どんなに頑張っても報われないのは「ズレているから」

どんなに頑張っても報われないのは「ズレているから」

2017/10/31

残念ながら「頑張る方向」を間違えると、その頑張りは報われません

 キャリアカウンセラーをしている私のもとには、毎週のように仕事や人間関係に疲れた人が相談にやってきます。その中でもいちばん件数が多く、なおかつ切実な相談は、何だと思いますか?

私はこんなに頑張っているのに、なぜ報われないの?

 キャリアカウンセラーをしている私のもとには、毎週のように仕事や人間関係に疲れた人が相談にやってきます。その中でもいちばん件数が多く、なおかつ切実な相談は、何だと思いますか?

 実は、「私はこんなに頑張っているのに、報われていない!」という訴えなんです。

 誰でも、自分が100の努力をしたら、その努力に見合った100のリターン(回収)があると期待しますよね。それが、100の努力をしたにもかかわらず、戻ってきたのが30や50だったら、残念な気持ちになります。リターンがゼロなら、もうガッカリ。意気消沈です。

 結果がマイナス100だったらどうでしょう? もう「いったい自分は何をやっていたのか?」と自己嫌悪に陥るしかありません。中には、「神様は私を見捨てたの?」「上司も同僚も部下も、皆おかしい!」と、すべてを疑いだす人も……。

 そういう気持ち、分かります、私も経験者ですもの。

 当時の私は「会社の制度がおかしい!」「こんな無能なヤツを管理職にした会社が悪い!」と文句を言いまくり、深夜まで延々とお酒を飲み、誰かれなく怒りをぶつけていたものです。まるで不機嫌と憤怒の塊が歩いているような、それはそれは悲惨な姿でした(あぁ恥ずかしい)。

 でも、神様を呪っても、会社の制度や周囲の人を恨んでも、現実は1ミリも変わりません。

 むしろ、不機嫌オーラ全開、怒りエネルギーさく裂の状態でいたら、チャンスの女神もイケメンも大慌てで逃げていくでしょう。自分が発する波動が悪くなるほど、事態はますます悪化していくものです。このあたりは、第3回「不機嫌はチャンスを逃がす デキる人のメンタル管理術」をもう一度ご確認くださいね。

 「私はこんなに頑張っているのに、なんで報われないの?」

 もしも、あなたが少しでもこういう思いを抱えているなら、ここは冷静に分析してみましょう。

ステップ1 俯瞰(ふかん)してみる

 さて、こういった悩みを持つ人が相談に来た場合は、まず初めにその人の置かれている状況をヒアリングします。担当業務、仕事の状況、期待されていること、上司や同僚など職場の人間関係など。

 それではまず、すべて図や言葉にして書き出すことから始めてみましょう。

 なぜ、自分の置かれている状況を図にするのか?

 それは、「自分自身」や「自分の気持ち」にフォーカスを当てていると、視野が狭まってしまい、意外と現実の世界がきちんと見えていないことがあるから。

 視野が狭い状態で自分の悩みにフォーカスを当ててしまうと、ますますドツボにはまり、底なし沼を深く潜っていきがち。すると、ますます状況は悪くなり、行き着く先は心理的パニックやヒステリックな破壊願望。「もうこんな会社イヤ! 辞めてやる!」「こんな仕事、絶対にムリ~!」……。

 そんなことしたら、絶対にあとで後悔しますよね?

 だから、そうなる前に、冷静に客観的に、自分の置かれている状況を図にして見渡してみるのです。

ステップ2 書き出してみる

 次いで、自分が「何にどれだけ頑張っているのか?」を詳しく書き出します。「頑張っている」という言葉で表している内容を具体的に説明していくわけです。

<Aさんのケース>

 「私は毎晩、遅くまで残業しているんです。帰宅するのは最終電車のことも多くて、先月の残業時間は70時間、先々月は80時間でした。プライベートの時間なんてありません。家に帰るとくたくたで何もできないのに、ましてや、将来のためのスキルアップなんてムリに決まっていますよね?」

 Aさんの頑張りは、深夜に及ぶほどの残業時間の多さ。プライベート時間を圧迫するほど、会社のために自己犠牲を払って貢献していると訴えています。

<Bさんのケース>

 「私は、ずいぶん前からかなり自己投資してきました。週末はワークショップやセミナーに参加し、平日アフター5は英会話スクールに通っています。それも全部、同期の中でも一番に昇格したいからなんです。それなのに、ウチの上司は全然分かってくれなくて……」

 Bさんの頑張りは、勤務時間以外での自己投資。社外活動や習い事に多大な時間とお金を費やしているようです。その活発さや成長意欲、社交性を上司に認めてもらいたいのでしょう。

<Cさんのケース>

 「私は自分に与えられた仕事は、自分でキッチリやる主義なんです。他の人に丸投げして飲みに行っちゃう人もいますけど、そんな無責任なこと、どうしてできるのか訳が分かりません。 ありえないでしょ?」

 Cさんの頑張りは、責任感。他の人を頼らず、自分一人で担当する。すべて完璧に仕上げることに誇りを持っているようです。

 ここまで書き出すのは、たぶん数分でできるでしょう。

 「思い」とか「悩み」「イライラ」の正体を書き出すことは、そこから新しい視点や解決の糸口を見いだすのに役立ちます。

ステップ3 第三者目線で眺めてみる

 では、ここまで書き出した紙を、眺めてみましょう。

 ただし、「自分の視点」をいったん横に置いて、「自分ではない他の誰か」の目で眺めてみることが重要です。

 例えば、今回の例に挙げた3人を、上司である「いつも席にいない部長」なら、どのように見るでしょうか?

 「Aさんは、いつも夜遅くまで残業しているねぇ。でも、彼女だけが特別にたくさんの仕事を抱えているわけではないのに、どうしてだろう? もしかすると、何か余計なことにまで手を出しているのか、要領や段取りが悪いんだろうか……?」

 「Bさんは、今日も定時のチャイムと同時に飛び出していったねぇ。きっと会社の外の活動が楽しくてたまらないのだろう。そろそろ会社の仕事にも本気を見せてくれたらうれしいんだけど……。彼女は、今の仕事がイヤで、転職の準備でもしているんだろうか?」

 「Cさんは、いつも眉間にしわを寄せて頑張っているねぇ。なんだか怖くてランチにも誘えないよ。部下が3人もいるんだから、自分一人で仕事を抱え込まずに、彼らにもっと仕事を任せればいいのにねぇ……」。

 あぁ、なんということでしょう!?

 Aさんの「プライベートを犠牲にした長時間残業」というがんばり頑張りは、「要領が悪い」というマイナス評価に、Bさんの「社外でのスキルアップ活動」という自己投資は、「仕事への本気度が見えない」というネガティブ評価に、Cさんの「自分一人で完璧にこなす」という努力は、「仕事を抱え込んで、部下をうまく使えない」というリーダーシップ面での能力不足を疑われる結果になってしまいました。

 これが、頑張り所が「ズレている」という悲しい症状なんです。

「間違った頑張り」ではなく「正しい努力」を

 「私はこんなに頑張っているんです!」と言う3人。ところがこの3人の期待は、まったく裏目に出てしまっているのです。

 3人が頑張っているのは、自分勝手に設定した目標にまい進すること。残念ながら、会社も上司も、そんなことは期待していないのです。会社の期待と、自分自身の努力がかみ合っていなければ、努力が報われないどころか、逆効果になってしまうでしょう。これが「間違った頑張り」です。

 どのような職場にも本質的な目標があり、どのような仕事にも職場や上司が期待するポイントがあります。そのポイントをしっかりと把握して、その期待に応えることこそ、「正しい努力」です。

 そのためには、職場の目標や上司から期待されていることを、しっかりと把握してみましょう。自分で勝手に推測して決めつけるより、上司や職場の先輩にストレートに聞いてみるのが一番です。

 ぜひ次回までに、改めて「自分に期待されていること」を確認してみてくださいね。

文/キャサリン門田 イラスト/六角橋ミカ PIXTA

Profile
キャサリン門田
キャリア・イノベーション協会代表理事、経営コンサルタント、キャリアカウンセラー。本業である経営コンサルタント業務のかたわら、多くの人のお悩み相談に乗っている。心理学、経営戦略理論を駆使したアドバイスは、キャリア、お金、人間関係、恋愛・結婚・離婚、天職など幅広い分野をカバーする。今秋から魂が輝く生き方を指南する「薔薇色仕事塾」「天命IDEA塾」を主宰。

Provider

日経ウーマンオンライン

2017/10/31掲載記事を転載
どんなに頑張っても報われないのは「ズレているから」