敵を作らず味方を作る 会議での発言テクニック

敵を作らず味方を作る 会議での発言テクニック

2017/12/26

何気ないちょっとした発言で敵を作り、損をしていませんか?

 あなたは会議の時に、自分の意見をうまく伝えることができますか? 緊張のあまりうっかり失言してしまったり、逆に遠慮しすぎて何も言えなかったりしていませんか? 今回は、そんな会議での「いい人」から抜け出す方法をお伝えします。

無自覚な発言は、自分の立場を悪くする?!

 つい先日のこと。とある会合で、Fさん(30代女性・総合職)の発言に驚いてしまいました。

 Fさんの発言は、その会の主催者に対する批判と反発ばかり。その場の全員から注目されたことがうれしくてたまらないのか、得意げに、立て板に水を流すごとく失礼なことを話していました。(きっと舞い上がっちゃったんでしょうねぇ……。)

 失言の連発にもかかわらず、当の本人は「自己アピール」のつもりだったのでしょうか。「私の努力を認めてほしい」「私のことを応援してほしい」という本音が垣間見えました。

 しかし彼女がアピールするほど、聞き手の気持ちは引いていく。その場は、皆ドン引きしていたように見えました。

 Fさんの心は、味方を増やそうと願っているものの、逆に彼女の発言は敵をつくり、彼女自身を窮地に陥れていくわけです。わずか数十秒の発言のせいで、彼女は主催者から「危険人物」としてマークされてしまったのでした。

 心と発言が裏腹。恐らくこれはFさんの癖であり、本人はそうと自覚のないまま、こういう問題発言を頻繁に繰り返しているのでしょう。

 ビジネスの場において、破壊的な発言をする人は危険人物です。責任のある仕事や役割を任せようなんて、誰も思いません。怖くて部下もつけられないし、顧客先にも出せない。

 「何を発言していいか悪いか、判断できない人」というレッテルを貼られて、永遠に地味な仕事に縛り付けられてしまいます。

 Fさんをはじめ、発言の下手さが原因で、チャンスを潰してしまう人は案外と多いようです。あなたの周りにもいませんか?


口は災いのもと 会議での発言は要注意

 あなたは、こんなふうに後悔したことありませんか? 「あぁ、どうしてあの時、あんなことを言ってしまったのだろうか?」と。

 誰にでも、口が滑るという経験があるでしょう。なぜか、心にもないことを、ついその場の雰囲気にのまれて言ってしまうのです。日常会話ならまだしも、ビジネスの公的場面である会議でこれをやってしまうと、取り返しのつかない失態になり得ます。

 特に、出世意欲が強くプライドが高い男性ほど、会議での発言には敏感に反応するものです。

 もしも、そんな彼の意見に会議の席上で批判するような人がいれば、「よくも、このオレ様に恥をかかせたな~!」と根に持つかもしれません。数十年も前の会議の場での対立が原因となって、社内で派閥ができることすらあるんです。会議での失言が原因で、永遠に昇進機会を失った、なんて悲劇も聞いたことがあります。

 ですから、会議での発言は要注意です。絶対にあからさまな反論や批判をして、敵をつくるような発言をしてはいけません。

配慮が足りず、他者を攻撃してしまうこともある

 人は誰でも、油断するとついつい「言いたいこと」「その場で思いついたこと」を、何も考えずにしゃべってしまいがち。本人にそのつもりがなくても、知らず知らずのうちに自分の言葉の稚拙さが、誰かの気持ちを傷つけ、逆なでしてしまうこともあるのです。

 例えば、次のような発言はどうでしょうか?

「~~のシステムはとても使いづらくて……」
「~~部門が~~をしてくれないから……」
「~~さんの指示が間違っていたから……」

 何気なくこういう表現をしがちな人は、気を付けましょう。自分にとっては率直な意見、その時の気持ちを正直に口に出しただけで、悪意はないかもしれません。

 しかし、いずれも他者批判です。言われた人は、気分がいいわけがありません。発言に悪意はないとしても、少なくとも配慮に欠いた発言であり、他者に対して失礼であることは明白ですよね。

 これが、後々のトラブルや後悔の元凶なのです。

黙っていれば安心? トンデモナイ!

 会議で下手なことを言って失敗するくらいなら、「いっそ黙っていたほうがいい」と考える人もいますね。しかし、これもダメ。そもそも、会議に参加を求められたということは、発言を許可されているし、いい提案を期待されている証拠なのです。

 そんな時は、周囲の期待に応えられるような意味のある発言をしましょう。

 「あなたは、どう思いますか?」とせっかく発言機会を与えられたのに、「いえ、大丈夫です」「特にありません」と、何も言わないのは失礼です。これは、会議の参加者としての役割と責任を放棄していることになります。

 発言を求められなければ黙っていてもいい、というわけではありません。何も発言しないのは、

「私には発言するような意見もアイデアもありません!」
「私は、日ごろから何にも考えていないんです!」
「どうぞ私には一切期待しないでください!」

といった具合に、わざわざマイナスのアピールをしているのと同じこと。

 黙っていても許されるだろうと思う甘い心が、いつまでも「いい人」「都合のいい人」から抜けられない状況をつくっているのです。会議に呼ばれたら、きちんと一人前の発言をして、あなたの有能さを示してください。

 そのためのコツを一つ、ご紹介いたしましょう。

「言いたいこと」を「言うべきこと」に変換せよ

 会議での失言や失態を招かないための対策として、事前に「発言メモ」をつくることをおすすめしています。「言いたいこと」を口に出すと、必要以上に自分の感情が乗りがちです。この感情こそ、会議という場では全くの無用の長物です。

 そもそも、「私の気持ちを分かってほしい」というのは、とても幼稚で未熟な心のあらわれ。ビジネスの会議に、個人的な感情論を持ち込むのは、公私混同であり迷惑行為なのです。

 会議で求められる発言とは、第一に事実。データや実績、情報を正確に伝えることが重要です。これに個人的な解釈や好き嫌いの感情を乗せてしまっては、その場にいる全員の判断を誤らせるので、危険で迷惑な行為です。

 第二に求められるのは、よい結果を出すために「誰が何をするか」「 何を変更するか」「どのような方法を取るか」などといった対策や提案など、事前に練られた意見。

 この2点が「言うべきこと」です。

 会議の前日には、事実やデータ、それに対する対策や提案など「言うべきこと」を、簡潔にまとめて「発言メモ」を作っておきましょう。自分の発言のタイミングがきたら、そのメモに沿って説明すればよいのです。この「発言メモ」という準備をしておくだけで、余計なことを口走ったり、重要なことを言いそびれたり、というトラブルをかなり防止できます。

 さらに、メモに沿って簡潔明瞭に説明すれば、あなたは周囲の人から「聡明だ!」「できる人だ!」という好印象を勝ち取ることもできるのです。

さらにもう一手で、味方を獲得せよ

 会議に出て発言するなら、もう一つミッションがあります。

 それが、あなたの味方づくり。

 他の参加者の発言を注意深く聞いていきましょう。素晴らしい提案、あなたにとっても好都合な発言、「さすが!」と感じた話をする人がいたら、すかさずリアクションするのです。間髪を入れず、「それ、いいですね!」と言ってみたり、「うんうん」と大きくうなずいて賛同の意思表示をしてみたり。どちらも、1秒でできますよね?

 特にし~んとした会議では、このリアクションが大きな威力を発揮します。

 誰だって会議で発言したら、「他の人たちから、どう思われるか?」が気になりますよね? そんな不安なタイミングに、あなたが「いいですね!」「それ、賛成です!」と言ったら、発言者はものすごく勇気づけられ、うれしくなるものです。その瞬間、あなたに感謝の気持ちが沸くでしょう。

 たったこれだけで、あなたは味方を獲得し、味方を増やすことができるのです。会議に出るたびに、一人ターゲットを決めて、味方にしてみましょう。これを繰り返していくと、社内に味方が増えていくと思いませんか?

 味方となる人が、あなたより役職の高い人や、長い経験のある人なら好都合。そういう人が何かのきっかけで、あなたに声を掛けてくれてチャンスをもたらすこともあるのですから。

 さて、次回までに取り組んでいただきたいミッションは、会議に参加する前に「発言メモ」をつくることと、会議の場で一人味方を作ること、の二つ。

 いずれも、デキる人への着実な一歩となるでしょう。ぜひ、実践してみてくださいね!

文・キャサリン門田 イラスト/六角橋ミカ 写真/PIXTA

Profile
キャサリン門田
キャリア・イノベーション協会代表理事、経営コンサルタント、キャリアカウンセラー。本業である経営コンサルタント業務のかたわら、多くの人のお悩み相談に乗っている。心理学、経営戦略理論を駆使したアドバイスは、キャリア、お金、人間関係、恋愛・結婚・離婚、天職など幅広い分野をカバーする。今秋から魂が輝く生き方を指南する「薔薇色仕事塾」「天命IDEA塾」を主宰。セミナーや個人セッション、好評受付中。

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日経ウーマンオンライン

2017/12/26掲載記事を転載
敵を作らず味方を作る 会議での発言テクニック