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転職天気図

日本マクドナルド 佐藤 博氏

日本マクドナルド 佐藤 博氏
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自ら成長する意志を持った人材に
フレキシブルな人事制度で答えたい

日本マクドナルド
人事本部 フィールドスタッフィング部
統括マネージャー
佐藤 博(さとう・ひろし)

[PROFILE]

1956年生まれ。81年3月京都外国語大学外国語学部イスパニア語学科卒業。同年4月日本マクドナルド入社。店長、スーパーバイザーを経て、92年人事本部へ異動、主に採用を担当。2006年より店舗マネージャー、クルー(アルバイト)などを採用する同部フィールドスタッフィング部統括マネージャー。
企業サイト http://www.mcdonalds.co.jp/

 デフレ期の低価格戦略から、味や店舗の雰囲気などを重視する付加価値戦略へ大きく転換した日本マクドナルド。「サラダマック」「メガマック」など高付加価値商品の投入が店頭に活気をもたらし、2006年には5期ぶりとなる売上高の最高記録を更新した。同社人事本部フィールドスタッフィング部統括マネージャー佐藤博氏から、採用の状況や求める人物像などについて聞いた。

バブル期にも匹敵する売り手市場

 現在、労働市場全体の有効求人倍率は1倍を超えましたが、外食業界のそれは3倍、4倍にも感じます。それほど外食産業の人材採用は困難であり、少ない人材を取り合う状況が続いています。私は1992年に人事に異動する数年前から採用に関わっており、バブル期の人材採用を経験しているのですが、現在は当時に匹敵するほどの売り手市場と化しています。

 労働市場の変化だけではなく、当社の主要な採用ターゲットである若者の就職観、職業観の変化も採用活動に大きな影響を与えています。最近の若者は「どの会社に入るか」よりも「個人の成長」を重視する傾向があります。

 当社は1971年の設立当初から研修機関「ハンバーガー大学」を開校するなど、業界に先駆けて人材教育に注力してきた歴史があり、PDS(People Development System)という人材評価育成システムを完備しています。こうした人事制度を積極的にPRすることで、厳しい採用環境ながら、他社より有利に採用できているかもしれません。

 また、現役のクルー(アルバイト)がビジュアルに登場する採用PRで、「ワタシ×マクドナルド」というメッセージを発信しています。これにより採用の場面でも会社ブランドイメージの統一を図り、「ほかのファーストフード店で働くのとは違う」「マクドナルドで働いた経験が他社の面接で評価される」ような、当社を「働くブランド」にしたいと考えています。

本社スタッフに異業種出身者を登用

 ここ数年の傾向として、本社の経営戦略やマーケティング、人事などのスタッフ部門で、異業種出身者を採用するようになりました。フレームワークを構築し、それを論理的に展開する戦略思考と米国マクドナルドとも話ができる英語力が必須条件です。コンサルティングファームや金融機関、メーカー出身者、サプライチェーンマネジメント経験者など、さまざまな業界から採用しています。本社スタッフの中途採用では、外食業界出身の中途採用者のほうが珍しいぐらいです。

人材に積極投資、過去最高の652人を採用

 2004年以降の業績回復、人材に積極的に投資する経営方針などにより、当社は06年に過去最高となる店舗系正社員652人を採用しました。そのうち新卒者が約150人、そのほか第二新卒者やクルーからの正社員登用などがあり、約200人を中途採用しています。

 店舗などで働く正社員の多くは、マネージャーとして採用されます。現場で店舗運営経験を積み店長となり、年商1億−3億円のビジネスを担い、1店舗あたり40−60人のクルーをマネジメントします。当然、コミュニケーション能力は必須ですが、カスタマー重視の姿勢やチームワークも欠かせません。

 中途で入社している人の年齢は、店舗系社員の平均年齢約25歳よりやや高めで、26歳から30代前半です。同業他社はもちろん異業種からも積極的に採用しています。異業種出身者で目立つのは、塾講師やスポーツインストラクターなど教える仕事をしていた人。彼らは当社の教育制度に興味を持ったり、「人にもっと教えたい」といった理由で転職してきます。またホテルやウェディング関連など、ホスピタリティー精神を持った人も多い。女性も積極的に採用しており、店舗系社員の約3割が女性です。

 マネージャーのキャリアパスは多岐に渡ります。大きく3つのパスがあり、1つは店長やエリアマネージャーなど、営業関連のポジションでキャリアアップする方法。2つ目は社内公募などで、人事やトレーニング、マーケティングなど本社スタッフに異動するルート。そして3つ目として、フランチャイジーとして独立する道も用意されています。

 最近ではこれら3つに加え、他社に転職するという道も否定しません。外食チェーンなどに人材を送り出しており、そこで社長や役員を務めている人もいます。こうした方は「マクドナルド・ファミリー」だと考えています。あくまでキャリア構築は本人の意志に委ねられており、当社のスタンスは、各個人が自立的なキャリアを選択するバックアップをするというもの。当社は既に年功序列の人事制度を廃止しており、今では定年すら存在しません。当社というシステムを活用し、自分のキャリアを自分で選択し、自ら成長する人材を歓迎しています。

転職天気予報  2006年(晴れ)→2007年(晴れ)

求める人物像

本社スタッフ

経営戦略やマーケティング、人事などのスタッフ部門で、随時、中途採用を行なっている。フレームワーク構築、ロジカルシンキングといった戦略思考力に加え、米国マクドナルドと仕事ができる英語力が必須。ここ数年、コンサルティングファームや金融機関、メーカーなど異業種出身者が増えている。

マネージャー職

クルー(アルバイト)の人材育成や販売促進活動など、店舗運営全般を任される店長候補。店舗は1店舗あたり40−60人のクルーが在籍し、年商1億−3億円規模になるため、コミュニケーション能力はもちろん、カスタマー重視の姿勢やチームワークなどが求められる。