さんが抱いている志みたいなもの。私が見ている限り、社内に着々と浸透しているように見えるのに、どうしてそこまで謙虚に反省するのだろうと思っちゃいます。

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日経ARIA

2020/12/23掲載記事を転載