野村総合研究所「会社の逆を行く」若手集うArumon

野村総合研究所「会社の逆を行く」若手集うArumon

2021/09/08

世の中を良くするという夢をかなえるために「この指止まれ!」方式でプロジェクトを進める

企業内・業界内で活動するさまざまな若手の「チーム」に注目し、取材する連載。第1回で取り上げるのは、野村総合研究所(以後、NRI)の有志団体「Arumon」。メンバーの入江眞さん(30歳)、前原良美さん(27歳)、内山敦史さん(26歳)に活動の内容と魅力を聞いた。

左から、内山さん、入江さん、前原さん。Arumonが活動する拠点の1つ、丸の内WeWork内にて

一人ひとりの夢をかなえる場に

 NRIでは、2013年ごろ、日常の業務だけでは飽き足らないという「とがった若手社員」が数人集まり、休日を使ってコーディングや物づくりをしながら社内外で行われる「ハッカソン」(新しい技術やサービスを競い合って生み出すイベント)に数多く参加していた。従来にはなかった新しい発想や技術を生み出そうとする機運が高まり、ハッカソンがバズワード(流行語)になっていた時期だという。そうした社員たちの動きが始まってから2年ほどたった頃「生きのいい社員がいるじゃないか」と目を付けた役員がいる。

 2015年、その役員が「この社員たちで自由に活動させる特区的なチームをつくったら面白そうだ」と考え、人材育成の観点も兼ねて、若手社員たちが有無を言う間もなく、いきなり「(会社から)予算を取ってきたから」とある団体を結成した。それがNRIの有志団体「Arumon」だ。結成時のメンバーは15人程度だった。

 「社内には縦のつながりしかなく、この先、納得感を持って仕事をしていけるのか疑問を抱いていた」と語る初期メンバーの入江眞さんは、日常業務のモヤモヤを発散させるかのように土日のハッカソンに参加していた。そんな中での団体結成。仕事をする上で、横や斜めのつながりが大事だと思い、新結成の団体に意義を見いだそうと積極的に活動してきたが、当初は団体の方向性を決めるのが大変だったと振り返る。

「自分のやりたいことを実現できたり、モヤモヤしているものをぶつけられたりできる場を作りたいなという思いがあって、今に至る感じですね」(入江さん)

 「当初、Arumonは、とがっている社員が自己欲求を実現するために集う場だったので、皆で団結して何かをやろうという気持ちがあまりなく……。最初の1年間くらいは、どういうビジョンを掲げようか議論する中で、メンバーと何度も意見が衝突しました。次第に、皆と一つにまとまるのは無理だということに気づき、一人ひとりがやりたいことを自由にやれる場所にしようという結論に落ち着きました」

 そして「一人ひとりの夢をかなえるプラットフォーム」として本格的に活動が始まった。現在は、東京・丸の内と横浜・みなとみらいの2拠点で活動している。ちなみに、Arumonの由来がユニークで面白い。同団体のロゴにあるハリネズミのトゲは、トゲトゲしたメンバーのことを表している。

 「団体名はNomura(という読み方)の文字を逆に並べたものなんです。『野村(NRI)の逆を行く。壁を壊して、大企業ができないことにチャレンジしていこう』という思いが詰まって、Arumonという団体名になっているんですよね」

 団体が結成されてから2~3年は「技術力を持つ人でないと入れない団体」と周りから警戒されていたという。社内の人から「秘密結社だ」と噂されながら、約15人のメンバーで黙々と活動していた。徐々に発信する場を増やし、メディアにも露出するようになってからは知名度が上がり、今では約80人ものメンバーが所属し、社内外に影響力を持つ団体にまで成長した。「Arumonで活動したいから」という理由でNRIに入社してくる社員もいるほどだ。

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日経xwoman

2021/08/30掲載記事を転載