自然豊かな「ものづくり」のまち府中市で自分らしく働く

Vol.8 地域おこし協力隊を経て府中で働き続けることを選びました

広島県の東南部に位置し、三方を山々に囲まれた府中市。
古くから機械・家具・金属などの製造業を中心に「ものづくり」のまちとして発展し、全国規模の企業が数多く立地している。
また、府中市では子育てを全面的にサポートし、「保育園の待機児童はゼロ」。
女性が就業しやすく、多様な働き方ができる地域でもある。
そんな府中市で、今まさに活躍している女性をクローズアップ。
今回は、千葉県船橋市から「地域おこし協力隊」として府中市に移住し、任期を終えてからもこの地で生活していくことを選択した守屋綾子さんに、その経緯や理由などを聞いた。

生き方を見直し、地域おこし協力隊を選択

横山建設工業株式会社
守屋 綾子さん(33歳)
Ayako Moriya

 新しいことにチャレンジするなら、20代のうちに始めたい──。
 30歳を目の前にした時、そんな思いが生まれた。大学で建築を学び、総合職として東京の住宅メーカーに就職。建築士の資格を持ち、設計から現場監督、構造計算、CAD製図など幅広い仕事をこなし、職場環境も社内の人間関係も良好だったのだが……。

 「日本の少子化が進み、今後人口が減少するなかで、このまま都心にどんどん家を建てていったらどうなるのだろう、自分の将来もどうなるのかと気になり始めたのです。そろそろ自分の生き方を見直すタイミングかなと。いつか移住したいと考えていたので、挑戦するなら30歳前の今がチャンスと思い、いろいろ調べている時に府中市が地域おこし協力隊を募集していることを知りました」
 ご両親が岡山県出身で、「移住するならゆかりのある中国地方に」と望んでいた守屋さんは、さっそく府中市に足を運んだ。

 「その時に、地域を活性化する取り組みを自発的に行っている方々と出会い、初対面なのにいろいろ話をしてくれただけでなく、“今度来る時はうちに泊まりなよ”と言ってもらえて。嬉しかったですね。その後、実際に何度か泊めてもらいました。こういう人たちがいる場所なら移住しても不安なくやっていけると思い、応募することに決めました」
 地域おこし協力隊の活動としては、主に移住や空き家の再生に関する取り組みを実施。東京や大阪で開催される「移住フェア」に参加し、移住希望者の相談に乗ったりと様々な活動を行った。
 「移住フェアには“どこに移住したらいいか決め手がない”など悩みを抱えている人も多く訪れます。ですから、自分の経験や感じたことも話しながら、移住したいと思ったきっかけなどを聞いたりと丁寧なヒアリングを心がけて、一度府中市に来てみてくださいねと伝えていました。実際にフェア後府中まで尋ねて来てくださり、そこでより深い話をしたという⽅も何組もいらっしゃいました。フェア後に現地を訪れた人の数が、広島県内では府中市が一番多かったと聞いた時は、嬉しかったですね」

信頼できる仲間との出会いで府中市定住を決意

横山社長を補佐し、組織的な生産体制づくりに携わる守屋さん。ITの導入も検討している

 一方、空き家問題に関する活動をさらに推進するために、不動産、司法書士、建築士、ファイナンシャルプランナー、大工など地元の様々な専門家と守屋さんら地域おこし協力隊が結束し、NPO法人『アルバトロス』も設立した。
 「このNPO活動を通じて自分の変化を感じています。元々人との衝突を避けるあまり本音を言えなかったり、知らず知らずのうちに人との間に壁を作ってしまうこともありました。しかし、そのままの自分ではどこにいても何をしても同じ。NPO活動をするなかでそのことに気づかせてくれ、本気で意⾒を言い合えるようになったのはアルバトロスの仲間のおかげだと思っています」
 信頼できる仲間を得られた府中に、ずっと住み続けたいと思うようになった守屋さん。3年間という地域おこし協力隊の任期終了後も、府中で暮らすことを決めた。
 仕事については、「自分は起業するよりサポート役の方が向いている」と判断し、周囲にも相談した結果、府中市内にある横山建設工業の社員になるという道を選んだ。

 横山建設工業は1968年の創業以来、道路や河川といった公共工事から宅地・駐車場などの造成工事や外構工事までを手がけている地域に密着した建設会社だ。
 「横山社長は『アルバトロス』の副理事長ですので、その縁もありましたし、建設会社なら私の住宅メーカーでの経験も生かせると思い、今年7月に入社しました」
 現在担当している業務は、昔の職人気質を優先する生産体制から組織としての生産体制へと転換するための仕組みづくり。将来的に従業員を増やすことを見据え、未経験者にも仕事を分かりやすく教えられるような業務マニュアルづくりや、全従業員がすべての受注案件とその進捗状況を把握し、共有できるようなシステムづくりに携わっている。
 「今は、現場で作業している社員に作業工程や作業内容などを聞き、その流れを書き出すという作業をしています。また、建設事業者向けの新しいクラウドシステムを導入したりと、試行錯誤しながらも業務のシステム化を進めることが楽しく、やりがいを感じています」

地域のつながりでプライベートも充実

公共工事や個人宅の造成工事などを手がける横山建設工業。長年地域に根ざし、丁寧な仕事で信頼を得ている少数精鋭の会社だ

 地域おこし協力隊や『アルバトロス』の活動を経て、府中に根をおろすことを決めた守屋さん。
 定住の決め手となったのは、「人」だ。
 「本音が言えるような仲間ができたことはもちろん、地域の人たちとのつながりも大きいですね。もともと近所づきあいがあまりないところに育ったので、地元のお祭りなどに憧れがありました。たまたま私が移り住んだところは地域のつながりが強いところだったので、お祭りでは笛を吹くお手伝いをさせてもらったりと、何かあるたびに声をかけてくれました。それだけでなく、“今、飲んでるんだけど来る?”とか“最近、顔を見てないけどどうしてる?”とか近所の人が連絡をくれることも。あたたかく見守ってくれる人がいる、それが府中の一番の魅力ですね」

 また、府中は昔から「ものづくり」の町で、共働き率も高い。女性が働くということが当たり前の文化が築かれているので、スーパーマーケットが遅くまで営業していたりと「働く人」にとってやさしい町なのだという。
 「小さい頃から山に囲まれたところに住みたいという願望があったので、府中の自然環境は理想どおり。自分が自分らしくいられる場所が見つかりました。今後も、自分が得意とすることで、会社や地域がよくなるように仕事やNPO活動に励みたいですね。そして、20年後も30年後も、仲間たちと笑っていられるようにしていきたいと思います」

 守屋さんも感じたように、女性が働きやすい町である府中市。横山建設工業のようにクラウドシステムやWebサイトによる情報発信などITを導入したいと考えているものづくり企業が増えている。
 ITスキルを発揮したい人にとっての新天地になるのではないだろうか。

横山建設工業株式会社の募集職種

広島県府中市公式ホームページ