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グローバル展開成功のカギは外国人との信頼関係/株式会社サンエース

グローバル展開成功のカギは外国人との信頼関係/株式会社サンエース

ランニング、自転車で親交を深める

外国人社員とその家族とともにインドネシア・ビンタン島を自転車で回った(後列右から3人目が本人) 外国人社員とその家族とともにインドネシア・ビンタン島を自転車で回った(後列右から3人目が本人)

 9カ国10工場と海外での拠点も増えた。グループとしてのマネジメントをどうしているのだろうか。「グループの経営委員会のメンバーは9人です。そのうち私を含めて日本人は2人です」と説明する。

 経営委員会のメンバーは、各拠点の経営責任者たちから構成され国籍は7カ国を数える。グループ会議ではすべて英語になる。

「日本の会議では、社長の意見に対しては、誰も反論することもなく議論にならないことが多いのですが、外国人との会議では、発言する立場は一緒で積極的に質問や反論が出てきます」

 会議の場所はシンガポール、日本などで行う。またサンエースの株主は、自社54%、リエージェンス(イタリア)26%、三菱商事20%で、経営委員会での協議を経て提案される投資案件などの重要事項については、これら3社の代表からなる役員会で決定される。会議はシンガポールで開かれたり、日本に招いたり、佐々木はここでも工夫する。

 「最近、外国人も日本人も健康管理に随分と注意するようになってきています。うちの会社では、この数年はランニングがブームになっています。海外では有名なシンガポールマラソンに参加したり、日本へ帰国したときは北海道などで自転車によるツーリングを楽しんだりして汗を流してします」

 昨年夏は北海道へ渡り、海外社員の家族も加わり同伴で自転車に乗り、札幌ではビールで乾杯して、気持ちを一つにした。こうしたトップの配慮は、外国人社員には欠かせない。

うちは多国籍企業ではなく多文化企業です

 25カ国から集まる600人を超える従業員を束ねる佐々木は自社をこう語る。 「当社は多国籍企業だとは思っていません。多文化企業だと思っています。この分野の日本市場は20年前と同じサプライヤーですが、需要は年々減っています。こうした中で日本だけのモノカルチャーの発想では、いまの時代を乗り切れません。

 汎用化学品の分野ではBASF(ドイツ)、ダウ(米国)のような大手が、規模の経済によって世界市場を支配していますが、我々のような規模のメーカーは、資本力だけでは勝負しにくいため、特殊化学品の分野に特化して、多様な考え方を柔軟に取り入れつつ、みんなで知恵を絞りながら、各市場からの異なる要求にきめ細かく応えていくことで、事業を強めていくしかないのです」

 国内では3月の震災を受けて、向こう数年間は復興需要が見込まれるが、それ以後の大幅な国内需要の伸びは望めない。「日本の市場規模は世界の3%に過ぎません。だからこそ事業規模の拡大を目指すのであれば、国内に留まることなく積極的に海外に出てゆく必要がある訳です。しかしその一方で、日本市場には世界のどこにも見られない高い技術水準を持つ顧客が多数存在し、技術分野で世界のイノベーションを牽引しています」と言う。こうした背景から同社は2015年までに海外に新たに3拠点を増やし、高度な品質要求に応えるべく国内に新たなプラントを建設する計画だ。

 今後の海外展開と、今後ますます重要度を増す日本からの技術発信力の強化を見据えながら、昨年からは本社でもグローバル人材採用に力を入れている。

 「国内採用でも、英語ができる人材を求めています。おかげさまで採用については、内外とも優秀な人材が採れていると思います。震災後の日本は困難なことも多いですが、海外市場にて積極的に事業を拡大する一方で、傷ついた日本を見捨てることなく、私たちの世代が支えていかなくてはと思います」

 月の半分は海外駐在する社長は、「グローバル展開は特にむずかしいものとは思いません。大企業とは違って資金も人材も限られているからこそ、海外での事業展開には積極的に現地の優秀なスタッフを登用し、そのネットワークを広げてゆくことで、多国籍企業にも対抗できる、柔軟で多様なものの見方ができる企業連合ができつつあるのだと思います」とユニークな中小企業のグローバル経営を熱く語った。

(本文中 敬称略。会社データ、肩書は2011年7月現在)

株式会社サンエース http://www.sunace-corp.com/index.html

最近3年の売り上げ

2008年  175億円
2009年  174億円
2010年  188億円

従業員数

644人(日本国内は65人/海外グループ会社、正社員、契約社員、非常勤社員を含む)

国内・海外拠点

【国内】
本社:本社・神奈川県愛甲郡

【海外】
シンガポール、マレーシア、南アフリカ、オーストラリア、中国、インド、サウジアラビア、ドイツ