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転職天気図

A・ヒューマン 吉安 乙起氏

A・ヒューマン 吉安 乙起氏
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選別の時代が到来
ピンポイント補強が進む金融業界

A・ヒューマン
代表取締役社長
人材紹介シニアコンサルタント
吉安 乙起(よしやす・いつき)

[PROFILE]

1957年生まれ。一橋大学法学部を卒業。1981年日本興業銀行(現みずほフィナンシャルグループ)に入行。その後、外資系保険を経て2004年A・ヒューマンに入社。人材紹介コンサルタントとして活躍する。2009年4月代表取締役社長に就任するが、コンサルタント業務は継続中。専門分野は投資銀行関連のポジション。
企業サイト http://www.a-human.net/
日経キャリアNET エージェントサーチ
事業所情報

 サブプライム問題に続く2008年9月のリーマンショック以降、世界経済は大きな打撃を受け、落ち込んだ。日本も「100年に1度の大不況」といわれるほどの大幅な景気後退に巻き込まれ、金融業界も突破口を見出しにくい状況だ。人材紹介会社A・ヒューマンのコンサルタントである吉安乙起氏に、金融プロフェッショナルの採用動向と転職を成功させるコツを聞いた。

応募から採用決定するまで長期化傾向に

 サブプライムローン(米国の信用力の低い個人向け住宅融資)の問題を発端とする米国発の金融危機は、当初の予想に反して外資系のみならず国内の金融機関にも、劇的な影響を及ぼしました。特に、大手投資銀行リーマンブラザーズの破綻が大きかったですね。

 年明けから中途採用も軒並み鈍っていると言わざるをえません。求人案件があっても、ハードルはかなり高く、しかも応募者が殺到する事態になっており、採用に至るまでの期間が長期化する傾向にあります。

 若干ながらでも採用ニーズがあるのは、銀行ではデリバティブの営業や不動産のファイナンス担当者、投資ファンドでは案件担当のマネジャーやバリュエーション担当者、生損保ではアクチュアリーや運用系、代理店マネジャーあたりでしょうか。あとは、ネットバンクやオンライン証券くらいですかね。

 ただ、いずれも「優秀な人材がいれば」というスタンス。ここ1、2年で積極採用から選別化、ピンポイントの採用へと確実にシフトしていますので、かなり高い「売り」がなければ難しいと言えます。

 その一方で、条件面では年収は大幅にダウンしてきています。外資系企業では異常な報酬水準は完全に崩壊していますし、日系企業でも30代前半で1000万円ならまだ良い方だと言えるのではないでしょうか。これまでの年収にこだわっているようでは紹介する先すらないほどです。

 職種別にニッチな人材ニーズがあるので、企業が求める人材像はなかなか一般化できませんが、「複数のプロフェッショナリティー(専門性)」がより大切になってきている気がします。何しろ、選ばれるのは1人のみという案件がほとんど。どうしても、1点勝負だとリスクが大きくなります。対象企業の許容範囲を広く持って臨むためにも、専門性のポケットは、幾つかあった方が良いですからね。

複数の専門性が「次への展開」を切り開く

 金融プロフェッショナルにとって、今後は人材紹介会社との付き合い方が、大いに変わってくると思います。水面下で採用活動を行っていても、ホームページ上では何も記載されていないケースが多数。当然ながら、人材紹介会社がどこまでクライアント企業に浸透しているかを見極める必要性があります。

 また、キャリアに対する視点を転換したことで転職できたという例も見られますから、総合的な情報力を持っているかという点もより大切になるでしょう。

 判断基準はあると思います。例えば、当社のようにグループ各社や日本全国にアライアンス先を持つ人材紹介会社を選ぶとか。また、タイプの違う複数の人材紹介会社に登録するのも一案です。

 いずれにしても、金融のプロフェッショナルにとって、しばらくは厳しい時代が続きそうです。特に、現場を離れて退職後、求職活動をしている方は悩みが大きいはずです。

 期間が長くなればなるほど、せっかくの専門性を高く評価されにくくなります。もちろん、弱気になっても良い結果には至りません。慎重を期す必要があるのは現職の方も同様です。この時期だからこそ、ぜひともプロのエージェントに相談してほしいですね。

転職天気予報  2009年(小雨) → 2010年(くもり)

求める人物像

投資ファンド系職種

投資ファンド会社への転職は以前にも増して難易度がアップ。未経験者の場合、金融機関の有価証券関連部門での実務経験やCPA、証券アナリスト資格、語学力などがあっても採用に至らないケースもあるほど。経験者であっても、かなり高いスキルが要求される。

コンサルタント系職種

戦略コンサルティングファームを中心に、監査、リスク管理、企業再生などの分野で採用ニーズがある。金融機関における高度な業務経験、専門的な領域の経験を持つ方であれば、業界未経験でもチャンスは大きいといえる。