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2018年のこれから

2018年のこれから

2018年01月24日 更新

今のうちに、AIやIoTを使いこなせる人材に

 2018年度は、米国の好景気に支えられ、世界経済は3%台後半の成長になり、日本も2%成長を実現する可能性もあります。米国は法人税を35%から21%に引き下げ、18年から10年間で1.5兆ドル(約170兆円)減税します。

 米国のトランプ政権は予測不能な面は相変わらずですが、短期的には減税効果もあり、18年は好景気が継続し、株価もある程度、維持されると思います。日本の成長の原動力とも言える110円程度の円安水準も維持されるでしょう。米国は量的緩和やゼロ金利といった金融政策から脱却し始めていますが、2%物価目標を掲げる日本は、マイナス金利からの脱却は簡単ではなさそうだからです。

 大金融緩和が続くかどうかは微妙ですが、日米の金利差が開くことが予測されますから、多少円安になることもありえるでしょう。外需頼みの日本にとって18年度は、世界経済も為替レートも小春日和のような環境になるでしょう。

 「好事、魔多し」――。経済が一見好調に見えるときこそ、リスクが大きくなる可能性もあります。好景気は長続きしていますが、労働生産性が上昇する気配はありません。

 昨年末に公表された16年のGDP確報値から試算すると、労働生産性(1人・1時間当たりのGDP)の伸びは0.5%程度です。女性や高齢者の就業が増えたために、15年よりも伸び率は半減しました。これは就業者×就業時間(労働投入量)が増えたからです。就業者や労働時間の増加で成長しているわけです。

 政府は「人づくり革命」「生産性革命」を掲げて、生産性を向上させる改革を実行しようとしていますが、組織も人も好調なときほど、仕事のやり方や雇用制度を変えようとはしないので、生産性向上の実現は簡単ではないでしょう。

 人工知能(AI)やあらゆるモノがネットにつながる「IoT」など、高度な情報技術(IT)が原動力になる第4次産業革命への積極対応は改革の柱で、生産性を大きく向上させる可能性は高いですが、否応なく既存の職業や雇用を揺さぶります。抵抗が強いわけです。

 日本では米ウーバーテクノロジーズが実現したライドシェア程度で職業がなくなるとの反対論が根強いですが、これは第4次産業革命の序章に過ぎません。今後、AIやIoTの普及で利便性や生産性が向上する一方で、多くの職業がなくなるでしょう。経済発展の歴史で繰り返されてきたことです。改革を加速しないと海外勢に押され、「生産性は上がらないが、職業だけはなくなった」という最悪の事態も中長期的には予測できます。

 個人としては、好景気のうちにAIやIoTを使いこなせる人材(AIなどを開発できる人材という意味ではありません)になる努力が必要でしょう。そうしないと景気が一服し、人手不足感が解消した際に、転職にも就職にも不利になっている恐れがあります。

(日本経済研究センター・主任研究員 小林辰男)