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これぞ我が社の生きる道

第12回 株式会社レンタルバスターズ 代表取締役 天野太郎氏

第12回 株式会社レンタルバスターズ 代表取締役 天野太郎氏

経済構造が大きく変化し、しのぎを削るライバル企業であっても協業の道を探り、ともに生き残りの道を切り開いていくことが珍しくなくなってきています。

「フレネミー(友人と敵を組み合わせた造語)」という言葉も登場するなど、生き残りをかけた危機感は、大企業をはじめ企業の規模を問わず強まるばかり。そんななか、独自性をもって活路を見いだした企業も数多く存在します。

このコラムでは、人手不足や少子高齢化などという経営の逆風を吹き飛ばし、我が道を力強く突き進む企業の姿を追いかけていきます。

事業のヒントは米露など現地の人々から得る

 外国からモノが入ってこない鎖国体制が敷かれた江戸時代。人々は資源を非常に大切にし、瀬戸物や樽、古着、紙くず、ロウソクのロウに至るまで、ありとあらゆるものをリユース ・リサイクルし、循環させていたという。中でも日本橋はリユース・リサイクルの中心地であり、魚河岸(流通)、金融、商業、文化の中核として栄えていたそうだ。
 そんな日本橋で、もったいない精神に基づき、オフィス用品の3R(リユース・レンタル・リサイクル)事業に果敢に挑戦するベンチャー企業がある。天野太郎氏が率いる「株式会社レンタルバスターズ」だ。

 同社の創業は2005年。総合商社でロシアや米国の企業向けに事務機器の販売を行っていた社長の天野氏が、現地の人々から寄せられた要望をヒントに立ち上げた、オフィス機器の中古販売・買い取りサービスを主軸事業とする「株式会社オフィスバスターズ」のレンタル専門部署が母体となっている。15年にレンタル専門部署を子会社化し、オフィス機器のレンタルを専門とするレンタルバスターズを設立した。

 同社の事業モデルは至ってシンプル。取り扱う商品は高品質な国内メーカーの新品が半分、残りは親会社のオフィスバスターズが買い取った中古オフィス機器を利用している。大手企業を中心とした顧客に数年レンタルしてもらった後、それをオフィスバスターズに売却。
 オフィスバスターズでも売れ残ってしまった商品は、オフィス家具を家庭でも活用する文化があるフィリピンの海外提携店舗に販売し、再生流通に最大限に取り組むといった具合だ。

3R事業の成長を後押しする「3つの要素」

 同社の事業が急成長を遂げている背景には、3つの要素が複雑に絡み合っている。
 1つ目は、さまざまな業界で取り組まれている「働き方改革」だ。近年、ビジネスパーソンの働き方の変化により、オフィスでは常に人員の増減があるのが当たり前となった。中途解約ができるレンタルであれば、その時々の状況に合わせ、最適な数のオフィス機器を手軽に調達できる。
 リースの場合は廃棄料が高く、再利用されないまま、ゴミとして捨てられてしまうことが多いという。同社のレンタルであれば廃棄料も安く抑えられ、再生流通させることが可能だ。
 2つ目は「会計制度の変化」だ。レンタルの場合、財務諸表に資産計上する必要はないが、08年のリース会計基準の変更により、リース品は資産計上しなくてはいけなくなり、企業のリース離れが起こるようになった。
 そして3つ目は、若者を中心に広がりつつある「所有から共有利用へと変化した社会的風潮」だ。利用したいときだけ料金を支払って使用する「サブスクリプション(継続課金)」が広がりを見せ、食品から自動車まで、さまざまな業界で取り入れられている。
 リーマンショック以降、景気が上向く中でも企業は慎重な姿勢は崩さず、新規事業をスタートさせる場合も、オフィス機器の購入は見合わせ、レンタルで対応している割合が増えているそうだ。

 「当社では月々500円から好みの高機能チェアを定額で利用できるサービスを提供している。たかがイスと思われがちだが、これも立派な働き方改革の1つ」と天野氏は胸を張る。
 快適な座り心地のイスを社員に支給したことで、離職率や売り上げが改善した例もある。1台10万円のイスを500脚そろえた場合、5000万円の出費となり、コスト高になる。「中小企業ではなかなか手が出せない金額だが、当社のサービスを利用すれば月50万円で済む」(天野氏)。会社の事業規模に関わらず、誰もが快適なオフィスで働ける手助けを、今後も続けたいと表情を引き締める。

究極の循環型経済の実現をめざし新規事業続々

 天野氏が今、新規事業としてメーカーとともに取り組んでいるのが、エンジニアリング・プラスチック(EP)を使用した製品の開発。海洋汚染などの問題から世界的に廃プラスチックの動きが広まるなか、オフィス機器にもその影響が出始めている。
 1脚のオフィスチェアには約4キログラムのプラスチックが使われているという。廃棄料や配送の問題などから、オフィス用品の9割以上が再生利用されずに捨てられている現実がある。
 「循環型経済のしくみづくりに本気で取り組むなら、リユース・リサイクルするだけでなく、商品そのものを長く使い続けられるようにする。そのうえで環境に優しい製品を作らなくてはいけない」と、天野氏は環境問題とも密接な関わりを持つ新規事業の重要性を説く。
 同社は国連が推奨する「持続可能な開発目標(SDGs)」にも積極的に取り組む。今後、業界全体を盛り上げるためにも、サーキュラー・エコノミー(Circular Economy=循環型経済)に関連した社団法人を立ち上げたいと考えている。またオフィス機器の再生流通を促すため、オフィス機器の解体や配送に特化した企業の立ち上げにも乗り出していく意向だ。
 天野氏のビジネスモデルに感銘を受けた中国の起業家が、天野氏の出資を受け、同様のビジネスを中国で展開し始めている。日本発のもったいない精神が生み出した「オフィス×リユース」による循環型ビジネスは国境を越え、今、世界に向け飛び立とうとしている。

羨望のまなざし

究極の循環型経済のしくみづくりを模索する天野氏が羨望のまなざしを向けるのが、空間シェアリングビジネスの先駆けとして成功を収めている、貸会議室大手のティーケーピー(TKP)だ。遊休不動産を割安で仕入れ、それを会議室や宴会場などに転用し、小口で販売・シェアリングを行う。天野氏は「0から1を創り出す空間再生流通は、価値のないものに価値を見い出す当社のビジネスモデルと重なる部分がある。空間再生を通じた総合的な企業サポートを行っているのが素晴らしい」と尊敬の念を抱く。1つの概念を突き詰めている同社の姿を見るたびに、スケール感をもって事業に取り組む大切さを教えられるそうだ。

会社概要

社名:株式会社レンタルバスターズ

設立:2015年1月

所在地:東京都中央区日本橋室町3-3-3 CMビル3F

URL:https://www.rentalbusters.net/