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日本人の英語力の底上げとフィリピン経済に貢献したい/株式会社レアジョブ

日本人の英語力の底上げとフィリピン経済に貢献したい/株式会社レアジョブ

日本人の英語力の底上げとフィリピン経済に貢献したい

グローバル化に欠かせないのは語学力。特に日本人が苦手とする英語では、苦労しているビジネスパーソンが多い。そんな中で注目を集めているのが、オンライン英会話サービスを展開するレアジョブだ。これまでの常識を打ち破った低価格戦略でユーザー数を伸ばしている。同社の加藤智久社長に聞いた。(編集部 鈴木)

加藤 智久(かとう・ともひさ) 加藤 智久(かとう・ともひさ)
1980年、東京都生まれ。一橋大卒。外資系コンサルタント会社を経て2007年にレアジョブ設立。

いてもたってもいられず27歳で起業

 レアジョブ(Rare Job)という変わった社名は起業する前から決めていた。起業することが長年の夢だった。加藤智久社長の経歴は一風変わっている。一橋大学在学中の19歳のときに1年間休学し、ベンチャー企業へ"就職"。順調に業績を挙げていたものの、ある取引で失敗。結局、1000万円もの損失を出してしまった。その失敗をじっくりと振り返るために卒業前に1年間の海外放浪を試みた。帰国後に外資系戦略コンサルタント会社へ就職した。

 「その後も起業への気持が捨てられず、中国向けのスモールビジネスを立ち上げた時期もあります。それでも何か物足りなくて、会社を辞めて新しいビジネスに本格的にチャレンジすることにしたのです」と当時を振り返った。

 2007年9月にこれまでフィリピンへ行ったこともないのにオンライン英会話事業を立ち上げた。

 その理由として「教員の質やホスピタリティーが高いフィリピン人を英語講師にすることを思いついたのです」。しかし、人脈や資金があったわけではない。

 オンライン英会話では、無料で海外との通話ができるSkype(スカイプ)を利用する。会員からお金を取ったり、インターネット上でレッスン予約を行ったりするには、有能なシステムエンジニアが必要だ。そこで加藤は開成高校時代からの友人である中村岳(現在 同社CTO最高技術責任者)を誘った。

 07年当時、英会話市場は動乱の時代だった。駅前教室を展開する大手英会話学校の倒産が話題になっていた。さらに先行する30社ほどのオンライン英会話企業がすでにひしめいていた。そこで毎日25分間のマンツーマンの会話で月額5000円の低料金を設定した。毎日50分コースでは1回分は129円と常識を打ち破る安さだ。

 「競合各社が出揃い、きびしい価格競争にある英会話ビジネスは、戦略コンサルタントだった自分でも、絶対に参入しません。でも、挑戦してみたかったから」と笑った。07年11月にレアジョブはスタートした。しかし、グーグルに広告を打っても、有料会員は思うように集まらない。それでも、サービスとして安定稼働させるために、仕事はないのにフィリピンの講師に給料を払い続けた。

 翌年から格安で英語が習えるため、メディアに取り上げられ、話題になる。09年に1万人を超え、10年に3万人、11年に7万人超と倍増以上の急速な広がりを見せている。フィリピンでは、ADSLによるインターネット環境が急速に普及して、各家庭にも広がったことも味方した。

 「最初は、オフィスに講師を集めてやろうという案もあったのですが、インターネットが家庭で使えるようになって、講師集めも楽になりました。運も良かったと思います」

 すべてがうまくいったわけではない。フィリピンでは台風シーズンになれば停電もある。またSkype通信も雑音が入って、通信が安定しない日もある。マニラではパソコンにつないだケーブルをねずみがかじると聞いて、日本から「ごきぶりホイホイ」を持って行き、ねずみを駆除したこともある。中国語事業でも日本人の会員がまったく増えず撤退した。