「100できなくても、10でも1でもいい」 行動することで、明日が変わっていく

「100できなくても、10でも1でもいい」 行動することで、明日が変わっていく

2016/01/18

つかみ取ってきた生の言葉が胸を刺す「くららと言葉」

 落ちこんでいるときに元気がもらえたり、新しい視点が得られたり……ときには、人生が変わるほどの大きな力を持つ「本」。数多くの「人の心を動かす言葉」を生み出してきた博報堂クリエイティブプロデューサー・ひきたよしあきさんによる連載「あなたを変える、魔法の本棚」では、読むたびに自分の個性や知性が磨かれ、人生が前向きに変わっていくことを実感できる“特別な1冊”を厳選して紹介していきます。

◆今回のことば
「処女は、
 あなたの病気を治すことはできません」
――「くららと言葉」より

「くららと言葉」(知花くらら 著 講談社)

 処女は、あなたの病気を治すことはできません― 何のことだかわかりますか?

 ザンビアの道沿いに立っている立て看板に書かれている言葉だそうです。

 ザンビアでは、処女とセックスをすることでAIDSが治るという迷信が未だに信じられている。
 これによって幼い被害者がこの瞬間も増えているのです。

 この言葉を日本に持ち帰ったのはファッションモデルや国連WFP日本大使他様々な分野で活躍されている知花くららさん。

 世界中の災害、紛争、貧困地域を回り、そこで見て、聞いて、感じたことを書き記した「くららと言葉」は、本屋にずらりと並ぶ「心に残る言葉」の類いの切り貼り、コピペ本とは全く違います。

 それはまさに「つかみ取ってきた言葉」。

 スリランカの戦争未亡人、ザンビアのおばあちゃん、故郷沖縄の海人、友人、おかあさん、その他広範囲にわたる本の言葉を、くららさん自身が、鷲づかみにしてもってきた言葉なのです。だから、まだまだあったかくて、血なまぐさくもある。言葉がドクドクと生きている。つきつけられると、身をそらしてしまうようなものもあるのです。

世界全体と未来を見据えていけば、社会はきっと変わる

 ウガンダの元少兵によれば、女性兵士に求められることは2つ。男性の身の回りの世話と性のはけ口です。だからこそ「鳩のように自由であれ」という言葉が心に迫る。現実をつきつけられるのです。

 国連WFPの作文の応募した東日本大震災の被災した宮城県の男の子は、こう書いたそうです。

 「お腹が空くという意味がわかるようになった」

 けして風化させたり、頬かぶりをして目をそらしてはいけない言葉でしょう。

 仕事の他にボランティア活動や様々な分野に社会参加をする人が増えています。その多くは被災地であったり、人々が苦しんでいる場所でしょう。

 その時あなたも知花くららさんのように「哲学し、行動する花」になってほしい。現場の景色を空気を、そこで生きる人々の言葉をつかみとってきて、是非SNSなどを通じて発信してください。

 多くの人が、世界全体と未来を見据えていけば、社会はきっと変わっていきます。知花くららさんのように、「美しく、賢くて、洗練されていて、決意の固い」女性たちが、これからの日本を大きく変えていくと私は信じています。

 「そんな大変なこと、できないわ」

というあなたのために、この本の中にあるファッション・ジャーナリスト 生駒芳子さんの言葉を書いておきましょう。

「100やらなくてもいい、10でも、1でもいい。
 それは0よりずっといいから」
Profile
ひきたよしあき
博報堂クリエイティブプロデューサー。早稲田大学卒業後、博報堂に入社。クリエイティブ局で、CMプランナー、クリエイティブ・ディレクターを経て現職。明治大学で教鞭をとるかたわら、朝日小学生新聞にコラムを連載。年間約1000本のコラムをfacebookに投稿し、幅広い世代から圧倒的な支持を得ている。著書に、「あなたは言葉でできている」(実業之日本社)「ゆっくり前へ言葉の玩具箱」(京都書房)。facebook:www.facebook.com/yohikita

写真/TAKUMI-CG(PIXTA)

Provider

日経ウーマンオンライン

2016/01/18掲載記事を転載
「100できなくても、10でも1でもいい」 行動することで、明日が変わっていく