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テレワーク、4割が「生活の質が向上」 習熟度で差も

テレワーク、4割が「生活の質が向上」 習熟度で差も

急速に広がったテレワークは、仕事や生活の質がアップしたという感覚を多くの働き手にもたらしているようだ。リクルートマネジメントソリューションズ(東京・品川)が従業員300人以上の企業でテレワーク経験(終日・半日・一部業務のみの少なくともいずれか1つ以上)のある一般社員と管理職を対象に実施した「テレワーク緊急実態調査」では、「生活の質が向上した」と回答した人が4割強に達し、そのうちの半数以上が「仕事の質も上がった」と答えた。テレワークの経験期間や習熟度が生活・仕事の質の向上や業務上のストレスの強さに影響を与えている実態も浮かび上がった。

アンケートはリクルートマネジメントソリューションズ(以下、リクルートMS)が300人以上の企業を対象に実施し、一般社員664人、管理職 253人から回答を得た。テレワークの環境でワーク・ライフ・バランスがどう変化したかを調べたところ、「仕事の質も生活の質も向上」と回答した人が23%、「生活の質のみ向上」は21%、「変化なし」が40%、「仕事の質も生活の質も低下した」との答えが16%という結果が出た。「仕事の質も生活の質も向上」と「生活の質のみ向上」を足し合わせると、44%が生活の質の向上を感じている。

「仕事も生活の質も向上」と回答しながら、「業務上のストレスが増えた」と答えた人が11%に上った。「仕事がはかどる」「良いアイデアが浮かぶ」などのメリットを実感しつつも上司や同僚とのコミュニケーションなどでストレスを抱えるケースがあるようだ。

・自由回答

【生活、仕事の質ともに上昇】

・自分のベースで仕事ができる(41歳男性)

・通勤時間を減らすことで、仕事に使える時間を確保できた。家族で過ごす時間が増えて、ありがたかった(45歳男性)

・メリットは通勤時間が不要なこと、デメリットは無し(40歳女性)

・一人で没頭したい作業をまとめてこなせる(37歳女性)

・会社に行かなくて良いため、ストレスが減った(36歳女性)

【仕事と生活の質がともに低下】

・仕事中はどうしても家族に冷たく当たってしまい、家族との関係性は逆に悪くなった(36歳男性)

・あまりメリットは感じられない。システム整備が整っておらず、効率が悪すぎる(58歳女性)

・他人のアドバイスがほしいときにそばにいない(42歳女性)

・適切な机等を置く場所がなく、体が疲れる(38歳男性)

テレワーク経験が長いほど、メリットを実感

テレワーク環境でのワーク・ライフ・バランスの変化について、テレワーク歴(終日)が半年以上と半年未満の層に分けて調べたところ、半年以上のグループでは、「生活と仕事の質がともに上昇/業務ストレス減少」との回答が20%だったのに対し、半年未満の層では9%どまり。テレワークの経験が長くなるほど、「コミュニケーションがとりづらい」「疎外感を感じる」といった業務上のストレスが軽減し、メリットを実感しやすいようだ。半年以上の層では「生活と仕事の質がともに下がった」との回答が11%で、半年未満の層の17%に比べ6ポイント少なかった。

・自由回答

【テレワーク歴半年未満】

・ネットワークの通信速度やPCモニターなどの性能が低く、作業効率が落ちる。周りの目を気にせずにマイペースに仕事したり休憩をとったりできる点は良い。

・満員電車に乗らなくて済んだが、自宅では子どもがいて気になり、仕事にならない。

・通勤で疲れないのは良いが、孤独感を感じる。

・集中力を保つのが難しい。

・人と直接しゃべる機会がないので寂しい。

【テレワーク歴半年以上】

・同僚に話しかけられることがないため、業務に集中して、かつ途切れずに行える。

・自分の仕事をいろいろな角度から、見直すことができ、能率が上がった。

・通勤時間が減ったことはよかったが、 何か問題や悩みがあったときに相談しづらい。

・通勤電車での心身ともに受けるストレスがなくなったほか、自分の仕事に集中できるように。

・話しかけられることがないので業務に集中できてよかった半面、職場の状況がすぐに分からず判断に困ることがあった。

上司が管理する「他律」から、部下の「自律」へ

◆リクルートマネジメントソリューションズ 組織行動研究所 主任研究員 藤澤理恵さんの話


リクルートマネジメントソリューションズ組織行動研究所主任研究員の藤澤理恵さん

テレワーク環境における、生活、仕事の質の向上や業務ストレスの感じ方には「慣れ」の要素があることが分かりました。テレワークでは調整のためのコミュニケーションが難しかったり、家族に話しかけられて仕事が中断したり、疎外感を感じたりなどの要因で業務ストレスが高まることがありますが、経験を積んで慣れていくと、個々の課題に対し対策を講じたり環境を整えたりすることで、業務ストレスを軽減できるようになるようです。

従来「きめ細かく指示を出し、近くでサポートしモチベーションを保つ」といった上司と部下の関係が多かったかと思いますが、この関係性だと、在宅勤務で離れて仕事をすると「きちんと仕事をしているか/評価してもらえるか」とお互い不安になりがちでした。オフィスでの会話や人目があったから、仕事に集中できたという人も多いと思います。無意識のうちに依存していた、上司の細かい指示や人目による「他律」から、自分で自分の集中や選択を築ける「自律」へと、セルフマネジメントの軸を移していくことが、これからの時代の仕事力として求められていくと思います。

上司と部下の間では「安心して仕事を任せられる/任せてもらえる」関係性の構築を目的としたコミュニケーションが重要になっていくでしょう。管理職は、自分自身の自律力を高めるとともに、部下の自律を促す、自律支援型のマネジメントを確立できるかどうかで、力の発揮に差がつくことになりそうです。

テレワークについても「緊急事態を一時的に乗り切るため」という発想を越え、従業員自身が働き方を選択し、(指示待ちでなく)自ら上司や同僚に働きかけ成果を出していくための手段の一つとして、積極的に取り組んでほしいと思います。