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これぞ我が社の生きる道

第7回 株式会社FLIGHTS 代表取締役 峠下周平氏

第7回 株式会社FLIGHTS 代表取締役 峠下周平氏

経済構造が大きく変化し、しのぎを削るライバル企業であっても協業の道を探り、ともに生き残りの道を切り開いていくことが珍しくなくなってきています。

「フレネミー(友人と敵を組み合わせた造語)」という言葉も登場するなど、生き残りをかけた危機感は、大企業をはじめ企業の規模を問わず強まるばかり。そんななか、独自性をもって活路を見いだした企業も数多く存在します。

このコラムでは、人手不足や少子高齢化などという経営の逆風を吹き飛ばし、我が道を力強く突き進む企業の姿を追いかけていきます。

ドローンとの出合いは大学の体育会航空部

 旅番組やニュース番組などで当たり前のように見かけるようになった、ドローンによる空撮映像。鳥の視点のように空から見下ろした映像は、見る側の私たちを新鮮な気分にさせ、新たな驚きや感動を湧き起こす。
 そもそもは軍事用の無人飛行機として開発されたドローン。進化とともに操作が簡単になり、価格が手ごろなモデルも出て、大手量販店などの店頭にも並ぶようになった。最近では軍事用以上に、産業用(点検、測量、救難、農薬・肥料散布など)やホビー用(空撮)として民生用の活用が勢いづく。

 峠下周平氏が代表取締役を務めるFLIGHTSは、ドローンの運用代行業務や導入・コンサル、保守、保険などドローンにおける一連のサービスを提供し、他社と一線を画す事業を展開。全方位型のドローン企業として今では土木、農業、点検、空撮といった幅広い分野を網羅する。
 民生用ドローンの黎明期から手がける空撮代行事業では、クライアントの要望を取り入れ、操縦士の技量や経験、知識をチェックするための独自の厳しい審査基準を設ける。基準を通過した20人ほどの優秀な操縦士とだけ契約を結ぶなど、ドローンの安全性への懸念の払しょくにも抜かりはない。
 幼い頃から航空機や空に関わる仕事に興味を持っていたという峠下氏がドローンに出合ったのは、今から10年程前、学生時代に遡る。大学では体育会航空部に所属し、グライダーのパイロットとして活躍していた。航空部の関係者の中には趣味でドローンを飛ばしている人物もいたという。国内では当時、ほとんど認知されていなかったドローンも、峠下氏には身近な存在として映っていた。

 ドローンに興味を抱いた峠下氏は早速、ドローンの国内外の利活用や研究レポートなどを調べ始めた。海外でドローンは各産業に活用され、さまざまなサービスに提供されていたが、日本ではそういった事例はほとんど見当たらない。数年後、日本でも海外と同じようにドローンの活用が始まったらどうなるだろう? 海外と似たような事象が起きるのではないか? 市場は有望なのに、まだ誰も参入していない――。起業を志していた峠下氏の元に、ビジネスチャンスが舞い込んだ瞬間だった。

ニッチなニーズが求められる成長期に突入

 ほどなくして峠下氏は、知人から紹介された有能なドローン操縦士を確保すると、簡単にホームページが制作できる「ペライチ」という無料サイトを利用して、個人サイトを立ち上げた。「ドローンの運用代行事業を請け負う」という内容を載せただけのシンプルなものだったが、早速、その日の夜には仕事の依頼が入った。需要は確実にある。疑念が確信に変わった。
 創業当初はドローンを飛ばし、とりあえず何かをするという、事業と呼ぶにはほど遠いレベル。ドローンの産業向けの運用を研究していた人物から受けた一報が事業の源泉となり、そこから足りないパーツを引き寄せるようにクライアントの多様な要望を吸い上げ、自社で取り扱うべき商品を徐々につくり上げてきた。峠下氏は「我々の強みは、ドローンというハードウェアを運用して各産業に適用している点。一式のプロダクトを持ち、それをしっかり運用していく力がある」と胸を張る。
 ドローンの活用が進み、ドローンの教習所なども増えた現在は、クライアントの要望も様変わりし、要望の水準も上がってきている。例えばドローンを利用した土木測量では、ドローンで撮影した複数の写真を組み合わせて体積を取るのが一般的。その技術を応用して資材管理に生かしたいといった要望が寄せられるなど、ニッチなニーズが求められている証しと峠下氏は冷静に分析する。
 要望はドローンの安全基準にも及ぶ。社内の安全基準がしっかり整った状態で、なおかつメンテナンスやカスタマーサポートなどの保守がセットでないと導入できないといった声も、聴かれるようになった。

 民間の調査によると、今や国内のドローン市場規模は850億円にも上り、ドローンの世界市場の規模は2020年に2兆2000億円超に達するとの予測も出ている(※)。ドローン業界は黎明期を抜け出し、ようやく成長期に入ってきた。新規参入も相次ぎ、競合が増える中、峠下氏は他社との差別化を図るため「優秀な人材を確保し、各業種で知見をしっかりため、プロフェッショナルとしてドローンを提供し、クライアントを支援していく」ことを掲げる。
 クライアントの反応を検証しながら、ビジネスモデルの改良や軌道修正を繰り返してきた同社。柔軟な姿勢で会社を設計し直し、最適なソリューションに再構築しながら、自社ならではの「強み」を明確にすることが、未来を飛び続けていける条件になりそうだ。
 ※出所:インプレス総合研究所、矢野経済研究所の調査を参考  

羨望のまなざし

峠下氏の熱い視線の先にあるのは、飛行中のドローンの重心を最適化する重心制御技術「4D GRAVITY」を生み出し、次世代ドローンを開発するエアロネクストの取り組み。重心制御技術という知財を武器に、優位性を保った状態で、ドローンメーカーなどに共同開発を投げかけ、プロダクトライフサイクルの進みを問わず、機体のフレーム設計を基本から見直させる強気なビジネスモデルを構築している。ドローンサービスのリーディング企業を目指す峠下氏にとって、このビジネスモデルは大きな刺激となっているそうだ。

会社概要

社名:株式会社FLIGHTS

設立:2016年3月

所在地:東京都品川区北品川1丁目9番2号 TOKYO YBビル2階

URL:https://flightsinc.jp/