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これぞ我が社の生きる道

第8回 株式会社TBグループ 代表取締役会長兼社長 村田三郎氏

第8回 株式会社TBグループ 代表取締役会長兼社長 村田三郎氏

経済構造が大きく変化し、しのぎを削るライバル企業であっても協業の道を探り、ともに生き残りの道を切り開いていくことが珍しくなくなってきています。

「フレネミー(友人と敵を組み合わせた造語)」という言葉も登場するなど、生き残りをかけた危機感は、大企業をはじめ企業の規模を問わず強まるばかり。そんななか、独自性をもって活路を見いだした企業も数多く存在します。

このコラムでは、人手不足や少子高齢化などという経営の逆風を吹き飛ばし、我が道を力強く突き進む企業の姿を追いかけていきます。

屋外デジタルサイネージは業界トップシェア

 日本政府観光局(JNTO)によれば、2018年の訪日外国人客数は過去最高の3119万人を超え、過去最多になったという。こうしたインバウンド(訪日外国人)需要などを追い風に、時流(トレンド)の「環境・健康・観光(3K分野)」の各市場における、「ニッチな要素」でトップシェアを目指しているのが、村田三郎氏率いるTBグループだ。
 同社はグループ各社の持つ経営資源を総合的に活用。さらに新規事業の経営パートナーと「共創」「協業」を図り、人と環境に優しい“普及率ゼロ商材”の開発・販売の挑戦を続けている。

 創業は1946年。事業の主軸は「デジタルサイネージ・LED&ECO事業」「レジ・POSシステムなどを開発するSA機器事業」「インバウンド事業」「カプセルホテル事業」の4つだ。その中でも店舗向けPOSレジスターを中心とするレジスターは累計生産台数35万台、集客効果を見込んで、飲食店などが店舗軒先などに設置しているLEDディスプレイの販売台数は長年、業界トップシェアを継続している(※)。

目標を共有できるパートナーを見つけ、「共創」と「協業」戦略で伸びる

 村田氏は大手電機メーカーの出身。ビデオの設計などを手がけていたが、ビデオ部門が縮小されることになり、退社を決意した。ビデオ映像の技術を生かして、1978年にベンチャー企業を創業すると、次々とヒット商品を生み出した。
 コードレス電話機、自動車に搭載するドライブレコーダー、色や温度によって乱れる映像を自動補正するビデオカラーコレクターなどは、すべて村田氏のアイデアから生まれた普及率ゼロ商材だ。
 VHSビデオの読み取り部分をクリーニングする「湿式ビデオクリーナー」は、累計800万本を記録する大ヒット。今では当たり前のように使われているが、病院のベッドサイドでテレビや冷蔵庫を使用する際のプリペイドカードを利用したシステムも、村田氏のアイデアが商品化されたもの。
 「入院生活をホテルのように快適に過ごしたい」。その思いから生まれたアイデアだったが、何しろ世の中に存在しない普及率ゼロ商材。最初からすんなり導入とはいかないため、販売手法に工夫を凝らした。病院には初期投資を負担させずに、プリペイドカードの販売収益を分配する仕組みを提案し、市場を作り出した。

 そんな村田氏がTBグループの経営に携わるようになったのは2007年から。レジ・POS分野で定評のあった東和メックス(現TBグループ)と村田氏が起業したビックサンズは取引関係にあり、深い縁があったことから実現した。
 「自分たちの力だけでアイデアを商品化しても販売力が弱い。同じ目標を共有できる有力企業を見つけ、各分野の専門家たちの協力も仰ぎながら、生産と販売がタイアップしてやることが大切」と、村田氏は自身の経験も踏まえ、事業成功の秘訣を語る。
 

医療、観光分野で既存事業とシナジー効果を生み出す

 アイデアマンの村田氏が成長戦略として次に狙うのは人手不足、省力化、インバウンド需要を見越した医療、観光分野だ。
 病室にあるテレビの大半は近い将来、IPTVに置き換わる。村田氏はこのIPTVを活用して、インフォームド・コンセントのサポートなどホスピタルコンシェルジュとして役割を果たす「スマテレ®」事業を始める。現在、AIによるバイタルデータの数値分析などを自動で行う技術の開発も進めており、最終的には医療現場の遠隔診療の支援につなげる。
 また自身が開発した、病院でのプリペイドカードを利用した有料システムも、利用者の声を聞き、入院患者をターゲットにした会社の広告やCMをIPTVで放送することで、無料化する事業も構想している。  
 昨年から、インバウンドなどを対象にした宿泊施設の需要や人手不足に対応するため、ロボット開発やカプセルホテル事業にも乗り出した。ホテルの宴会場スペースを活用したカプセル型ユニット「SLEEPING BOX まゆ玉」は、同社の既存事業とのシナジー効果も大きく、導入先からも好評を博しているいという。
 今年4月には、同社が得意とするIT技術を使った運営システムを導入した直営のカプセルホテル「まゆ玉キャビン」の直営店をオープンし、フランチャイズ事業を進めている。カプセルホテル以外の分野でもまゆ玉を展開する計画もあり、大規模災害時の避難所施設や地方活性化のための街泊施設としての活用を視野に入れる。また在宅ケアの需要急増に対して、駐車場や庭を使ったスマートヘルスケア設備のある「トレーラー型まゆ玉」の販売なども計画する。
 「アイデアは日常生活の中に転がっている。消費者の不平、不満に耳を傾け、それを解決する商品が作り出せれば、自ずとヒット商品になる」と胸を張る村田氏。世の中にない面白いものを生み出して、人に喜んでもらう。そして自分も一緒に喜びたい――。社名の由来の1つとなっているトレンディービジネスを探して、村田氏のアイデア探しの旅は今日も続く。
※出所:富士キメラ総研の調査を参考

羨望のまなざし

アイデアマンの村田氏がベンチマーク企業として熱い視線を注ぐのが、業界に先駆けてAI搭載レジ「ワンダーレジ」を開発したマザーズ上場企業、サインポストの取り組み。商品を並べて簡単な操作をするだけで、レジが自動で商品を識別して支払金額の計算から決済までを行う。レジの待ち時間が大幅に短縮でき、店舗運営の効率化と人手不足などの課題を解決する次世代レジとして今、注目されている。「普段の生活で感じていた不便さを消費者の声としてとらえ、製品化した好例。ICチップなどは内蔵せず、商品の形状を識別して会計する点も画期的」(村田氏)。
キャッシュレス時代の到来をビッグチャンスとして受け止める同社にとって、ワンダーレジの存在は非常に大きな刺激となっている。

会社概要

社名:株式会社TBグループ

設立:1946年11月6日

所在地:東京都文京区本郷3-26-6

URL:http://www.tb-group.co.jp/index.html