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2016年のこれから

2016年のこれから

2016年01月28日 更新

前半の雇用環境は好調を継続

 2015年度、16年度前半は雇用の環境は絶好調ともいえる状況が継続しそうです。15年12月半ばに日本銀行が公表した全国企業短期経済観測調査(短観)の雇用人材判断によると全産業合計で▲19(▲はマイナスを示す、「過剰」-「不足」、%ポイント)と15年9月調査に比べて不足感が3ポイント高まりました。先行きも▲20と予測されており、人手不足が続くと企業はみています。

 特に非製造業で人手不足感が強く、12月調査時点で▲25、先行きも▲28となっています。日本経済研究センターの最新の短期経済予測では、15年度の経済成長率を0.9%、16年度を1.2%としており、穏やかな成長が続くでしょう。

中国、バブル崩壊後の日本と似る側面も

 ただ経済成長が低迷するリスクは小さくありません。

 第1は中国経済の失速ともいえる状況です。昨年10月に16-20年の年平均6.5%の成長率を目指すことを国家目標にしましたが、実現は厳しいでしょう。

 当センターは、中国の15年7-9月期に実質GDP成長率が6.9%と公表されたときに「真の成長率」は5%程度と推計しました。公表されるGDPだけでは中国経済の深刻さはわかりません。国有企業や不動産業者の過剰生産設備、過剰債務は、バブル崩壊後の日本と状況が似ているといえます。「新常態」への移行は簡単ではありません。

 中国だけでなく、世界が対中国の経済政策を誤ると、日本からの輸出が減るといった話にとどまらず、中国発でリーマンショック級の危機が発生しても不思議ではありません。

予測不可能な中東の紛争の影響

 第2は地政学的なリスクです。イスラム国(IS)がパリを初め、トルコやインドネシアでテロを仕掛けているうえ、イランとサウジアラビアは鋭く対立しています。中東は火薬庫の様相を呈しています。中東の紛争がどのような影響を及ぼすのか、予測不可能といえるでしょう。

 現在、原油価格は新興国や資源国の経済低迷による需要不足で暴落していますが、歴史的には「暴落は高騰の引き金」ということを繰り返しています。

リスクの表面化で動乱の可能性

 第3は中長期的な日本の成長力(潜在GDP成長率)の低下です。日本の成長力は推計方法によっても異なりますが、すでに0.5%前後です。人口減少・超高齢化の進展による労働力人口の減少、生産性の低下が今後も続き、成長力はさらに低下することは確実です。人手不足が続き、雇用環境が改善すると喜ぶのは早計で、成長力が高まらないと実質賃金は増えません。

 2016年度は「可もなく不可もなく」という年に終わる可能性が最も高いと思いますが、既述したリスクがどのように表面化するか。それによっては「動乱の年」になる恐れも十分にあります。

(日本経済研究センター・主任研究員 小林辰男)