越前市で発見! キラリ輝く、モノづくり女子たち

Vol.3

「豊かなプライベートはもちろん、自分のキャリアアップを考えてもベストな選択肢は、越前市で働くことでした」グローバル企業の開発最前線に携わる女性エンジニアの未来予想図とは?

「共働き率全国ナンバーワン(※1)」、「保育所の待機児童ゼロ」など、女性が働きやすい条件が揃っていることで有名な福井県。その中央部に位置する越前市は、女性の就労や子育てについてとりわけ手厚い支援体制があることで知られている。今回は、大阪府立大学の大学院を修了後、地元越前市へのUターンを決めた研究開発職の上田知奈さん(26歳)に、「越前市で働くこと」を選んだ理由と、現在のライフスタイル、そして将来の夢について聞いた。福井県の共働き率56.8%、全国平均45.4%(総務省「平成22年度国勢調査」より)

Uターンを決めた2つの条件

上田知奈さん(26歳) 福井村田製作所 第一コンデンサ商品開発部 開発一課

父が福井県越前市の出身。
自身も高校を卒業するまで越前市で育った上田知奈さん。
「ずっと理科が好きだったから」と、大阪府立大学工学部に進学して、大学院も修了した。学生時代の6年間を大阪で過ごした後、就職先を探すにあたって頭に浮かんだ条件は2つ。1つは「モノづくりのできる会社であること」だった。

「学生時代は生活に関わりのある研究がしたくて、工学部の中でも化学系を専攻し、医療診断に関わる技術を学びました。仕事を選ぶときもやっぱり、生活に関わりのある分野がいいな、と。例えば、自分が関わった製品が身近なお店で売られていたら、『自分が作ったモノが人の役に立っている』と実感できますよね。それにはやはり、モノづくりに関わる会社がいいと思ったんです」

 越前市にはモノづくりに関わる企業が多い。上田さんの父もモノづくりの会社で働いていて、小さい頃から、モノ作りという仕事を身近に感じていたと言う。

高学歴“リケジョ”の上田さんは、仕事と未来の暮らしや、確実なキャリアアップのためにベストな道として選んだのは地元・越前市の福井村田製作所だった。

 2つ目の条件は「福井県、できれば地元の越前市がいい!」ということ。18歳まで越前市でのびのびと育ち、その暮らしやすさや自然の豊かさは知っている。それでも6年間の県外生活を経験した上でライフプランを考えたとき、はっきり見えてきたことがある。

「私は未婚ですが、いつかは結婚して子供が欲しい。それなら早い方がいいと考えました。ある程度若いうちのほうが出産リスクは低いということもありますが、早くに産休・育休をとったほうが仕事に復帰しやすいし、キャリアアップにもつながる。そう考えて都会と地元を比べると、結婚の年齢は地元のほうが1〜2年早いし、実際に小学校の同級生にはすでに子育て中の人もいます。  子育てにしても、越前市には待機児童がいないのはもちろん、保育園や幼稚園の施設も充実しているし、中学生までの子供には医療費の助成もあります。仕事の面でもプライベートでも、やはり越前市がベストだと思いました」

モノづくりの現場の、その先へ

 2014年、福井村田製作所に入社した上田さんは、第一希望だった商品開発部に配属され、この部署で“積層セラミックコンデンサ(MLCC)”の開発を手がけている。コンデンサとは、電気を貯めたり、放出したりするための電子部品のことで、身近なところではスマートフォンやデジタルカメラ、パソコンなどあらゆる電子機器に搭載されている電子機器。村田製作所はMLCCの世界最大手で、世界シェアの4割弱を占めている。

 上田さんが担当するMLCCのサイズは、なんと200ミクロン! その幅、髪の毛2本分という極小の部品を顕微鏡でのぞきながらの精密な作業が続く。入社早々、グループ企業である村田製作所の売上高のうち約3割を占める主力商品の担当に抜擢されたことになるが、上田さんは「世の中にない製品を生み出す仕事。わからないことがたくさんありますが、日々発見。毎日が楽しいです」と、誇らしそうに話す。

「商品開発部は、男女の比率はだいたい半々。思ったより女性が多いので、入社した当初は意外に思いました。仕事の上では男女の区別はとくにありません。部署のメンバー同士は仲がいいので、お互いがきちんとお休みできるように、サポートし合う雰囲気があります。そういう意味でも、すごく働きやすいですね」

 村田製作所には国内30社のほかに海外にも80近くの関連会社があり、さまざまな事業を展開している。上田さんがこの会社を選んだ理由の一つも、ここにある。

村田製作所といえば、TVCMにも登場したこのロボット。超低速で走れるだけでなく完全に停止しても倒れない自転車型ロボットは「ムラタセイサク君®」(写真左)。抜群のバランス感覚で一輪車を操るのは「ムラタセイコちゃん®」(写真右)。ムラタの製品や技術力を分かりやすく紹介し、エレクトロニクスの可能性を感じてもらうために開発されたそう。

「事業規模が大きいので、さまざまなジャンルの仕事に挑戦できると考えたんです。当分は現場でのモノづくりに関わっていきたいですが、将来的には営業的な分野にも興味があります。自分が関わった製品はどんな評価を受けているか、どんなふうに使われているかを見てみたい。それに、いつか私が作り出した製品が実用化され、海外の事業所に移管されたとしたら、その生産現場を自分の目でしっかり見届けたいです」

暮らしやすさは他県民のお墨付き

 始業は8時20分、終業は16時50分。平均帰宅時間は18〜19時の間で、自宅では料理や読書を楽しむのが上田さんの日常。ゆっくり休める週末は、アウトドアを楽しむ。最近は、子供の頃に両親が教えてくれた釣りを再開し、つい先日も海で釣ったアジとスズキ、コハダを自分でさばき、家族にふるまった。

「足を伸ばせばお花見できるところもたくさんあって、ゴールデンウィークには砺波のチューリップ園に出かけましたし、春から初夏にはつつじやバラを見に行きました。近所の清流では、鮎やマスを釣っている人もいます。これだけ近くに自然と触れ合える場所があるのも、越前市ならでは」

 上田さんいわく「越前市民のお出かけの定番と言えば、バーベキュー」。今年は同期のメンバー13人が集まり、バーベキューを楽しんだ。越前市民は誰もが、身近な自然を満喫する方法を熟知しているようだ。

「こんなに自然が豊かで、働く環境にも暮らしやすさにも恵まれた場所って、他にないと思うんです。私の部署のメンバーも約半数は県外からきた人ですが、越前市をすっかり気に入って『越前市に定住したい』という人も居ます。そんな話を聞くと、やっぱりここで働くことを選んでよかったな、と思います」