美容や健康の大敵とされてきた砂糖ですが、天然の保湿剤として驚くほどの効果があることをご存じですか? 医療現場では床ずれの治療薬に砂糖が配合されるなど、そのパワーは実証済み。ぜひスキンケアに取り入れてみましょう。
【砂糖洗顔によるスキンケア】
・乾燥ガサガサにさようなら しっとり砂糖洗顔の効果 ←今回はココ
・砂糖でスクラブ・泡洗顔 肌の保水力を高める時短ケア
乾燥はお肌の大敵。炎症の原因ともなり、肌の老化を進める。保湿はスキンケアの基本だ。
普段のお手入れに「ひとつまみプラスするだけ」で保湿効果がしっかり得られるのが砂糖だ。
砂糖が主成分のスキンケアコスメを1日1回以上、入浴時に使用したときの左ひざの水分量の変化(下図)を見ても分かるとおり、使用前に比べて、開始1週間後、4週間後と水分量がアップしている。
31〜61歳の女性23人に、砂糖が主成分のスキンケアコスメを1日1回以上、入浴時に使用したときの左ひざの水分量の変化。(アビサル・ジャパンによる試験結果)
「砂糖は天然の保湿剤」というのは、アビサル・ジャパン社長の幟立真理さん。「冬場の乾燥対策に、バスタブに砂糖を入れると知人に聞き、試してみたら驚くほど肌がしっとり柔らかくなった」と話し、これが、製造販売している砂糖コスメの開発のきっかけになったという。
砂糖を使ったスキンケアの効果を研究している奈良学園大学・奈良学園大学大学院 非常勤講師の山口求さんは、砂糖の効果として、「高い保水力による保湿効果のほか、傷を治す治癒効果や殺菌効果、不要な角質をはがす洗浄効果もあります」という。
砂糖の効果
【保湿効果】肌の水分量アップ
砂糖は水と結びつく力が強く、保水力が高い。だから水に溶けやすく、100ml(20℃)の水に約200gも溶ける。砂糖を肌に塗ると、角層に浸透した砂糖が水分を保ってくれる。
【洗浄効果】不要な角質をはがす
ターンオーバー(肌の生まれ変わり)が乱れると、古い角質がはがれ落ちずにとどまるので、ザラつき、ゴワつきのもとに。砂糖で洗顔をすると、角層に水分が呼び込まれて不要な角質が自然とはがれ落ち、ターンオーバーを正常に整えてくれる。
【傷を治す効果】コラーゲン産生を促す
医療の現場で床ずれのケアに使われるイソジンシュガーという薬の成分は70%が白糖(白砂糖)。肌に塗ると浸透圧でむくみを軽減し、「線維芽細胞」という、コラーゲンやヒアルロン酸などの成分を作り出す細胞を活性化して、傷の治りを促す効果があるとされている。
※肌が弱い人は、実施前にパッチテストを行ってください。砂糖水を腕の内側につけてばんそうこうで覆って24時間おき、赤みやかぶれなどの異常が起きないか確認してください。
実際、下の写真のようにニキビの改善に効果が認められているほか、「傷の治癒効果もあるので、アトピー性皮膚炎の改善も期待できます」(山口さん)。
オイルコーティングした砂糖を顔にのせてマッサージするスキンケアを1カ月行ったところ、実施前(左)と比較してニキビ跡や色素沈着の跡も薄くなった。ニキビの原因菌とされるアクネ菌が砂糖スキンケア後は検出されなかったことから、殺菌効果も示唆された。(写真提供:山口さん)
砂糖でできる手軽なスキンケアを幟立さんに聞いた。顔だけでなく、全身に使える。
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日経ARIA
2020/10/08掲載記事を転載