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日本企業は中国市場のマーケティング戦略を見直しなさい/ファーイースト・パートナーズ株式会社

日本企業は中国市場のマーケティング戦略を見直しなさい/ファーイースト・パートナーズ株式会社

日本企業は中国市場のマーケティング戦略を見直しなさい

巨大な中国市場へ進出してもあえなく撤退する日本企業が後を絶たない。グローバル化が進む中で経済成長が著しい中国ビジネスについて、ファーイースト・パートナーズ株式会社の朱偉徳社長に国内企業と自社の今後について聞きました。 (編集部 鈴木)

朱 偉徳 (シュ イトク)氏 朱 偉徳 (シュ イトク)
中国上海市出身。早稲田大学MBA修了。中国政府系シンクタンク「CCIDコンサルティング」日本事務所 代表。日中社会の事情と双方の企業に精通した人材とリサーチビジネスを展開。

インキュベーター不在の日本での起業は難しい

--朱さんは中国上海出身で、日本へ留学。化学メーカー海外部中国室総括担当を経て、企業派遣扱いで早稲田大学ビジネススクール経営管理学修士(MBA)を取得。そして会社を起こしました。起業する上での苦労したことはどんな点ですか?

 「2002年に早稲田大学MBAで学び、勤めていた企業を退職して、起業しましたが、苦労の連続でした。とりわけ起業直後に香港などで鳥インフルエンザ問題が起きて、仕事にならずに本当にもう辞めようと何度も後悔しました。さらに外国人であることで日本の銀行からの融資などが受けにくいなどでも、苦労することがありました。その後10年間がんばってきて、仕事は中国人材紹介、中国現地のマーケットリサーチと半々くらいの割合で社員は日中合わせて20人弱になりましたが、経営者としてはこれからだと思っています」

「日本は起業する環境としては、米国、中国より劣っている土壌だと思います。政府の支援も少ないから、しっかりしたインキュベーターもないし、外国人には不利なことが多いから劣っています。それと、バイオでも何でも日本では研究者はいるのですが、商品開発する人がいない。人材が不足しています。それに日本の企業は、マーケティングがとてもへたなんです。北京と上海の市民では好みが相当違いますよ。そんなことも知らない。世界的企業の韓国サムスンなど外資系企業に比べると雲泥の差があります」


--日本では中国人は管理職の人材も辞めるといわれています。なぜそんなに簡単に辞めるのですか?

 「日系企業が振るわない原因は特有の人事制度にあります。日系企業の中国拠点は、キーポジションに就く人材が定期的に入れ替わる組織構造を持っています。中国人材はすぐ辞めることは事実ですが、中国人材以上に日本人駐在員の流動性の方が高く、組織に与える負のインパクトは大きいのかもしれません」

 「それと中国人にとっては年収を含む待遇の問題です。ここで、中国の人材市場が持つ特徴を挙げてみますと、まず中国は、脆弱な社会保障です。公的年金(基本養老年金)の状況を例にとって説明すると、中国では居住している都市の平均月収をベースに年金受取額が算出確定されますが、退職時の月収が10,500 元(約12.9 万円)の水準ならば、退職後5,000 元(約6.2 万円)程度の年金は支給されることになります。月収が平均給与の7 〜 8 倍の24,500 元(30.1 万円)〜 28,000 元(34.4万円)になると所得代替率は20%を割り込んでしまいます。所得の増加が著しい都市住民、特にホワイトカラーにとって公的年金を通じた社会保障の水準は不十分なものになっています」

 「社会保障が不十分なため、老後において金銭的に頼ることができるのは個人の資産であるということです。さらに、不動産・医療費等の物価は上昇の一途をたどっています。現在中国では個人による将来への備えが切実な課題として社員一人ひとりの前に立ちはだかっています。つまり有利な条件を求めて会社を辞めるのです」