特別セミナー不確実な時代でも
しなやかに描くマイキャリア

女性活躍推進を後押しする取り組み「日経ウーマノミクス・プロジェクト」の一環として、2014年5月にスタートした「WOMAN EXPO」。8年目を迎えた今年5月、「WOMAN EXPO 2021」がオンラインで開催されました。特別セミナー・女性リーダーに学ぶ!では「不確実な時代でもしなやかに描く マイキャリア」をテーマに、3人のリーダーを迎えてディスカッションを開催。その様子をリポートします。

Talk Sessionパネリスト

秋田夏実写真

デロイトトーマツコンサルティング合同会社
CPEO Office Manager
D&I Specialist Lead
グラミン日本顧問 Chief Inclusion Officer 兼務
児玉 都さん

ベンチャー企業海外事業部、外資系組織・人事コンサルティング会社、を経て現職。
ダイバーシティ推進支援を専門領域に、日系・外資系大手クライアント向けにグローバル次世代リーダー人材育成、女性活躍推進、働き方改革、D&Iブランディング戦略構築支援等のクライアントサービスに従事。
企業のみならず教育機関・自治体等においても多数の講演を実施。今年4月より、小学2年生・4年生になった二児の母。

江浪まつみ写真

モルガン・スタンレーMUFG証券株式会社
バンク・リソース・マネジメント本部長
山中 美穂さん

上智大学外国語学部在学中に財務省でのアルバイトがきっかけで金融業界での仕事に興味をもつ。欧州系証券会社のIT部門、ウェルス・マネジメント部門での経験を経て、モルガン・スタンレー証券(現モルガン・スタンレーMUFG証券)の株式統括本部に転職。
株式統括本部からバンク・リソース・マネジメントが独立した部門となり、同部門の日本及びアジアのCOO職に従事し、2019年12月より現職。
プライベートでは、小学6年生の息子の勉強をサポートしながら多忙な毎日を送っている。

桑原ひとみ写真

株式会社 野村総合研究所
人事部 ダイバーシティ推進課長
村田 あゆみさん

大学(経済学部)卒業後、野村総合研究所にアプリケーションエンジニアとして入社。証券会社向けのシステム開発業務に従事。
企業派遣でMBA留学を経験し、帰国後はITコンサルタントとして複数の証券会社向けの支援を行う。
その後、人事部に異動、2019年10月よりダイバーシティ推進課長として、女性活躍推進をはじめとするダイバーシティ&インクルージョン推進に取り組んでいる。

Talk Sessionモデレーター

浦 亜弓写真

クインテグラル パートナーファシリテーター 人事コンサルタント
浦 亜弓さん

広島安田女子大学卒業。英会話イーオンに入社し講師の採用教育を担当。その後、英国系大手リクルーティングファームで外資系金融機関へ採用サービスを提供。また、米国系総合化学メーカーダウ・ケミカルでは、アジアパシフィック地域における人材開発の実行リーダーを務め、13カ国で各種トレーニングやセミナーを実施。2006年に独立し、人事コンサルタントやAMA研修等の講師業に従事。子供帯同で海外出張もこなす。

Talk Sessionトークセッション

理想とは違っていても
チャレンジを続ければ
キャリアパスの可能性は広がる

皆さんが現在担当されているお仕事内容を教えてください。

児玉経営コンサルタントとして特に組織人事の領域のコンサルティングを長年担当しています。今はデロイトトーマツコンサルティング(DTC)の組織改革・経営企画のイニシアティブのひとつであるCPEO(Chief People Empowerment Office)でマネジャーをしています。DTCがどんどん輝ける組織になって、個人が活躍できる最高の職場を作るために人事関連の企画戦略を描く仕事です。
同時に副業として一般社団法人グラミン日本の顧問にも就いており、日本の貧困という社会課題を解決するためにさまざまな活動をしています。コンサルタントと顧問の活動時間の割合は7対3ぐらいです。プライベートでは小学2年生と4年生の娘の母です。

山中私はモルガン・スタンレーMUFG証券というアメリカの総合金融サービス企業で働いています。2010年からモルガン・スタンレーと日本の三菱UFJフィナンシャル・グループが証券合弁事業を開始したため、同年に今の社名になりました。
弊社はとてもユニークなセットアップをしていて、金融機関の主流である株式部・債券部とは別に、独立した形でバンク・リソース・マネジメントというフロント・オフィスの部署を設けています。名前のとおり会社の資産を管理する部署であり、会社の健全性を維持するべく、モルガン・スタンレーが全世界で保有しているリソースである有価証券を最大限に有効活用できる取引を、金融規制に準拠しながら、グローバルレベルで実行しています。この部署の日本の責任者として本部長の仕事に従事しています。

村田野村総合研究所はコンサルティング業務とITソリューション業務を2本柱として、ビジネスを展開している会社です。私は人事部でダイバーシティー推進の仕事をしています。女性の活躍推進をメインに育児と仕事の両立支援のほか、最近では介護と仕事の両立、性的マイノリティー(少数派)の方への配慮などにも取り組んでいます。会社としてデジタルトランスフォーメーション(DX)に注力しており、キャリア採用に力を入れているので、入社された方が早く会社になじめるような業務にも関わっています。

次に、これまでのキャリアを振り返っていただきたいと思います。今のキャリアは思い描いていた通りに進んでいますか。

村田私は新卒入社したタイミングで、思い描いていたキャリアとは違うことが起きました。就職活動をしているときに、野村総合研究所がコンビニエンスストアの情報システムを担当しているという話に魅力を感じて、入社を志望しました。システムエンジニア、アプリケーションエンジニアとして入社した私は、流通業のシステムエンジニアになりたいと思っていたのですが、入社式で伝えられた配属先は証券システムでした。
もうひとつの大きな転機は、人事部に異動したことです。システムエンジニアでキャリアを積んで、ITコンサルタントとして証券会社のお客様と共に課題解決をする仕事をしていたのですが、3年ほど前からは人事部でダイバーシティー推進の仕事を担当することになりました。いろいろと予想外のことが起きています。

山中私は学生の頃から金融業界で働くための準備や活動をしていたわけではなく、ピアニストになるため音楽学校で勉強していたこともありましたし、大学では外国語学部でフランス語を専攻していました。
初めて金融業界に興味を持ったのは、大学時代に財務省でアルバイトをしたことがきっかけです。当時はEコマースがブームで、Eトレーディングにも将来性を感じていました。海外での経験や語学力を生かせる外資系金融機関でそういった仕事に携わりたいと考え、欧州系証券会社のIT部門に就職。同部門の執行責任者(COO)を経験し、フロント・オフィスに転換したことが今の仕事につながる大きなターニングポイントでした。
思い描いていたキャリアとは違いますが、その時々に選択できるチャレンジをしたことで、自分のキャリアパスの可能性は広がったと感じています。

児玉思い通りになっている部分とそうでない部分とが半々です。キャリアのフェーズが積み重なっていく中で、日本社会のダイバーシティー&インクルージョン推進に仕事人生をかけてみようと心を決めた瞬間があって、そこから先は自分のやりたい仕事、一緒に働きたい人、サービスを届けたい人などは思い通りに進んでいます。
20代の頃は、はっきりしたキャリア像はありませんでした。経営者の右腕になりたいという漠然としたキャリアの方向性の中で、ベンチャー企業からコンサルティングファームに転職。当初は全然うまくいかなくて、自分のスキルを磨く上でも体力面でもなかなか思い通りにいかず、もどかしい時期がありました。それでもそれを乗り越えて自分のWILL(意志)を持ち始めた以降は、すべてが思い通りにいくようになったと思います。

悩んだときは趣味でリフレッシュ!
落ち込んでいる自分を自覚することが
浮上のきっかけに

仕事をしていく中で、心が折れることや落ち込むこともあるかと思います。そのときはどうやって乗り越えていますか。

村田私は好奇心旺盛で多趣味なのですが、普段から趣味の引き出しをいっぱい持っておくことがオススメです。「これが効果てきめん!」みたいなものを持っておくといいです。私の場合はお笑い芸人のネタを見ることが大好きなので、ネタ番組を見てスッキリしています。あとは、趣味のピアノを一生懸命弾くことに集中したり、公園に咲いた花を見て意識的に大げさに喜んでみたり……。落ち込んでいる自分を認めて、自分なりの方法で気分転換をすると気持ちが入れ替わりますね。本当に悩んでいる時は意外と自覚がなかったり、自分で気づけていなかったりすることもあります。まずは落ち込んでいる自分を自覚することが、浮上のきっかけになるのでは。

児玉私も趣味に取り組むのは同感です。落ち込んだときや悩んでいるときは、頭の中でぐるぐる考えすぎているときなので、それを一度忘れて、頭を空っぽにするために何をしようか意識します。最近は子どもと一緒にするワークが、効き目があります。絵の具を自分で混ぜて色を作って絵を描くとか、子どものワークにはエネルギーを表に出すものがたくさんあるので、童心に帰って集中してやっていると、頭の中がパッとクリアになって新たな自分になれる。そういうルーティンが最近はブームです。

山中気持ちをリフレッシュさせてマイナスな自分ではない状態に持っていった後に、なぜうまくいかなかったのか、自分に足りなかったスキルは何なのか、それを埋めるためにはどうしていくべきかを考えます。でも自分だけでは気づけない部分もあるので、メンターや同僚、上司に相談し、また同じような問題に直面したときに乗り越えられる自分になれるようプランニングをするのも大事かなと思います。

管理職の醍醐味は
オピニオンの発信先や共感者が増えて
仕事が面白いように進むこと

管理職、マネージャーになって良かったことを教えてください。

村田私は課長になって2年弱なのでまだまだ駆け出しのマネージャーですが、仕事がぐんぐん進むようになったことが何より面白いことだと感じています。課長というポジションになると、いろいろな方々に動いていただいたり、協力してもらえたりすることが増えるため、いちプレーヤーとしてできることの2倍も3倍もできることが増えたという感覚があります。こんなに仕事がぐんぐん進むなら、管理職になって良かったなと実感しています。
さらに人に興味がある、人が育つのを見るのが好きという方であれば、管理職は間違いなく面白いポジションです。自分の成長はもちろん、部下の成長を見たときのあの何とも言えない喜びは、管理職の醍醐味ではないでしょうか。

山中村田さんがおっしゃったことももちろんありますが、ひとつの例として私みたいな管理職もいるということを皆さんに知っていただき、こういう人でもなれると思ってもらえればうれしいですね。女性の管理職としてこれからもっと女性が活躍できる場を提供していきたいので、今よりもさらにそれに貢献できるよう、頑張りたいです。

児玉私もやはり自分の仕事の影響の範囲、社会に対するインパクトが大きくなったことです。グラミン日本の顧問の仕事もそうですが、ポジションがあることで世の中に対して言えること、皆さんに共感してもらえることがどんどん増えてきます。組織の中でも若手から役員まであらゆる階層に対して自分のオピニオンを通すことができる。発信先が増えたことはありがたいことであり、自分の考えに共感してもらいながらどんどん仕事を進めていけることは楽しいです。

では最後に、皆さんのこれからの目標や夢をお聞かせください。

児玉私は経営コンサルタントを長くやってきましたが、将来は自分が事業を作る立場に挑戦したいです。子どもの年齢もありますし、いつやるべきなのかは全然決まっていませんが、コンサルとして経営者を支えてきた経験を生かして、自分がリーダーとなりビジネスを作り、世の中を幸せにすることに憧れているので、いつかは挑戦してみたいです。

山中私は本部長の仕事に就いて1年が経ったので、これからはさらに各ビジネスの強化を図り、人を育てていきたいというのが近い将来の夢です。もっと女性が活躍できる職場にしていきたいですね。バンク・リソース・マネジメントは50%が女性であり、ほとんどが役職付きのオフィサーです。これはフロントオフィスとしては自慢できることだと思います。私たちの部署だけではなく、会社全体で女性活躍を盛り上げていきたいですし、社会でもそういった機会があれば貢献していきたいです。

村田ダイバーシティー推進の仕事をコツコツとやることで、例えば、他社の経営者などに「野村総合研究所はテレワークがかなり進んでいるらしい。その事例をうちの会社にも取り込んでみよう」と思ってもらえて、いずれはテクノロジーの力でどの会社に勤めていても、どのような事情があっても働きやすい環境が広がってほしいというのがひとつの目標です。また、野村総合研究所はデジタルで社会を変えていこうとしています。デジタルは難しいと感じている人も含めてみんなをインクルーシブできる社会を、野村総合研究所発でできたらいいという妄想も抱いています。

写真提供:辺見真也、WOMAN EXPO 2021