子がひきこもり、言葉掛けの大切さ痛感 変わったのは親

子がひきこもり、言葉掛けの大切さ痛感 変わったのは親

2020/11/18

【最終回】17歳から19歳まで約2年間ひきこもった長男/親が先回りして万事決めてしまったことを悔やむ/「あなたはそれでいい」と言えるまでの長い道のり

岩下緑さん(仮名・49歳)の長男(21歳)は、17歳の夏から19歳の秋まで約2年間、ひきこもり生活を送りました。緑さんは、長男が外に出るまでの道のりを「彼本来の姿を取り戻すプロセス」だったと振り返ります。長男と向き合う中で、変化したのは、母親である緑さんのほうでした。緑さんは「私の二の舞いにならないよう、若いお母さんたちに言葉掛けの大切さを知ってもらいたい」と言います。

3人の子育てが重なって心の余裕なくす

 「長男は赤ちゃんの頃から話すのも歩くのも他の子より少しずつ遅いことに、育てにくさを感じていました」と緑さんは振り返ります。

 長男は2月生まれなので、同学年の子と比べると発育が遅めなのは当たり前のようにも思えます。しかし緑さんは、乳児健診で見る他の子どもたちや、育児書に書かれた発達の度合いと、わが子を比べずにはいられませんでした。

 「『こうあるべき』姿と違うことを、必要以上にマイナスに捉えてしまった」

 保育園でも彼は、言葉の遅さなどから友達の仲間に入れないことも。保育士からそんな話を聞くたびに、緑さんは「仲間外れにされないよう、強い子に育てなければ」という思いに駆り立てられました。

 小学校に入ってからは、長男が授業についていけるのかが不安になり「勉強しなさい」ときつく叱ってしまいます。6歳の長男を筆頭に2歳、0歳と3人の子育てが重なって心の余裕もなく「覚えているのは、家の中が常に散らかっていたことくらいです」。

 地元の野球チームに入団させたものの、そこでもワンテンポ遅い長男の行動に、緑さんのイライラが募る結果に。「本来は『マイペースなのが君のいいところだよ』と後押しすべきだったのに『そんな調子だから泣かされるのよ』と、自分のいら立ちをぶつけていました」

 現在の緑さんは、長男の子ども時代、勉強のやり方や野球チームへの入団など生活に関することを万事、親が先回りして決めてしまったことを悔やんでいます。「『あなたはどうしたいの?』と聞かなかったことが、長男の自己肯定感や、自分で決める力をそいでしまいました」

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日経DUAL

2020/11/10掲載記事を転載