JR貨物社長 震災後の東北で花開いた音楽と人との縁

JR貨物社長 震災後の東北で花開いた音楽と人との縁

2020/11/04

(上)JR貨物社長・真貝康一 東北支社長時代、音楽でつながる人の輪が次々に広がり、「復興のシンボル」に結実

ビジネスの転機で背中を押してくれたシンフォニー、大切なライフイベントを彩ったアリア…クラシック音楽を愛する各界のリーダー層が、自身にとって忘れられない一曲と共に人生を語ります。今回登場するのは、JR貨物代表取締役社長の真貝康一さん。5歳のときにヴァイオリンを習い始め、小学校時代の器楽クラブでの合奏経験が、音楽の魅力に触れた最初のきっかけだったといいます。そんな真貝さんがこよなく愛するのが弦楽四重奏という演奏形態。その理由とは?
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(下)音楽がもつ調和の力は物流事業でも生きる JR貨物社長

合奏の楽しさを知った秋田の小学校時代

 調和を意味するハーモニーという言葉があります。ギリシャ神話に登場する女神ハルモニアが語源で、またギリシャ語ではもともと、ハルモニアはつなぐという意味を持っていたそうです。私がクラシック音楽に引かれるのは、合奏がつくりだすハーモニーに魅力を感じるから。そして東北支社長時代に直面した東日本大震災では、それまで音楽を通じて生まれた人とのつながりが生きるさまざまな出来事がありました。

 生まれたのは東京ですが、父親の仕事の関係ですぐに秋田へ移り、5歳のときにヴァイオリンを始めました。1960年ごろの秋田では今のように音楽やレッスンの環境が整っていたわけではありませんが、戦時下で青春時代を過ごすことを余儀なくされた母親が、子どもには何か楽器を習わせたいと思ったようです。当時秋田に数えるほどしかいなかったヴァイオリンの先生に、小学6年生まで習っていました。

 ただ、私にとって当時の思い出は、いわゆる「お稽古事」としての音楽とはちょっと違いました。小学4年生のとき、熱心な音楽教育で知られた故菅原とし子先生が他校から赴任してきて、それをきっかけに、先生の指導の下で器楽クラブがつくられることになりました。といっても、今みたいに学校所有の楽器がそろっているわけではありません。保護者たちが費用を出し合ってアコーディオンやコントラバス、木琴などを買いそろえ、恐らく先生も私財を投じていたと思います。そうしてできた器楽クラブに私はヴァイオリンで参加し、いろんな楽器と一緒に合奏をしました。それぞれ分担はあるけれど、好き勝手にやっては音楽にならない。みんなで息を合わせることで一つの音楽になること、ハーモニーが生まれることを知った原体験でした。

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日経ARIA

2020/10/26掲載記事を転載