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これぞ我が社の生きる道

第14回 株式会社JCG 代表取締役 松本順一氏

第14回 株式会社JCG 代表取締役 松本順一氏

経済構造が大きく変化し、しのぎを削るライバル企業であっても協業の道を探り、ともに生き残りの道を切り開いていくことが珍しくなくなってきています。

「フレネミー(友人と敵を組み合わせた造語)」という言葉も登場するなど、生き残りをかけた危機感は、大企業をはじめ企業の規模を問わず強まるばかり。そんななか、独自性をもって活路を見いだした企業も数多く存在します。

このコラムでは、人手不足や少子高齢化などという経営の逆風を吹き飛ばし、我が道を力強く突き進む企業の姿を追いかけていきます。

トッププレーヤーはプロスポーツの有名選手なみの人気

 最新の脳科学の研究結果などから、存在価値が改めて見直されているゲーム。今や「eスポーツ」というゲーム対戦競技に名を変え、人間のさまざまな脳力(記憶、集中、認識、計算、反射神経、状況判断、空間認識など)をフルに使って競い合うBRAINスポーツとして、世界中で盛り上がりを見せている。トッププレーヤーともなると、サッカーや野球などの有名選手なみの人気を誇るほどだ。

 日本でも関連したイベントが各地で開催されている。昨年にはゲームメーカーを中心に一般社団法人日本eスポーツ連合(JeSU)が設立され、会員企業は約90社にも上る。

 そのeスポーツで、日本における推進活動の第一人者として知られるのが松本順一氏。自ら代表を務める「株式会社JCG」は、eスポーツに特化した大会サイト「JCG」(Japan Competitive Gaming)の運営会社として広く名が通っている。

 JCGの企画~運営までを自社で手がけ、試合を配信するための専用スタジオも完備する。昨年度の実績は大会参加者数が15万4千人、運営サイトページビュー数は1844万、動画配信は265番組、再生回数は1474万。スタートアップながら国内トップクラスの実績を誇る。

ワンストップで手がけられることが信頼につながる

 同社の中核事業の1つは、社名を冠したeスポーツ大会「JCG」の開催・運営。ブランドを前面に出し、企業に協賛してもらう形。またはeスポーツ大会を開催したいというクライアントに、同社のノウハウを運営委託する形で大会を主催し、ワンストップで大会運営を手がけることで収益を上げている。トッププレーヤーのプレーや各試合の模様などを動画で配信して、告知活動にも力を入れる。

 もう1つは、ゲームイベントのコンサルティング。イベントの途中で来場者が喜ぶようなゲームイベントを開催してほしいといった個々の要望にも柔軟に応じ、クライアントの魅力を最大限に引き出す戦略立案を提供している。

 自社の強みについて松本氏は、eスポーツ大会をワンストップで手がけるほかに、自社で提供しているプラットフォームを挙げる。「自社でBtoC仕様のプラットフォームを構築することで、システムに深く関わることができる。そのためプレーヤーがストレスなくプレーでき、参加する企業も利用しやすいようにアレンジできる。それがJCGブランドの信頼にもつながっている」と自信をのぞかせる。

時間や場所の制約を受けず、国境も越えていく

 eスポーツが産声を上げたのは2000年ごろ。それから20年足らずで、世界のeスポーツの競技人口は1億3千万人を突破し、野球やゴルフをしのぐまでに成長した。

 高額の賞金が出るeスポーツ大会が世界中で開催され、年収1億円を超えるプロゲーマーも出始めている。世界を代表するプロゲーマーチーム「Fnatic(フナティック)」の市場価値は160億円とも言われ、サッカーや野球と同じように莫大な資産を持つオーナーがチームを支える。eスポーツはまさに、リアルスポーツと同じ構造ができ上がりつつある。

 これまでのゲームは、ゲーム会社が作った枠の中でプレーするのが当たり前だった。eスポーツではプレーヤー自身が「こうしたらもっと面白くなるのでは?」と思うことを実現できるようになった。

 「オンライン上であれは、時間や場所の制約も受けず、国境も越え、同じゲームが好きな人と盛り上がることができる。eスポーツが短期間で世界中に広まった理由は、ここにある」(松本氏)。

自分たちが手がけたと胸を張れる それが強みになる

 eスポーツが若者のマーケティングにも大きな影響を及ぼすことがわかってから、同社にはさまざまな業種のクライアントから仕事の依頼が舞い込む。受注件数が増え過ぎて、自社のスタッフだけでまかないきれていないのが現状だ。

 同社では今後、eスポーツに関するイベントは外注せず、人員体制を強化して、できる限り自分たちで完結させたいとしている。

 「eスポーツに関するイベントを社内スタッフだけで完結できるようになれば、独自性が生み出せるだけでなく、収益性も高まる。このイベントは自分たちが手がけたと胸を張って言えるようになれば、それが強みにもなる」と松本氏は期待を寄せる。

 最大のターゲットはゲームを楽しむ一般の消費者。eスポーツをピラミッドに例えれば、すそ野部分に該当すると言える。すそ野が広いほどプレーヤー層のピラミッドが大きくなり、その頂点も高くなる。「純粋に一人でも多くのゲームを楽しみたい人を増やし、ゲーム業界そのものを盛り上げていきたい」と、松本氏の描く将来図は至ってシンプルだ。

羨望のまなざし

自らもプレーヤーとしてゲームを楽しむ松本氏が羨望のまなざしを向けるのは、米国の企業「Discord(ディスコード)」社だ。社名と同名のゲーマー向けボイスチャットサービスを生み出した企業。2015年5月にサービスを開始してから4年弱で、ユーザー数2.5億人、時価総額2000億円の企業に成長した。「1990年代からあったような当たり前のシステムを使い、既存のサービスを自分たちが考える品質で突き詰めて成功した、リーン・スタートアップの手本のような事例。スピード感と夢がある」と尊敬の念を抱く。ゲームを軸に人々をつなげることを目指す松本氏にとって、同社の成功は自らの事業を進めていく上で大きな原動力になっている。

会社概要

社名:株式会社JCG

設立:2017年3月

所在地:東京都渋谷区渋谷3-12-18

URL:https://www.j-cg.com/