Chance&Challenge それぞれのストーリー

世代も、住んでいる場所も、ライフステージも、仕事環境も、キャリアも、現代の働く女性は百人百様。 ただ、すべての人に言えるのは、「今を変えたい」と思ったときこそ行動のベストタイミング。

可能性はさまざまな形で広がっているのだから。

ここでは、すでにチャンスをつかみ、チャレンジしている女性を紹介。
自分らしい働き方を考えるヒントにしよう。

仕事は山登りのようなもの。道程は厳しくても頂上を目指したい

株式会社日本政策投資銀行 企業ファイナンス部 調査役 中島 由貴さん(33歳)

株式会社日本政策投資銀行 企業ファイナンス部 調査役
中島 由貴さん(33歳)

今回、フォーカスする中島由貴さんが勤務するのは、日本政策投資銀行。

一般のメガバンクや地方銀行とは異なる政府系金融機関であり、
日本の経済や社会を金融面から支えるという大きな役割を担っている。

この企業でどのようにキャリアを築いてきたのか、また職場の環境や雰囲気などについて中島さんに聞いた。

地方の課題を解決したいとの思いで金融を選択

中島 由貴さん
株式会社日本政策投資銀行
企業ファイナンス部 調査役
中島 由貴さん(33歳)

 「苦手なことはできるだけ克服したいタイプ」と自己分析する中島由貴さん。大学に進学する際は、嫌いな理数科目を克服するために、あえて経済学部を選んだ。その結果、「克服は無理だったけど(笑)、嫌いではないレベル」まで到達した。

 就職の際は、さらに数字と四つに組む必要がある金融を志望し、2008年、日本政策投資銀行(以下、DBJ)に入行した。

 「鹿児島の出身なので地方に関心があり、歴然とある地方と東京との格差を何とかしたいということが念頭にありました。そのツールとして金融であれば、幅広くさまざまな業種に関わることができ、地域に貢献できるのではないかと考えたことが志望の理由です。DBJは地方に10支店ほど抱えているので、いつか鹿児島にも帰れるはずという期待もありました」

 DBJ(Development Bank of Japan)は、日本開発銀行と北海道東北開発公庫が合併して発足した政府系総合政策金融機関。前身の時代から戦後復興、高度経済成長、都市再開発、環境対策、事業再生など時代の課題に対し、長期の融資などを行って日本の経済・社会の発展に寄与してきた。

 2008年10月の民営化以降、業務の幅が広がり、現在は「融資」に加えて「投資」、「アドバイザリー」といった3本柱で、「インフラ」「産業」「地域」の3分野を重点領域としてソリューションを提供している。

 公共性が高く意義のある事業内容もさることながら、中島さんがDBJを選択した決め手は、「人」だった。

 「採用時の面接時間が1時間半ぐらいと、すごく長かったんです。その間、一方的に質問されるわけではなく、こちらの話もきちんと聞いてくれる感じが好印象で、自分に合いそうだなと思って決めました」

 

ジョブローテーションで多様な経験を積む

 入行してから11年目を迎えた中島さん。これまでいくつもの部署でキャリアを積んできた。これは、人材育成に力を入れるDBJの基本方針で、若手社員は複数の部署で多様な経験をした後に、中長期的な配属で専門能力を高めていく戦略的ジョブローテーションを実施している。

 中島さんの場合も、主に資金調達等を行う金融法人部を経て、入行3年目には早くも念願の南九州支店(鹿児島)へ異動。

「毎年人事と面談して今後のキャリアをどうしたいか聞かれるのですが、希望どおり運よく地元に帰ることができました。鹿児島と宮崎の2県を担当し、融資に関する法人営業を行っていたのですが……」

大企業から中小企業まで営業するも、継続取引先の他は、年に数件の新規取引先を開拓できれば上々という結果が現実。もともとやりたかった「地方の企業を見る」ことはできたが、まだまだ経験が浅かったこともあり、自分の能力不足を痛感したという。

「もっと勉強して、提案力などを身につけなければ」との思いで次に希望したのは、DBJのスタンダードともいえる大企業を対象とした部署。企業金融第1部で大手化学・医薬品メーカーを中心に融資の法人営業を担当した。

そして、現在。新しい資金供給手法である事業再生ファイナンスや資本性のファイナンスなどに取り組む企業ファイナンス部に所属している。

「専門的な金融ノウハウを学びたいという希望が叶いました。今は、ある産業の事業会社と共同運営ファンドを組成し、その産業の発展を支援するために企業への投資を検討したり、実際に投資を行ったりといった業務を手がけています」

ただ、現在取り組んでいる仕事は、「正直なところ、大変なことがほとんど」と本音を語ってくれた中島さん。

「投資は融資以上にリスクが高く、投資は投資先企業が成長しないとお金は返ってこないという可能性がある。ですから、成長を促すために、社外取締役として投資先企業に派遣されています。金融の知識を活かして財務面をサポートしていますが、企業が成長するための正解があるわけじゃない。ただ、その先に必ず意味あるものがあると信じて、日々葛藤しながら過ごしています」

自己の成長を求めて、あえてチャレンジングな道を選ぶ

 そんな状況でも仕事を続けているのは、「今、自分にできることは何かを常に考え、ベストを尽くしている状況にやりがいを見出している」から。複数の部署に所属したことで鍛えられ、経験値が上がったことも大きいという。

 「間違いなく自分の成長が感じられるし、トラブルに強くなりました。キャリアという点でもバック部門、融資、投資と順調に専門的な知識や経験を積み上げられていると思います」

DBJのジョブローテーションが確実に作用した結果だろう。「人材」を最も重要な資産と考える同社では、幅広い視野や知識を習得するための海外留学制度ほか、国際機関、海外研究機関、関係諸官庁といった多様な外部機関へ社員を派遣するなど人材育成制度が充実している。

従業員の約4割が女性というDBJ。長く働き続けられるように出産・育児などの就業・休業制度が整備され、男性社員の育休取得者も増えてきている。制度を支えるイクボス研修や保活セミナーなども開催
従業員の約4割が女性というDBJ。長く働き続けられるように出産・育児などの就業・休業制度が整備され、男性社員の育休取得者も増えてきている。制度を支えるイクボス研修や保活セミナーなども開催

また、社内の環境も、社員のモチベーション向上を助長している様子だ。

「例えば、自分でベストな解を見つけてチャレンジしようとしたとき、それを応援してくれる風潮があります。正しいと思ったことは上司や先輩にも言える雰囲気ですし、自分の信念を曲げないといけないようなことを命じられることもありません。社員のカラーとしてはマイルドな人が多いかなと(笑)。みんなで議論を重ねて、答えを見つけようという感じです」

風通しがよく、自分らしくいられる職場環境のDBJで、これからもキャリアを磨いていきたいという。次はどの部署を希望しているのかと問うと「しばらくは投資の仕事をしたい」と即答した。

「大変だからこそ、“あえて”です。楽な道を行くより、タフな仕事の方が成長できると思うし、困難は克服したい。登山が趣味なのですが、今の仕事はまさに山登りと同じ。登っている間は“なぜ自分はこんなことをしているんだろう”と思うけれど、やはり頂上を目指したい。たとえ苦労したとしてもステップアップして投資のプロなりたいですし、後進の育成もしていきたいと思っています」