Chance&Challenge それぞれのストーリー

世代も、住んでいる場所も、ライフステージも、仕事環境も、キャリアも、現代の働く女性は百人百様。 ただ、すべての人に言えるのは、「今を変えたい」と思ったときこそ
行動のベストタイミングということ。

可能性はさまざまな形で広がっているのだから。

ここでは、すでにチャンスをつかみ、チャレンジしている女性を紹介。
自分らしい働き方を考えるヒントにしよう。

ほしい環境は自分で手に入れる。そう決断し新天地で再スタートを切る

株式会社日立ハイテクノロジーズ CSR本部 法務部 部長代理 濱屋 笑子さん(46歳)

株式会社日立ハイテクノロジーズ CSR本部 法務部 部長代理
濱屋 笑子さん(46歳)

最先端技術を駆使して設計・製造を行う「メーカー」と、最新のソリューションを提供する「商社」という
2つの顔をあわせ持つ日立ハイテクノロジーズ。

濱屋笑子さんは同企業の法務部で、マネージャーとして再始動を果たした。

23年間勤務した前職からの転職理由や仕事のやりがいなどについて聞いた。

ワーク・ライフ・バランスの崩壊が転職のきっかけに

濱屋 笑子さん
株式会社日立ハイテクノロジーズ
CSR本部 法務部 部長代理
濱屋 笑子さん(46歳)

 仕事だけに偏らず、生活との調和を図ることで、その双方が充実するという好循環が生まれる──。いわゆる「ワーク・ライフ・バランス」の重要性は以前より説かれていたが、近年「働き方改革」の機運が高まる中、今また注目を集めている。

 大学の法学部を卒業後、オフィス機器を開発・生産・販売している企業の法務部に勤務していた濱屋笑子さんが転職を考え始めたきっかけは、この「ワーク・ライフ・バランス」が崩壊したことにあった。

 「勤めていた会社は時代とともにビジネスモデル的に行き詰まり、リストラクチュアリングや工場閉鎖などの対応に追われていました。そんなときこそ法務スタッフの力の見せどころではあるのですが、仕事量が激増し、共働きで子どももいるという中で、ワークとライフのうちのライフが完全に犠牲になる時期が長く続きました」

 残業が多く、家には寝に帰るだけという日々。それでも終わらない仕事を家に持ち帰り、休日にこなすという状態だった。ただ、子どもが中学3年生で、高校受験シーズンに突入というときにある考えが浮かんだ。

 「子どもが将来を考える大事な時期に、自分が仕事にだけ時間を使って子どもを放置していいわけがないと。もう少しライフを大事にしながら働ける他の会社を探したいと思いました」

 さっそく、転職エージェントに登録し、声がかかったのが日立ハイテクノロジーズだった。同社は2001年にエレクトロニクス専門商社である日製産業と日立製作所の計測器・半導体製造グループが合併して誕生した企業。電子顕微鏡をはじめとする「科学・医用システム」や半導体製造装置の「電子デバイスシステム」を生み出すメーカーの機能と、社会インフラなどの「産業システム」や工業材料などの「先端産業部材」を扱う商社の機能を持ち、グローバルに事業を展開しているBtoB(企業間取り引き)の企業だ。

 

責任ある企業運営を担保するコーポレート法務を担当

 濱屋さんが日立ハイテクノロジーズの法務部への転職を決めたのは、「ここならワークとライフを両立できるのではないか」と感じたから。

 法務部の仕事というと契約書の作成やチェック、法的トラブルの対応といったことを思い浮かべる人が多いだろうが、同社が募集していたのはコーポレート法務という分野の担い手。株主総会や経営会議事務局の仕事をはじめ、会社全体に適用される社内規則の管理など、会社のガバナンスの仕組みをきちんとつくり、管理統括していくことが主な業務となる。

「前職で法務部の仕事は一通り経験していましたから、コーポレート法務であれば難しさはあるけれど自分である程度時間の使い方をコントロールできるだろうと思い、ここならと手を挙げました」

2018年6月にマネージャーとして入社し、法務部内の3つのグループのうちのひとつを任され、2人の部下のマネージメントも行なっている。まだ入社から1年にも満たないため、会社の歴史などを把握できていないことが多少ハンデになってはいるが、一方で仕事の面白さも感じている。

「まず、メーカーであり商社であるという独特の構造はもちろん、親会社の日立製作所とともに東証一部に上場していたり、取締役会の中に会社経営の監督役として、社外取締役が過半数を占める3つの委員会を置く“指名委員会等設置会社”という厳しい規律の機関設計を採用していたりと、事業体としてユニークなところが興味深いですね。そうした中でコーポレート法務が担うのは、自社のあるべき姿を経営陣と議論したり、コーポレートガバナンスの改善や改革を能動的に仕掛けていくといった役割。正解のない答えを探しながら、会社をよりよい方向に進めていくための企画や提案を考えることにやりがいを感じています」

働きやすい社内環境でワークもライフも充実

 また、前職ではなかった嬉しい驚きもあった。それは、「経営陣ととても距離が近い」ということ。

 「入社初日に社長から、“すぐに日立ハイテクの社員にならず、フレッシュな目線で遠慮せずに何でも提案してほしい”と言われ、その後も廊下で会うと気軽に声をかけてもらえることに驚きました。他の経営層の方々も気さくに話しかけてくれますし、フレンドリーな社風で仕事をしやすい環境です」

人財を重要な資源と考える同社では、ダイバーシティ・マネジメントとして女性活躍推進や働き方改革にも注力。キャリア開発支援や育成コーチング、社内外エグゼクティブとの対話会や異業種ネットワーキングなど若手女性社員から管理職に至るまで、きめ細かな取り組みを実施。テレワークや時間単位年休、育児・仕事両立支援金など柔軟な働き方を実現するための制度も整備している。

多様な人財の活用という点からもここ数年、積極的に経験者採用を行なっている日立ハイテクノロジーズ。好調な業績の背景には、濱屋さんが実感した「社員を大切にする企業風土」や「外部からの血を入れ、変化に挑戦する姿勢」があるに違いない
多様な人財の活用という点からもここ数年、積極的に経験者採用を行なっている日立ハイテクノロジーズ。好調な業績の背景には、濱屋さんが実感した「社員を大切にする企業風土」や「外部からの血を入れ、変化に挑戦する姿勢」があるに違いない

「法務部のメンバーがよく活用しているのが在宅勤務です。複雑な規則を見直すような仕事を自宅で集中して行えるので、大変作業がはかどります。私の部下は育児短時間勤務制度を利用しながら、必要に応じて1時間単位で休みが取れる時間単位年休を使い、仕事をしながら4歳の双子の子育てをしています」

 新しい職場での滑り出しは上々という濱屋さん。転職の目的だったライフの充実は実現したのだろうか。

「今は定時に帰れる日も多く、子どもと一緒に夕食を食べられる日が増えました。彼が高校生になった今、人生の先輩として気軽な話し相手や精神的な支えになることが大事な時期ですので、必要なときにそばにいられるようになったことが嬉しいです」

法務部で仕事をしていると理屈で考えることが多くなるため、休日は美術館や博物館で美しいデザインなどを見て、脳の違う部分を刺激することを趣味にしているという濱屋さん。そうした有意義な時間も持てるようになった。

「ほしい環境は誰かにつくってもらうのではなく、自分で手に入れるもの。そう思って転職して正解でした。今後は、国内外のグループ会社も含めて、自分の知識や経験が活かせるようなチャレンジをしていきたいと考えています」