孤独は悪いことじゃない―芸人・永野から働き女子へ

孤独は悪いことじゃない―芸人・永野から働き女子へ

2016/11/01

永野さんインタビュー【後編】

テレビで見ない日はないぐらい、大ブレイク中の芸人・永野さん。どんなに批判を浴びても自信を失わなかったのはどうしてなのか? 孤独を恐れず、独自の芸風を貫いてきた永野さんの生き方に学びましょう。

永野さんから学ぶべきこと1~5を紹介している前編はこちら → 好きを貫くために―芸人・永野から学ぶべき9つのこと

6、自分らしさを大事にすべし

 自分が面白いということに関しては、なぜか子供の頃からずっと自信があるんですよ。でも、最初にプロの現場でお笑いをやるときにはちょっと不安もあったんです。

 ただ、自分の「におい」みたいなものってあるじゃないですか。自分らしいところというか。それはすごい大事にした方がいいと思いますね。

 僕の場合も自分のクセとかを生かしてそのままやっていたら、それが味みたいになってきたので、自分らしさを信じた方がいいです。人に何か言われても変えない方がいいですよ。

 それに、僕はいつもウケないときは「世間が悪い」とか「時代が悪い」と言って、他人のせいにしてますから(笑)。

 でも、自分の見た目とかには何の自信もないですね。自分に自信がないとか言ってるそこら辺のOLとかサラリーマンでも、ちゃんとした服を着たり、髪を遊ばせてたりするじゃないですか。その自信は何なんだ、って思いますけどね。僕は自分の顔面とかルックスには何も自信がないので、ファッションとか髪型に気を使うこと自体が恥ずかしくてできないです。やっぱりみんなそこは自信あるんだろうな、って。

7、自分が好きでやっていることなら卑屈にならない

 みんな好きなことをやった方がいいんですよ。どんな仕事でも、本当はみんな自分の好きなことをやればいいと思うんですよね。

 今いる会社が嫌だったら辞めればいい。辞める根性がないなら、それはそれで仕方がないし。僕は前の事務所を辞めてからフリーになって悲惨だったし、地獄を見たんですけど、辞めたいから辞めたわけで。

 人から笑われても、自分がやりたくてやってることなら卑屈になることはないんですよね。

 「好きなことだけやっててもダメだよ」とか上から説教してくるオッサンたちも、結局、自分ができなかったコンプレックスで言ってるだけの気がするんです。

 僕もめっちゃ言われたんですよ。「いつまでバカなことやってんの?」とか。そういう現実的な人に限って、オリンピックとか見てめちゃくちゃ盛り上がったりしてましたからね。「ドラマティックなの好きじゃ~ん!」って思いました。

 僕は要らないんですよ。自分がやってることが悪い意味でエキサイティングなので。たぶんみんな本当はそうやって熱いことをしたいけど、それを避けているんじゃないですかね。

 自分自身で感動できない人たちの言うことは聞かなくていいと思うんです。

8、悪く言われても落ち込まず、怒れ!

 僕は自分のことを悪く言われても落ち込むことはないですね。怒りしかないですよ。むしろその怒りをパワーに変えているのかもしれない。

 コンビニの本棚に「許しなさい」みたいなタイトルの自己啓発系の本がよくありますが、そういう気持ちが分からなくて。いや、許せないよ、って思っちゃいますね。その著者は、20年間ずっと“カルト芸人”って言われ続けたことあるのか、って言いたいです。周囲の無理解を長年経験したら、そういう本を書いた人も思想が変わってくると思うんですよ。

 つらいことや落ち込むことはもちろんたくさんありますけど、怒っていればいいんじゃないですかね。

9、孤独は悪いことじゃない

 人に相談とかする人っていうのは、本当は孤独じゃないんじゃないですか。僕は悩み相談とかも一切しなかったですよ。いや、してたか。そのときはその悩み相談したことで満足してしまいましたね。

 でも、孤独な方がいろいろ考えますよ。一人で考えるのもいい気はします。人の意見を聞いたりすると「あいつが言ったから会社を辞めたのに」とか思って、最終的にそいつのことを嫌いになったりするんですよ。だから、好きなように自分で決めればいいじゃん、孤独でもいいじゃん、って思いますけどね。

 自分に異常に自信を持てばいいんじゃないですか。

永野が目指すものは『おどるポンポコリン』

 そういえば最近、わざとブックオフで尾崎豊のCDを買ってみたんですよ。今の自分にはどういうふうに聴こえるんだろう、って思って。で、聴いてみたら、青臭くて、すごくいいんですよ。それで、あっ、俺は尾崎の言ってたことを守れた側だったな、って誇らしい気持ちになりました。俺、尾崎に恥ずかしくない生き方をしてるわ、って。感動しましたね。

 僕、将来のことなんて考えたこともなかったんですけど、最近ちょっと思うのは、『ちびまる子ちゃん』の主題歌(『おどるポンポコリン』)ってあるじゃないですか。あの歌詞の中で「でんしんばしらの かげから お笑い芸人 登場」っていうのがあるんですけど、ああいう感じの"お笑い芸人"になりたいんです。

 今どきの芸人だったら、まる子ちゃんが街で出会っても「あっ、おはようございます」って言って普通に通り過ぎていきそうじゃないですか。でも、“お笑い芸人”だったら、「うわー!」って騒がれそうでしょう。

 この前、『オールスター感謝祭』に出たとき、菅野美穂さんが僕のネタを見てめちゃくちゃハイテンションになって喜んでくれて、一緒にコラボネタもやったんですよ。そのときになんか、『おどるポンポコリン』の“お笑い芸人”になったような感じがしたんですよ。

 子供たちの前でネタをやったりするのも好きですし。人前ではひたすら明るく楽しい感じで、リアルがない人みたいになるのが理想ですね。


永野
1974年9月2日宮崎県生まれ。AB型。グレープカンパニー所属。1995年に芸能界デビュー。シュールな芸風が持ち味のピン芸人で、2014年の年末に出演した『アメトーーク!』をきっかけにブレイク。DVD『Ω』(ポニーキャニオン)、LINEスタンプ『歌う!永野の○○が好っき~スタンプ』が発売中。クレーンゲーム景品『永野のイワシ缶』『永野ボイスマスコット』も話題。
Twitter:@cawaiinecochan
ブログ:http://ameblo.jp/cawaiinecochan/

文/ラリー遠田 写真/小野さやか

Profile
ラリー遠田
作家・ライター/お笑い評論家
執筆、講演など多方面で活動。お笑いオウンドメディア『オモプラッタ』の編集長を務める。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『逆襲する山里亮太』(双葉社)、 『なぜ、とんねるずとダウンタウンは仲が悪いと言われるのか?』(コア新書)など著書多数。

Provider

日経ウーマンオンライン

2016/11/01掲載記事を転載
孤独は悪いことじゃない―芸人・永野から働き女子へ